表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

【第1話☆S】 星への扉



 挿絵(By みてみん)


 【Size S】

 


 巨大な船のような銀色の(はこ)は、アース・ポートからの上昇を開始すると、青い惑星の引力を徐々に振りきりながら加速してゆく。

 座席にゆったりと座った三時間半の軌道エレベーターの旅。

 終点は地上から三百六十キロの(そら)にあるイーストサイドの宙港(ステーション)連絡口。




 函は宙港の発着場にのぼりきり、なにも問題なく旅を終える。軌道エレベーターから降りた人々の波に混じって、イーストサイドの宙港へと繋がる(みち)を踵をしっかりとつけて歩く。重力を発生させているために身体が浮いたりはしない。

 真っ白な照明で明るく照らされた通路の壁の一部には、分厚く丸い形の特殊ガラスが張られている。その大きな丸窓の前で足を止めると、外を――地球を眺めた。


 眼下に浮かぶ青く(ひか)る美しい星。

 暗い宇宙のなかに在って、やらわかな光と水を湛えている青い惑星。


 記憶の中と変わらずに……きれいだった。


 この場所に立ったのは中学校の修学旅行以来だ。

 あのときは、友だちと初めての宙に興奮していた。はしゃぎながら地球を眺めた。青い宝石のような惑星に感動して、いつしか言葉もなくなった。

 

 ……まさか二度目の宙がこんなかたちになるなんて、人生はなにが起きるかわからないものだ。


 視界の隅に、きらりと眩しいひと筋の光が映りこんだ。

 その方向へと目を凝らす。

 すこし先に浮かぶ巨大な長方形の骨組みから反射された、太陽からの光。

 建設中の新しい(そら)の港だ。

 

 十基のエレベーターから降りてきた客や物資を出迎えようとしているこの宙港は、2400年代に建設された年代物になる。

 そろそろ色々な部品や箇所が耐用年数ギリギリに劣化していた。そのためにこのイーストサイドに新しい港を建設している。


 いくら作業ロボットを使っていても、その管理や細かな作業のチェックは人の手が必要となる。

 宙に人が集まれば自ずと付随する仕事が増える……。

 今、イーストサイドはちょっとした新宙港建設の特需景気に沸いていた。


 宙港へと向かう人々はスーツ姿や作業着姿が目につくが、宇宙開発局の制服を来た集団もいる。家族連れの旅行客もいる。宙へと上がる理由もそれぞれだ。


 しばらくは……帰れない青い惑星に視線をもどす。

 

 これからは新しい生活が始まる。


 宇宙に上がった理由とは裏腹に、重力から放たれたように気持ちは軽かった。その気持ちと同じように足取りを軽く、再び人の波へと混ざるために歩きだした。







 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バナー
バナー作製:歌川 詩季さま
クリックすると歌川 詩季さま【ウタほたるのカケラ【サイズM】】に跳びます。
― 新着の感想 ―
[良い点] 素晴らしい、宙への旅と生活の情景描写だなと思いました。 日常的に感じられてすごいです! [一言] 某アーチストの「ロケットマン」の歌が流れました。 ありがとうございました。
[良い点]  何かの始まり感じさせる冒頭ですね。とてもワクワク感があります。SF~~~~! [気になる点]  歌川 詩季さまとのご近所コラボレーション……さては食パン加えたまま走ってて、八百屋さんの角…
[一言]  SFだ!  そして日常譚。  私、海外SF(ハヤカワや創元)好きなのですが、ストーリーが動く部分より、日常描写のほうが好きなんですよね。  じっくり描いてくださるのを楽しみにしております。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ