元側妃の独り言1 王太子を義妹の配偶者に殺させるのは成功しましたが、乗っ取りはうまくいきませんでした
私はドロテーア・エスカール、スカンディーナ王国の元側妃だ。
私はスカンディーナ王国の隣国の大国エスカール王国の王女だった。17の時に外交で来ていた、見目麗しいスカンディーナの王太子オスヴァルドに一目惚れをしたのだ。スカンディーナ王国は我がエスカールの3分の2くらいの大きさしか無かったが、私の嫁ぎ先としては十分だった。私は父に頼んで、スカンディーナ王国に1年間留学させてもらった。そして、更に王太子と仲良くなった。王太子には隣国のオースティンに留学している伯爵家の婚約者が居るようだったが、いざとなったら父を使って強引に婚約者の地位になれると私は思っていたのだ。
何しろ留学中にオスヴァルトと結構仲良くなったのだ。私達の婚約は秒読みだと言われたていた。
しかし、それが狂い出したのは、オスヴァルドがオースティンに1年間留学してからだ。私も彼について留学しようとしたが、学力的なもので難しかった。
しかし、私は我が国の力を信じていたのだ。我が国はスカンディーナより1.5倍も大きく、魔術師の質も高いのだ。父から強く言ってもらえればスカンディーナ側も折れると思ったのだ。
しかし、留学から帰ってきたオスヴァルドは冷たくなっていた。目立ちたがり屋の伯爵家の娘アンネに完全に骨抜きにされていたのだ。二人は傍目から見ても仲睦まじく過ごしており、私はやられたと思った。アンネは自分の体を使ってオスヴァルドに迫ったに違いない。
こうなれば仕方がない。私は一計を案じた。
オスヴァルドに薬を飲ませて何とかわたしの部屋に連れ込んだのだ。
翌朝、素っ裸で私の横に居たオスヴァルドの狼狽は凄まじかった。
こうなったらさすがのオスヴァルドも、もう責任を取るしか無いだろう。
しかし、オスヴァルドは頑なだった。中々私との婚姻に頷かないのだ。
「私の純潔を奪っておいて、責任を取らないの?」
私はオスヴァルドの前で泣いてみせたが、それでも、オスヴァルドは頷かなかったのだ。
兄が激怒してスカンディーナの王都に来てくれたが、やっと決まったのは私を側妃とすることだけだった。
大国エスカールの王女の私が側妃にしかなれないってどういうことなのよ。
私は怒り狂ったが、こればかりはどうしようもなかった。
派手なアンネが王太子妃になったのだ。
そして、初夜の日もオスヴァルドが夜に私の所に来ることはなかった。
それからずうーーーーっとアンネの所に入り浸りなのだ。私のプライドはずたずたになった。
そんな時だ。私がオスヴァルドの妹の王女の配偶者のブルーノと知り合ったのは。
私はやけになっていた。
ブルーノと一線を超えるのに時間はかからなかった。
そのブルーノはアンネが好きだというのはすぐにわかった。
どいつもこいつもアンネアンネアンネだ。
私はブルーノに頼んで、酔いつぶれたオスヴァルドを部屋に連れ込むのに成功した。
しかし、オスヴァルドは完全に寝ていて物は役に立たなかった。一度目の時もそうだ。
私の唯一の男はブルーノただ1人だったのだ。
そうこうしているうちに私はブルーノの子供を身ごもったのだ。でも、この子の父親をブルーノだというわにもいかない。私はオスヴァルドの子供だと皆に、ブルーノにさえそう言ったのだ。
もうこうなったら私もやけだった。アンネが生んだのは王女で私が生んだのは王子だった。この王子は私の特徴は継いでいたが、当然ながらオスヴァルドの特徴は何一つ引き継いでいなかった。
しかし、私はこの子をスカンディーナの国王の後継者にしようと思ったのだ。
アンネとオスヴァルドはあいも変わらず、熱々で私は完全に蚊帳の外だった。
そして、アンネがブルーノのことをなんとも思っていないのは火を見るよりも明らかだった。
でも、私はオスヴァルドを独り占めにするアンネが許せなかった。そして、いつの間にか私のことを全く無視するオスヴァルドも許せなくなっていたのだ。
オスヴァルドの父の国王が亡くなったのはそんな時だった。
葬儀が終わって私はブルーノの枕元でブルーノに囁いたのだ。
「オスヴァルドを殺したら、アンネはあなたのものになるんじゃなくて」
と。
悪魔のささやきだった。
愚かなブルーノはオスヴァルドを殺したのだ。アンネを自分のものにするために。しかし、アンネはブルーノの言う事など聞かなかった。そして、ブルーノは自分の言うことを聞かないアンネまで殺してしまったのだ。
わたしはこの時のために、本国から優秀な魔術師達を連れてきていたのだ。
ブルーノに敵対者を全て殺しつくさせて、その後でこの国の王権を握るために。
しかし、何をトチ狂ったのか、ブルーノは私にいきなり攻撃してきたのだ。
「お前のせいでアンネが死んだ」と。
「殺したのはあなたじゃない!」
私は魔術師たちに守られて何とか、王宮を脱出した。
そして、辺境の地に新スカンディーナ王国を建国したのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
私が面白いと思う私の他の物語紹介します。是非とも読んでみてください。
『好きになったイケメンは王子様でした~失恋から始まるシンデレラ物語・悪役令嬢もヒロインにも負けません』
https://ncode.syosetu.com/n2724hj/
平民で薬屋の娘リアは幼馴染のカートの勧めで特技を生かして王立学園に行くことに。でも、そこには王子様やお貴族様がいて、出来るだけ避けようとしたのに、何故か王子らと親しく?なってドンドン深みにハマっていきます。悪役令嬢や可愛らしい女の子が何を勘違いしたのかリアに絡んでくるけれど、リアが好きなのは王子ではなくカートなのに。でもそのカートの動きも怪しくて・・・・
カートの正体がわかった時、リアは・・・・。
王立学園で繰り広げられるドタバタ恋愛・シンデレラ物語。




