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Nigredo - 魔王伝説 -  作者: Ellie Blue
第4章 北の大地
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緑の光2

 白いゆったりとしたローブを身にまとった少年が、白い馬にまたがってそこにいた。後ろには同じ揃いの服を着た大人数名を伴っている。

 見たところ少年はミディアよりいくつか年下と思われた。まだあどけなさのある顔。しかしその表情は実に落ち着き払って堂々としたものだった。


 村から出てきた男は、訪れた少年らの方を見てホッとしたように顔を明るくした。

「いえいえ、こうして来てくだすればウチはそれで充分! いやぁ、助かります!」

 少年は大人びた様子で静かに微笑んで村人に向かってうなずくと、今度はその薄い青色の瞳をアーバルたちの方に向けた。

「そちらは? 旅のお方ですか?」


 そこまで口にしたところで、少年の目がハッと見開かれる。その視線は、馬の上でぐったりとするミディアに注がれていた。少年は一言つぶやく。

「魔法の、痕跡……」


「若」

 少年は背後からの呼びかけにうなずき、懐から杖を取り出した。それをミディアに向かってかざす。

 杖の先からぽうっと、若草色の光が発せられた。

 その柔らかな光に包まれ、ミディアは苦しげだった表情を緩めてふーっと長く大きく息をつく。


「おお、顔色が……」

 アーバルは安堵の息と共にそう口にした。

 少年は杖をしまいつつ、アーバルの方に顔を向けた。しかし少年のその表情はどこか浮かない。

「これはひとまずの応急処置です。どこかでしっかりと治療をする必要があります。……何か良くない魔法を受けたのですね。今すぐにこれ以上魔法が蝕んでいくことはありませんが、とは言え、決してこのままにしておいて良いものではなくて……」

 そうか……と、アーバルはぽつりとつぶやく。


「……ごめ、んなさい、お師様……、急がなくては、なの、に……」

 薄目を開け弱々しい声で言うミディア。それにアーバルは首を静かに横に振った。

「……いやミディア、それは違う。お前は気に病むな。これは私の落ち度だ。お前が謝ることでは、ないのだ……」


 少年の治癒魔法で多少は楽になったのだろう。アーバルの声に答える素振りをかすかに見せた後、ミディアのまぶたが眠たそうに閉じられていく。そのままミディアは静かな寝息を立てはじめた。




 白いローブ姿の少年は顔を上げ、前に向き直るときっぱりとした口調で言った。

「村長殿。この方々も、僕らと一緒にこちらの村へ滞在させていただけませんか」

 出迎えた男は少年のその言葉に顔をほころばせ、ええ、ええと何度もうなずく。

「もちろんですよ、ウチで何かのお役に立てるのなら喜んで! シース坊ちゃん!」


 それを聞き、アーバルは心の中で『シース』と、呼ばれた少年の名を繰り返した。


 少年シースは村長にお礼の言葉を述べた後、今度はアーバルの方に向き直る。

 その視線が、まっすぐに老境の騎士に注がれた。

「よろしければ、詳しいお話を」

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