お化け屋敷とやらがあるらしい
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(新人冒険者ケール視点)
「よっし、お化け屋敷? なんかこの俺様に比べれば余裕だぜ!かかって来いヤァ!」
俺はデビューしたての冒険者! ケール!先輩冒険者たちを抜かして最強の冒険者になろうと……いや、なると決めている!
だが、そんな俺もまだまだ新人。今は先輩たちにどれだけ大層なことを言っても笑われてばかり。……まぁ、ご飯をおごってくれたりする優しい先輩だから、嫌いじゃないけど。
だが、今日! そんな先輩たちがある噂を教えてくれた。それは、俺たち新人やベテラン一歩手間の冒険者たちが生業としている森の中にお化け屋敷があるという話だった。
お化け屋敷とやらがどういうものなか知らなかった俺が詳しい話を先輩に聞いてみると、どうやらそこには攻撃もできない無害な幽霊が住んでいるらしい。
なんだその存在意義の分からない幽霊は! と思ったが、よくよく聞いてみると、大変いい話が聞けた。どうやらその幽霊はこちらを攻撃してこない代わりに、物凄くびっくりさせようとしてくるらしい。
「もしお前がそのお化け屋敷から逃げ出すことなく無事に探検しきったなら、俺たち先輩みたいな強い冒険者になれるかもしれないな。少なくとも精神が鍛えらえるのは間違いないだろう」
妙にニヤニヤしていたのは気になるけど、そこまで言われてしっぽ巻いて逃げるほど俺は弱くねぇ。「やってやるぜ!」と先輩たちに叫んだ後に、俺は町を飛び出した。
☆☆☆☆☆
(ホローちゃん視点)
「ギャーーー!!!! なんじゃこりゃーーー!!!」
叫び声が聞こえる。私はその声に満足しながら、素早く移動して叫んでいる少年の足元から腕を貫通させて出し、その足をしっかりと掴む。
「あ!? え!? うはぁあ!!」
しっかりビビってくれることに感激。……が、別にけがをさせることが目的ではないので、すぐに足から手を離す。
「うんひゃーー!?」
不意に足を掴まれて縮こまってしまった体が、離されることによって再び動きだす。そしてビビりまくった少年の行く先はただ一つ。
そう、出口。去る者追わずの精神で、きちんとお見送りまでする。
……今の状況に置いて行っていかれた人たちに向けて簡潔に説明すると、この屋敷に人が訪れる様になって、その人たちを驚かすことによって私がパワーアップできるようになった。以上だ。
そしてどうしてあの誰も訪れない寂しいぼろ屋敷が今みたいに人が訪れるようになったかというと、それは勿論あの二人に協力してもらったから。
具体的にしてもらったのは、『あの屋敷には無害ながら脅かしてくる幽霊がいるらしい。そしてその屋敷の奥底には幽霊の隠した宝物があるらしい』という噂を広めてもらうことだ。
……いや、あの二人良い人過ぎない? 相談して協力を要請した私が言うのは間違ってると思うし、自分の目を信じたのだとしても良すぎたと思う。
だって幽霊だよ? 私。私が逆の立場だったら絶対無理だと思う。倒そうとして、無理だとわかったら迷わず逃げると思う。
だから私は、良い人には報いる。前に言ってたの覚えてるかな。「報酬はこちらです」という言葉。あれはでまかせなんかじゃなくて、事実。
あの時私は二人に宝石を幾つか手渡した。そこまで大きくはないけど、綺麗で、地球でならそこそこ価値が出そうな宝石を。
……その宝石はどこから手に入れたのかという当然な疑問があると思う。正直、私にも詳しくは分からない。だけど、何故か創ろうと思えば創れることが本能的に理解できたの。
今だって、ほら、ほわ~んと創れる。これを屋敷の奥底に隠しておいたの。だから、噂も完全に嘘ではない、一応真実。
……ということだから、私は噂に釣られてやって来た冒険者たちを驚かす。他の魔物みたいに誰一人の死亡者も出さず、人と共存しつつ、私はパワーアップしてこの屋敷から脱出して……自由に、生きてやる!
ここから、お化け屋敷生活が始まる!
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