雨降って地固まる的な?
はじめて感想を頂けました!
本当にありがとうございます!
「いやぁ、人? 魔物? も場合によるのね。ここまで友好的な魔物は初めて見たわ。そうよね、ランド」
「あぁ、そうだな。俺もびっくりだ。リリも知らないってことは本当に珍しいんだな」
私の渾身の挨拶も実を結ばず、男女の二人組は私を見るや否や問答無用で襲いかかって来た。もしかしたら言葉が通じなかったから……なのかと思ったけれど、今の様子をそうでもないらしい。
うん。間違いなく、あの神が何かしたんだろう。……『キミのために言葉が通じるようにしておいたよ。感謝してね☆』的なことを良いながらサムズアップをしている姿が目に浮かぶように見える。
……それはともかくとして、何故襲いかかられたにもかかわらず、どうして今は仲良く話すに至ったのか。当然疑問に思うと思う。
そう、こうなった理由を話すには、今から3000年前にまで遡ることになる……なんてことも無く、普通につい数時間前の事である。
襲いかかって来ていた二人だが、戦いに関しては完全に素人な私でもギリギリで見切れるレベルだった。まぁ、攻撃を全部その身でくらっちゃったんだけどね。
……え、なんで見えているのに躱さなかったのかって? 無理だったの。私では、見えてても躱すために身体を思い通りに動かすのは難しかった。
じゃあなぜ生きているのかって? それは私が幽霊でスケスケボディだからだ。……本当に、スケスケボディで良かった。スケスケボディじゃなかったら普通に死んでたね。
……え、でもそのらスケスケボディのせいで襲われたんじゃないかって? ……………………………。私は悲しいよ。
まぁ、その話はいいや。ちょっと悲しくなっちゃうからね。話を戻すけど、私は二人に攻撃されてもスケスケボディのおかげで死ななかった。
その事に気づいて冷静になった私は、反撃の構えは一切せず、両手を頭の上に上げて『私に害するつもりは無い』ということを説き続けたんだ。
大事なのは熱意だ……たぶん。でもまぁそのおかげで、私が人に害を成す魔物ではないと証明できた。人はどれだけ恐ろしい相手でも、自分にとって無抵抗で誠実にあり続けた人を邪険には出来ないからね。私が人かどうかは要検証だけれども。
「ええ。本来なら本当に、アンデッド系の魔物は危険なのよ」
あ、リリさんのその話は気になるかも。今回の彼らの話でこの世界に魔物がいるということも知れたし、私は自分が思っているのとは別に世間一般から見たらやっぱり魔物に分類されることも理解できたわけだし。
私の仲間? ではないか、親戚的なアンデッドたちがどういう存在なのかは非常に気になるところだ。私がどれだけ誠実に振る舞っても、人は相手のことを第一印象によって良い様にも悪い様にも捉えてしまう。私の場合は見た目が似てるアンデッドたちの印象で勝手に考えられてしまうだろうからね。
アンデッドが似てるってなかなかショックな話だけど、現実逃避をしていても何も変わらない。ここはしっかりと話を聞いてしっかりと考えていこう。
「私もアンデッドに分類されるんですよね? 他のアンデッドってどんな存在なんですか?」
さぁさぁ返答は如何に!
「良いわよ。まずアンデッドはね、臭いのよ」
「……臭いんですか」
「ええ。残念なことにね」
クンクン……自分で自分を匂ってみた感じはそんな感じはしないんだけど、リリさんとかランドさんからしたら私も結構臭っているんだろうか。私も一応女の子なのでその通りなら悲鳴を上げちゃうくらい物凄く悲しいんだけど。というかお風呂入りたい。
「あ、ええと……貴女は大丈夫よ」
あ、なんか気を遣われてる?
「ち、違うのよ。ただ……なんて呼べばいいのか分からなくて」
あ、確かにそれはそうかも。でも私、自分の名前思い出せないからなぁ。……あ、そうだ。この二人に名前付けてもらおうかな。こんなスケスケボディの私の話も聞いてくれる二人だ。名無しじゃ面倒くさいのもあるけど、この二人ならいい名前を付けてくれる気がする。
最悪幽霊ちゃんとかでもいいけどね。幽霊なんて他にいないから、絶対に私だってわかるから。
「良いわよ。貴女、悪い魔物じゃなさそうだしね。まぁ、仮にこれで騙されたとしたら、それは騙された私たちが悪いのよ。ねぇ、ランド?」
「あぁ。俺もコイツが悪い奴には思えない! 根拠は無いけどな!」
二人とも良い人すぎる。リリさんはしっかり者でランドさんは勇ましい感じのイメージかな。
こんな良い人たちからされた良いことには良いことで報いなければならない。『うん。やっぱりアンデッドはアンデッドだな』みたいな事を言わせないように頑張ろう。えいえいおー!
「じゃあ名前を考えるか!」
ドキドキワクワク。さぁてどうなる?
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