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飛び込んだら、すぐに逃げたくなった!!

黒ちゃんを追いかけて走ること10時間ほど。基本は何もない平地ばかりだが、時折“ギャオ”っていうんだっけ?

巨大な大地の裂け目みたいな場所を魔法で飛び越えたりもした。底が見えなくて、かなり怖かったよ!その間、一度も休憩無しで走り続けた・・・んだけど!!


「ちょ・・・タンマ!一回、休憩させて~っ!!」

私は身体強化で底上げをしていても、ベースは運動不足ないたいけな女の子(まぁ、成人はしてるけど?!)さすがに、もうそろそろ休みたい。

日本で働いてた飲食店でだって、昼休憩と夕方休憩がもらえてたのに!

少し先に飛んでいた黒ちゃんに飛びついて、抱きかかえる。黒ちゃんは成人男性の頭一つ分くらいの大きさがあるから、しっかりと羽交い絞め・・・捕まえておくことができるのだ。


「ふふふっ黒ちゃん~暴れないでねぇ」

腕の中で嫌々と身をよじり、暴れる黒ちゃんを抱えたまま、自身の周りに結界を張った。

拘束が解かれ自由になると、黒ちゃんは黒い稲光で結界内を攻撃しだした。ちょっやめ!!


「こっこらぁ!黒ちゃん、やめて!!」

私が慌てて伸ばした手をするりと躱して、じとりと目を細めてる・・・もしかして、私を睨んでるのかな?閉じ込めたの、怒ってる??


「もっもぉ~・・・怒らないでよ!ちょっとだけ休んだら、すぐ結界解くからさぁ」

鞄の中を漁って冷たいミルクティーを取り出す。眼鏡のお兄さんは優秀で、各種飲み物を用意してくれたみたい。私の好きな紅茶系が充実しているのが嬉しい。

ペットボトルでお行儀悪く立ち飲みだ。ごくごく・・・ふぅ座りたい。

ペットボトルに興味を持ったのか、黒ちゃんが小さいお手手でペチペチ叩いてくるの、可愛いけどやめてね。


「ふぅ~・・・黒ちゃん、あとどのくらい走ったら着くのかな?もう直ぐ日が暮れそうだけど・・・?」

黒ちゃんが無言で結界に目を向ける。良いから走れと・・・はいはい、わかりましたよ。ついて行きますよ!

結界を解くと、再び黒ちゃんを追いかけて走り続けた。何もない大地を、黒い球体(目玉)を追いかけて延々と走る。どんな物語だよ・・・ふふっ勇者も魔王も、誰もいない世界で・・・

可笑しくなってクスクスと笑いながら追いかけてくる私を、黒ちゃんが訝し気に振り返った。


暫く走り続けて完全に日が落ちたころ、黒ちゃんがぴたりと止まって、暗い空を見上げた。

私も釣られて空を見上げると、雲間から銀色の月が顔を出した。薄っすらと辺りが照らし出される。


「ん?どうし・・・あれ?何あれ?!」

月の光に照らされて、夜空に浮かぶ巨大な城が現れた。え?!さっきまで見えなかったよね?!

抉られた岩肌が下方向に鋭く尖っていて、城の周りに深い森が見える・・・既視感。


「暗黒の・・・城・・・暗黒のラピ〇タみたい・・・」

バ・・・バ〇スと小さく呟いた私を許して欲しい。

あの城に誰か住人はいるのかな?まぁ・・・てっ・・・天使じゃないのは確かだよね?!

ソワソワと挙動不審な私を無視して、黒ちゃんが城に向かって飛んでいく。

・・・ちょっ考える時間を下さいよ!


「待って!黒ちゃ~ん!う~ん・・・行く?・・・しかないかなぁ?!」

後悔は後でするって決めた・・・お城の中がどんな風なのか気には・・・なる!

私は意を決して、体に風を纏わせた。


「“重力軽減”と・・・風よ!私を“押し上げて”!!」

軽くなった体が風に押し上げられ、空高く飛び上がった。

何これ!浮遊感がちょっと楽しい!!・・・って、んな場合じゃなかった!

多少軽くなってても、飛べるわけじゃない。落ちないようにしないと・・・

階段・・・黒い城に続く階段はどうだろうか?空気を圧縮して、一時的に足場を作るとか?!


「空気を“圧縮”!よっと・・・うん、いける!!」

足場を踏み切って、飛び跳ねるように空の城を目指した。決して下は見てはいけない気がする!上を向いて行こう!!おりゃあ~!!



「っ・・・はぁはぁ・・・よいしょっと!つ・・・着いたぁ~!」

岩の端につかまり、よじ登る。ふぅ~ちょっと休憩。座り込んだまま辺りを見回した。

黒ちゃんが・・・門の隙間からじろりとこちらを見ていた・・・睨むなし。

門を潜り、黒ちゃんを追いかけて進む。城の内部は豪奢な装飾品で飾られて・・・はいなかった。何とも・・・黒くて不気味な、彫像や絵画が無造作に置かれている印象だ。


「こ・・・怖わ・・・っ」

階段を上り、悪魔っぽいステンドグラス(あわわ)が迫力の礼拝堂を抜け、廊下を進み・・・

また階段を上る。段々と嫌な予感がしてきた・・・

冷や汗が流れ落ち始めた頃、赤黒くて(ここ重要)一際大きな扉の前に着いた。

黒ちゃんが触れなくても、扉が自ら開いていく・・・まさかの自動ドア・・・?!

緊張でごくりと喉が鳴った。


「入っていいものか・・・迷うなぁ・・・」

開いた扉の隙間から、おどろおどろしい雰囲気が駄々洩れている。正直・・・怖い。

物語でいうならば、ここは魔が付く王様の城のようだし・・・それにこの立派な扉の先は、謁見の間のような気さえするのだ。うん・・・一時撤退して、考えようかな?!

そろりと後ずさりしようとしたその時、低く響く声が、面倒くさそうに私を呼んだ。


「そこのお前、早く入ってこい」

んぎゃあ~!!よっ呼ばれちゃった・・・!!こっそり逃げようとしたのが、ばれたのかな?!

うう・・・っ覚悟を決めるしかないか・・・だって、迷ってる間にも威圧感が膨れ上がってる!


「し・・・失礼しま~す・・・」

視線を下げて中に入ると、血のように赤いじゅうたんが目に入った。うわぁ・・・


「おい。もっと近くに来い」

入り口で立ち止まることは、許されないらしい・・・とほほ。

緊張しながら前へ進むと、階段が見えてきた。


「・・・顔を上げろ」

ううう・・・面接ならネクタイを見るか、勇気を出して、相手の目を見つめる!!

私は意を決して顔を上げた・・・。


やっと第一魔物、黒ちゃんの他に出会いがありました。

魔法は小説等で予備知識はあるが、イメージで使っていくタイプの主人公、私。

次はそろそろ、私の名前を出せたらいいな~と思っております。


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