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寂しさを拭うもの。

はぁ~・・・サラマンダーの子は気になるんだけど、ちょっと疲れたなぁ・・・。

私は薄手の服に着替えて、ベッドにゴロンと転がった。ふぁ・・・お布団気持ち良いな・・・ちょっと眠・・・。


「・・・んはっ?!」

「ぐっ・・・」

いけない寝落ちしてた!!急に意識が浮上して、慌てて起き上がったら何かにぶつかった。その反動で私はまたベッドに倒れたんだけど・・・。

「痛てて・・・あれ、リガルド様?どうしましたか?」

見上げた先には、おでこを押さえたリガルド様が居た。手が大きいから両眼も隠れていて、表情がわかんないんだよね。

「お前の頭蓋骨の強度を、今度測らせてくれ」

やだ何それ!魔王様ジョークか何かかな?頭蓋骨の強度なんて、どうやって測るのかな?!


「ふふっリガルド様でも冗談とか言うんですね」

いつも意地悪されたり、揶揄われたりとかはよくあるけどね。ジョークを言うのは珍しいね!

「お前には冗談に聞こえたのか」

おでこから手を離したリガルド様が溜息をついて、私の方を見た。あれ・・・?何だかおでこが赤くないかな?

「どうしたんですか、おでこが赤いですよ・・・?はっ・・・まさか、誰かに襲われ・・・っんむ?!」

起き上がろうとした私のおでこを、そっとベッドに押さえつけながら、リガルド様に唇を塞がれた?!

「な・・・んっ」

何度か角度を変えてキスされて、頭がフワフワしてきちゃう・・・。たぶん真っ赤になっている私の顔を見て、リガルド様が満足そうに笑った。


「私に打撃を与えた罪は、これで許してやろう」

「え?!罪?・・・もしかして、私が起き上がった時にぶつかったんですか?!」

リガルド様に手を引かれて、ベッドから起き上がった。さっき飛び起きた時かな?悪い事をしたかも・・・。

「お前の頭は恐ろしく硬いな。魔牛も頭突きで倒せそうだ」

「むう~っ」

クククッっと揶揄うように目を細めて笑われた!確かに、子供の頃から石頭って言われてたけど・・・デリカシー無いんですけどぉ?!


私が頬を膨らませてプンプン怒っていると、リガルド様に優しく頬を撫でられた。そんなんで誤魔化されませんよ!ツンツンもやめ・・・っ!

「もうっ」

「お前は可愛いな」

「~~~~~っズルい!」

リガルド様が深緋色の目を細めて笑いながら、私を抱き上げた。最近・・・リガルド様が本当にズルい。私は恥ずかしくなって、リガルド様の肩に顔を埋めたんだ。


リガルド様に抱っこされながら城の中を歩いて行って、やがて外に出たんだけど・・・何処まで行くのかな?ちょっと寝過ぎたみたいで、空が夕焼け色になってきてるね。

「ホノカが寝ている間に、作ってみたぞ」

「ふお?!」

着いた先は、魔王城の裏手の林の中に作られた・・・ろ、露天風呂だああああ?!!嘘っすごい・・・!!

「この石・・・土魔法で生成したんじゃなくて、天然石じゃないですか!えっ・・・どうやって・・・」

吃驚し過ぎて、言葉になんないよ。私が日本で愛した、湯どころの露天風呂が目の前にあるんだもん。


「石は拾ってきた。ホノカが温泉と聞いた時に、強くイメージしたものが見えていたからな・・・どうだ、気に入ったか?」

後半は私の表情を伺うような顔をした、リガルド様が・・・愛おしい!温泉、嬉し過ぎるよおおお!!!

「リガルド様、完璧です!すごく、すっごく嬉しいです!!ありがとうございます!!」

笑顔でリガルド様にギュッと抱き着いたら、抱き締め返してくれた。背中をポンポンされて、興奮が少し落ち着いてきたから降ろしてもらったよ。


あらためて露天風呂を観察してみる。大きな岩で半円状に囲まれていて、水源がわかんないんだけど・・・滝のように湯船に流れ込んでるの。湯船を丸く囲む大小様々な石が良い感じ。

湯船の中を覗くと、火のスライムの魔石が入ってるね。どれどれ、湯加減はどうかな?手を差し込んでみたら、丁度いい湯加減どすぇ~(浮かれすぎて、語尾もおかしくなっちゃうよ!)

「あ、黒ちゃんとサラマンダー!一緒に遊んでたの?」

滝の裏から黒ちゃんとサラマンダーが飛んで来た。黒ちゃんは黒い稲光をバチバチさせてるし・・・サラマンダーは口からちょっと炎を吐いてるけど・・・遊んでるんだよね?!


「仲良くしてね~?そうだ、皆でお風呂に入りましょう!私、着替えてきますね!」

転移で自室まで飛んで、急いで水着に着替えた。眼鏡のお兄さんが鞄の中に用意してくれていたのが、ビキニなんだけど・・・深くは突っ込まないよ。私の胸は普通サイズだから、やらしさは出ないはず!

転移で露天風呂に戻ると、腰に布を巻いただけのリガルド様が!岩に腰かけて私を待っていた。

「ふあああっ・・・筋肉すごっ?!・・・鼻血!・・・私、鼻血出てないですよね?!」

両手で鼻を押さえてリガルド様を見れば、残念な子を見るような目で、私を見ないで下さい?!

「何をやっている?・・・お前こそ、俺を誘っているのか?」

リガルド様の深緋色の目が揺れて、私の腰に手を伸ばしてきたんだけど・・・ちょっと、待って?!


「ちょっ・・・色気出すの禁止で!えと、普通にお風呂に入りましょう!はい、“洗浄”!」

全員に洗浄魔法を掛けて、私は湯船にゆっくりと入った。慌てて入ると、危ないからね。

「ふぅ~良いお湯!さあ、リガルド様も!黒ちゃん達もおいで~!」

「・・・この状態でお預けとは。まぁいい」

リガルド様がブツブツ言いながらも、私の横に来て湯の中に座った。座った状態のリガルド様の胸辺りまでの深さだから、私だと肩まできちゃう。のぼせないように気を付けなきゃな。

「ほう・・・城の風呂より湯温が高いが、外気で冷えるから丁度いいな」


「気持ち良いですか?」

「ああ」

リガルド様が目を閉じて、ほっと息を吐いた。良かった、満更でもなさそうだね!

黒ちゃんは目が濡れないように、上向きで目を閉じてプカプカと浮いている。サラマンダーの子は、黒ちゃんを真似してうつ伏せで浮いてたんだけど・・・苦しくなって、慌ててひっくり返ったね!

「ふふ・・・っ」

「どうした」

「いや、まさか異世界に来て露天風呂に入れるって思わなくて・・・何か、今の状況が不思議で可笑しいなって」

電車で轢かれてからこの世界に来るまで、そしてリガルド様に会うまで・・・本当にジェットコースター並みの速さだったんだよ。


「私、前にもちょっと話しましたけど・・・突き飛ばされて、電車に跳ねられて死んじゃったんですけど・・・そこから神に釣り上げられて、バカにされて悔しくて・・・」

「・・・」

「自分じゃない誰かに振り回されて、生きるんじゃなくて・・・自分だけの物語っていうか、私だけの・・・私らしい人生を歩みたくて、この世界に来たんですよ」

「そうか」

「はい。最初は荒廃した大地に絶望したんですけど・・・リガルド様に出会って、あっ黒ちゃんにもだね!いろいろ教えて貰ったり、行ったりして・・・私、凄く楽しいんです」

たどたどしい私の話を、リガルド様が静かに聞いてくれる。湯船の中で私の手を見つけて、繋いでくれた。


「あっちの世界の家族に会えないのは、ちょっと、やっぱり寂しんですけど・・・今は、もう大丈夫っていうか・・・」

ツンっと鼻の奥が痛くなった。やば・・・泣きそう・・・。

「お前は一人じゃない。俺が居るだろう」

「・・・」

「ギャウッギャギャッ」

リガルド様に抱き寄せられて、膝の上に乗せられた。黒ちゃんもサラマンダーも飛んできて、皆で私をギュウギュウと抱き締めてくれた・・・ううっありがとう。

「ズッ・・・へへっ・・・皆、ありがとう。私・・・寂しくないですよ!」

リガルド様の胸に顔を埋めて、ギュッと抱き締めた。安心する匂いだ。

書きながら恥ずかしくなったり、悶えたり・・・時にはウルッとなったり、感情を上手く乗せて書けたら良いなって思います^^;難しいですが、頑張ります。

ブックマーク、評価、読んで下さってありがとうございます!本当に嬉しいです^^

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