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願うなら、私だけの物語を・・・!

明日には、異世界に転生できそうです。

「安心してよぉ!君は僕が呼んだんだからさ、大丈夫だって!」


か・・・軽い。神が軽すぎて、全然安心できない!!


えっと・・・どうしてこうなったんだっけ・・・ホームで本読んでたら、突然突き飛ばされて・・・

私、死んじゃったんだ・・・あんな、くだらない痴情のもつれに巻き込まれて?!

バレンタインデーに?おひとり様の無害なオタクが、とばっちりで死んじゃったんだ・・・

悔しくて、涙が溢れてきた。鼻水も・・・ズズッ・・・ティッシュ欲しい・・・。

神は、泣き出した私を、にやにやと笑って見ている。本当に神なの?悪魔じゃなくて?!


「・・・こんなのでも、一応、神ですよ。」

眼鏡のお兄さんが、やれやれとため息交じりで、ハンカチを出してくれた。


「ほら・・・鼻もかんでいいですからね。・・・もう一枚、どうぞ」

「うう・・・ありがとうございますぅ・・・ズズッ」

一頻り泣いたら、ちょっと落ち着いてきたかも。何で、私はあの人に突き飛ばされたんだろう?


「それは君が笑ったから」

「え・・・?」


「君があの時、本を読んで笑ったからだよぉ!後ろにいた女の人が、自分のこと笑われたって勘違いして、キレて君を突き飛ばしたんだよぉ!」


ねって、神が笑いながら、眼鏡のお兄さんに同意を求めてる。

そんなことで?そんなことで私は死んだの??


見る?って神が動画を見せてくれた。私が本を読んで、ちょっと笑ってから、私が死ぬまでの部分。

さすがに、ぶつかってからのところはモザイク入れてくれてて、気持ち悪い思いはしなくて済んだんだけれど。


「不条理だ・・・」


「うん!でね!今日一日だけでも、けっこう人間が死んでるんだけどさぁ、その中でもついてないっていうか、死んだ理由が可哀そうな子で、良い子を選んだんだよねぇ!!」

あっはっはと楽しそうに笑う、神の言ってる意味がわからない。なんだそれ。

あれ、見て~って、神が指さす方を見れば、数枚の写真が貼られたダーツボードがあった。

その中の一枚が私の顔写真で、顔のど真ん中に、ぐっさりとダーツが刺さっている・・・。


「・・・まさか、ダーツで選ばれた??」

「・・・まあ、それはさておき。選ばれたあなたには、選択権が与えられます」

眼鏡のお兄さんが、くいっと眼鏡を押し上げながら、切り出した話によると、こうだ。


「選考基準は、他者による悪意ある行動によって、不慮の事故で命を失った者であること。異世界に対する免疫があり、精神力が強い者。年齢が若く、健康な体を持ち、恋をしたことのない者。・・・で、あなたが選ばれました。本来なら、あなたはまだ死ぬ予定ではなかった。その為、あなたはこのまま死後の世界に向かうか・・・私共が管理している、異世界の一つに転生するか、どちらか選ぶことができます」


「・・・異世界転生・・・」


選考基準がいろいろ気にはなる、けど・・・聞き捨てならないワードに、私の喉がごくりと鳴った。


「あなたたちは・・・異世界を管理している・・・ですと?」


「ええ、いくつかの世界を取りまとめています。・・・一応、あの方は神、なのでね」

眼鏡のお兄さんがちらりと見た先では、神がダーツで遊んでいる・・・ちょっ

その刺さっている写真・・・あの時のイケメン風、お兄さん?・・・もしかして、あの後・・・死?

私がダーツボードを指さすと、眼鏡のお兄さんが無言で頷いた。


ざ・・・いや、人の不幸を祝ってはいけない。

私は腐っても、善人でいたいんだ。絶対・・・人の不幸を笑う人間にはなりたくない。


「ねぇ~話、終わったぁ?」

神がけたけた笑いながら、近づいてきた。ずっと笑っているな・・・この神。


「ね~?君、異世界大好きでしょ?」

「あ!その本!今日買ったばっかりで、まだ読んでる途中なんですよ!」

勇者がヒロインたちとイチャコラやって、ドタバタしてるシーンで・・・

可笑しくて、笑って、私・・・死んだんだよね。


「・・・・」

そう思ったら、楽しく読んでいた気分が、暗く沈んでいった。他人の痴情のもつれを楽しんで、他人の痴情に巻き込まれて、死んだんだ。それは、どれも私の物語じゃない。


「っく・・・ふぅ・・・」

止まったはずの涙が、また溢れてきた。私だって、巻き込まれて死んじゃうモブじゃなくて、

主役になってみたい。派手な物語じゃなくて良いんだ。のんびり、日々を大事に生きるような、そんな物語が良い。


「私はっ誰かがっ・・・作った物語じゃなくてっ・・・ぐすっ誰かのための物語じゃなくてっ・・・ズズッ」


私は顔面をたれ流れるもので、ぐちゃぐちゃにしながら叫んだ。


「わっ私だけの物語で・・・命を燃やして、精一杯生きでみだいんですうう!!!!」

目の前でにやにやと笑いながら、涅槃像みたいに寝転がって私を見ている神と、私の一挙手一投足をもれなく記録し続ける、眼鏡のお兄さんに向かってだ。


「ぷっくくくっ・・・汚っない顔おおっ」

腹を抱えながら、私を指さして、神は笑い転げている。

「で、どんな物語を生きたいわけえ?」

「素敵な勇者と命をかけた恋物語?ぷぷっ・・・それとも、非業の死を遂げるお姫様の物語?あはっウケる」


私はぶるぶると震えながら、拳を握りしめる。何なら噛みしめた唇から、血を流しながら。悔しくて悔しくて。


「勇者なんか要らない!お姫様なんかになりたくない!!私は・・・健康で、食べるものは自給自足でもいいから、作物育成スキルと、狩りもしたいから魔法も使いたいし、戦闘スキルもちょっと欲しい。それから、毒に当たりたくない!毒無効に、お腹壊したくないから鑑定も欲しい。仲間も、1人で良いから・・・絶対に私を裏切らない人が欲しい。権力に巻き込まれたくないから、いろいろ煩わしいことを無視できる、メンタルが強い人だと、なお良し!!」

それから、それから、あれも、これも欲しいし、あっても困らないと思いつく限りのスキルを要求する。

神は大笑いして、聞いてるのかどうかわかんないけど、眼鏡のお兄さんは・・・あれ・・・あ、青筋たってる?かな??(怖いけどっ・・・止まんないもんね)


私は、涙も鼻水も乾いて止まるまで、あれこれと無茶振りを続けたんだ。

時間停止がかかった無限収納バッグとか、もちろん欲しいよ!

装備は最低限、丈夫なものをお願いします!!




明日更新予定です。異世界、行きますよ!

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