海底神殿に行こう!2
溺れる?!と思って、慌ててリガルド様にしがみ付いた。抱きしめ返してくれたリガルド様が、私の頭をポンポンと軽く叩いた。
「目を開けて見ろ。息を止めなくても良い」
「・・・はい」
耳元で聞こえた声にホッとして、そっと目を開いた途端・・・視界に飛び込んできた光景に、息を呑んだ。
「・・・っ・・・綺麗!」
澄んだ深い青の世界に、色とりどりの魚が泳いでいる。それだけじゃない!亀に似てるけど、長い尾を引いて優雅に泳ぐ生き物や、ちょ・・・?!まさかあれは!!!
「人魚しゃん??!!」
私は思わず、リガルド様が張った膜(結界みたいなものかな?)に飛びついて、目を凝らした。
「遠目で見えにくいけど・・・あの上半身が人っぽい魚影は・・・人魚・・・じゃねええええ??!!」
「煩い。口汚いぞ」
「あ、すみません!!でもそんな場合じゃなくって・・・あれ見て下さい!」
人魚もどきが裂けた口を大きく開いて、私達に向かって泳いできてるのだ!!すんごい怖い顔だよおお?!!
「心配するな」
リガルド様が私の背中を擦って宥めてくれる。私達を包む膜はゆっくりと水底に降りて行ってるんだけど・・・ぎゃ?!人魚もどきが膜に噛みついた!!思わず右手に魔法を練って構えた時、巨大な銀色の魚が人魚もどきの横っ腹に噛み付いて、あっという間に連れ去ってしまった。一瞬の出来事すぎて、頭がついて行かない。
「こ・・・怖っ・・・」
ポカンと口を開けたまま、へなへなとしゃがみ込んでしまった。腰が抜けた・・・。
「・・・」
私を見下ろしていたリガルド様が、しゃがんで私に顔を寄せた。私の開いた口に唇を重ね、舌を忍び込ませ・・・?!
「んっ?!・・・あ・・んん・・・」
リガルド様の胸を押そうとした私の手は、大きな手に包まれてしまった。片側の手は私の首の後ろに回されて、逃げることができない。舌が絡んで、熱い・・・!
初めて感じる感覚に、頭が呆けて何も考えられなくなった。んん・・・何これ・・・気持ち良いよぉ・・・。
「もう怖く無くなったか?」
少し離れた深緋色の目が細まって、揶揄うような表情を浮かべる。親指で唇を拭われた私は・・・息も絶え絶えで、蹲って丸くなるしかなかった!
「~~~っ!!!」
「もう水底に着くぞ」
リガルド様に抱き上げられた私は、恥ずかしくて熱が下がるまで、首にしがみ付いて顔を隠していた・・・。
水底には神殿のような建物があった。入り口の門を潜る時に、リガルド様が膜を解いた。潜り抜けた先は水中じゃ無くて、様々な色の花が咲き乱れる、美しい森の中に変わっていた。森の向こうに神殿の屋根が見える。
抱っこから下ろしてもらって、花の中を歩き出すと、キラキラと空気中に飛び交う光が集まってきた。
「ま、まさか、金虫?!」
身構えて、リガルド様の陰に隠れた。は?!思わずリガルド様を盾にしちゃったよ!恐る恐る見上げれば、ジトリと睨まれていた。
「よく見て見ろ」
リガルド様が光をひとつ摘まんで、私の顔に近づけた。ひっ?!と一歩下がった私に、更に近づける。
顔を顰めながら見ると、エルフの森で見た金虫じゃなくて・・・かんわいい、お花の服を着た小さな女の子だった!
「はんわあああ?!!!か、可愛い~!!」
驚かせないように、両手で口を覆って悶える私を、リガルド様が呆れて見ている。
リガルド様に摘ままれた妖精さんは、ぷるぷる震えながら、四肢をだらんと下げて動かない・・・。
「何か、デジャブ?怖がらなくて大丈夫だよ?怖くないよ?」
私の言葉に顔を上げた妖精さんは、何故か「ひっ!」と小さく悲鳴をあげて、まただらんと死んだふりをした。
「なんで・・・?私が読んだ本では、ヒロインはあらゆる生き物に、愛されてたんだけど・・・?」
「・・・」
リガルド様が、何とも言えない微妙な顔で見てくるの・・・何で?
は!良いことを思いついた!仲良くなりたいときは、餌付けだよね?!鞄の中を漁って、マカロンを取り出した。
可愛いピンク色の、コロンとしたこれを妖精さんに・・・届く前に、リガルド様にバクッと食べられた!
「美味い」
「いや、ちょっ・・・?!」
もぐもぐと咀嚼する、リガルド様も可愛かったので・・・先に幾つか出して渡した。もう・・・!!
「気を取り直して、どうぞ?甘くて美味しいお菓子だよ?」
妖精さんが、マカロンをじっと見て、私を見て・・・逡巡した後、そっとマカロンに手を伸ばした。
小さなお手手が、マカロンを持っている!!決死の表情でハムッと噛みついた途端に、笑み崩れる顔が可愛いいいい!!!!
夢中で食べる妖精さんをデレデレの顔で見ていると、リガルド様に顎をクイッと掴まれた。
「俺も同じものを食べているが?」
「あ?も、もちろん、リガルド様も可愛いですよ?!」
方眉を上げたリガルド様に、チュッと口付けられた。じっと私を見つめて・・・おかわりが欲しいんですね?!
追加のマカロンを渡すと、ニッと笑って頭をクシャクシャと撫でられた。
「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」
視線を感じて振り向くと、お花の服を着た妖精さんが沢山いて、半目で私達を見ていたんだ・・・?!
羽のある虫や蝶が苦手な私は、果たして妖精を見て可愛いと思えるのか・・・?
羽の存在を忘れるくらいの可愛い容姿なら、イケるかな・・・?と思いながら書いております。
ブックマーク、評価ありがとうございます!嬉しいです^^




