隣でねむらせて・・・1
エルフの郷から城に戻って直ぐに、貪るようにホノカの唇を奪った。
ホノカが俺以外のものと話しているのが、気に食わない。この唇は誰のものか、わからせた方が良いのだろう。
ホノカが俺以外に笑いかけるのも、気に食わない。いっそ心を取り上げてしまおうか?
火照って赤くなった頬を撫でる。顔を上向かせ、ホノカの瞳を覗き込んだ。意地の悪い俺が笑っている。
この細い手も腰も・・・粉々に砕いてしまえば、煩わしさが消え満たされるのかもしれない。
口づけを重ねれば、ホノカが力なく凭れ掛かってきた。もう限界か?抱き上げて、寝室に運んだ。
ベッドに寝かせると、小さな寝息が聞こえてきた。
「俺の前で無防備に眠るとは・・・図太い奴だ」
額にかかる髪を横に流し、軽くキスを落とす。・・・目を覚ます時が、待ち遠しい。
夜が明け、朝陽が空を青く変えていく頃・・・
使い魔の黒(ホノカがそう呼ぶから、俺もそう呼ぶことにした)が、外を気にして窓を叩く。
俺の一部から作られたこいつは、俺と同じもののはずだが・・・最近自我が目覚め始めたようだ。
「ホノカの影響か・・・何を見ている?」
窓に近づいて、黒の目線を追った。ホノカだ。ホノカが城下の空き地に、畑とやらを作っていた。
土魔法も使うのか。器用に土を掘り出して、エルフの郷から運んだ土と入れ替えている。
ホノカを見つめて窓を叩く黒に、仄暗い感情が湧くが・・・所詮は俺と同じもの。
俺の執着に引きずられているだけだろう。視覚を繋ぎ、窓の外に出してやった。
「脇目も振らず飛んで行ったな・・・俺は犬か」
自嘲的な笑いが漏れる。退屈な命だ・・・あの女に繋がれるのも悪くない。
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「ふう~・・・こんなもんかな?!初めてにしちゃ、良くできたんじゃない?!」
神に貰った物の中に、開墾とか野菜の育て方の専門書もあるから、勉強しながらゆっくりやっていこう。エルフの郷からもらった土は、ミミズに似た虫とかいっぱい居たし、自然にできた腐葉土だから人工的な肥料は入れない。
魔の領土に山や森があったら、不耕起栽培っていうのをやってみたかったな・・・自然の力で育った野菜を食べてみたい!
「でも、ここでだって、美味しい野菜を作ってみせる!」
えいえいお~!!って、空に拳を突き出していたら、後頭部をトントンされた。
「何?あ、黒ちゃん!おはよう~!良い天気だねぇ~」
青空に不似合いな黒ちゃんが、じ~っと私を見ていた。手を伸ばして捕まえて、よしよしと撫でまわす。
最初見た時はびっくりしたけど、見慣れると愛着が湧いてきたんだよね~。硬いベルベットみたいな体に鼻をつけ、クンクン匂いを嗅ぐ。リガルド様と同じ匂い。
「へへっ」
ビクッとした黒ちゃんが、身を捩って逃げてしまう。おいで・・・ほら、怖くない。ね・・・?
「チチチッ・・・ル~ル~ル~・・・おいで~」
この呼び方で、動物が寄ってきたことって無いよね?黒ちゃんも、もちろん来ないよ!私の手をすり抜けて、ふよふよと飛んで逃げてる。追いかけっこみたいで、ちょっと楽しい。
「・・・っはあ、はあ・・・ちょっタンマ!つ、疲れた~」
身体強化しないと、私は体力が全然ない。乗り物通勤だったし、仕事も立ち仕事だったけど、そんなにハードじゃ無かった。でも、文房具屋や雑貨を扱う店で・・・けっこう好きな仕事だったんだよ。
「突然、来なくなった私は・・・どんな扱いになってるんだろう?」
無断退職した、不義理な奴だと思われてるんだろうな・・・あ~あ。しょんぼりだよ。
うつ伏せで倒れたままの私の背中に、黒ちゃんが乗っかった。ふふ・・・っ猫みたいだ!黒ちゃんを捕まえて、寝返りを打つ。お腹に黒ちゃんを乗せて、空を流れる雲を見ていたら・・・ぽかぽかして眠くなっちゃった・・・。
「黒ちゃんが、独り立ちをしようとしているだと?!」
「まぁ、あれだけ魔王と別の生き物として接していれば、自我も目覚めるでしょうね」
「あ~!!こんな遠目にじゃなくって、側に行って見たい!聞きたい!揶揄いたい!!」
「最後のが目的でしょう?鞄の底に忍ばせたものに気づかないと、交流は無理でしょうね」
「底に入れたの?!何で一番上に入れないかなぁ~?!」
「・・・・・・貴方が、迷惑をかけるからですよ」
「ああ~!!wwww」
神と眼鏡の補佐官の存在が、薄れてきています・・・^^;
忘れないうちに、出したいところです。
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