お花の道を越えたら、ファンタジーの郷!
「話した感じ、敵意は感じられないな・・・。とりあえず自己紹介をしておくか。俺の名はシグルズ、エルフの郷族長付き近衛隊長の任を務める。こいつは、族長付き近衛隊副隊長のヘイムダルだ」
ワイルドさん改め、シグルズさんが自己紹介をしてくれた。
「あ、ご丁寧にありがとうございます!私は穂乃花と申します。ただの人族です!」
リガルド様に抱っこされたままも失礼だと思って、下ろしてくれるようお願いしたけど、駄目だって。
しょうがないから、リガルド様の腕の中から、ペコリと頭を下げておいた。
「俺はリガルド・ガレス、魔の領土の王だ」
リガルド様の姓、初めて聞いた!さすが、頭は下げないんだな~と思って見ていたら、目に息を吹きかけられた!目が乾く~!!
「王と言っても、あの荒廃した土地に独りぼっちなんですよね?可哀そう。孤独な王・・・何か、かっこいい響き?!」
「・・・お前がいるから、独りではない」
それってなんか・・・後ろ髪引かれて、出て行けなくなりそうというか・・・色んな気持ちを縛る言葉だよね。
「狙って言ってます?」
リガルド様は赤く揺れる深緋色の目で、私を見つめて微笑むだけだった。これは初めて見る笑い方だな・・・。
「ちょっ・・・タンマ!そういう、もぞもぞする会話は、お前たち2人の時にやってくれ!」
「正直、側で聞かされるだけで疲れます。もう帰っても良いでしょうか?」
「あ、何かすんません!でも・・・せっかく出会ったのに、唯では返しませんよ?!」
唯では返さないという言葉に反応したお二人が、剣の柄に手を伸ばしそうになって、そっと下ろした。
「そう緊張するな。このまま俺達もエルフの郷に連れて行け。目的はあくまでも土だ」
「暴れないと、約束はできますか?」
「します!」
「「・・・・」」
「約束しよう」
私の返事だけだと、不安だったんでしょうかね?!リガルド様の含み笑いは、信じちゃ駄目なんですけどね!
話が纏まったところで、エルフの郷に向かって4人で歩き出した。
「そういえば、ずっと抱き上げられたままだけど、怪我でもしてるのか?」
シグルズさんの素朴な疑問が辛い。大変に答えにくい・・・。私は俯いて、もごもごと答えた。
「離してもらえないだけです」
「え?悪い。聞き取れなかった」
「・・・怪我してません!リガルド様が・・・私を離してくれないだけです!!」
「お、おう!そうか・・・余計な事聞いて、すまん!」
「そういうところが、貴方のデリカシーの無さですよ。見て見ぬ振りを覚えましょうね」
シグルズさんは、片手で顔を覆い「あ~~~~っ」と言いながら、空を仰いだ。
暗い森の中を4人で歩いて行く。不思議と動物にも、魔物にも出会わなかった・・・。
暫く歩くと、遠くに小さな光が揺れているのが見えた。近づいて行くと光の数が増えていく。
「あ、スズラン?」
道の両側に沿って、淡く光る花が咲いている。形はスズランに似ているけれど、花の大きさはピンポン玉くらいある。そっと触れると、薄青色の花弁がチリンッと鳴った。ふぁ、ファンタジー!!!
目にかけた“暗視”を解除する。この景色は肉眼で楽しみたい!!風がさあっと吹いて、スズランを揺らしていく。
チリンッチリンッと優しい音が、心地よく響いた。
「素敵・・・」
「リリンの花だな。夜にはこうして青く光り、道を照らす」
「ここまで来れば、郷はあと少しですよ。リリンの音について行けば郷に入れます」
シグルズさんが先頭に立って、リリンの音を追って歩く。私達はその後をついて行った。
「ふあ~!音が鳴ったリリンは、他と少し光の色が違いますね?」
「見分けがつくのか?」
シグルズさんが、ちょっと驚いた声で言った。何となくですけどね?私はうんうんと頷いた。
「こいつは普通の人族ではない。見え方が違うのだろうな」
リガルド様が笑いを含んで言ったんだけど、私はごく普通の、人間ですけどね?!
辿り着いた場所にはリリンが群生していて、チリンチリンッと音楽を奏でるように鳴っている。
ヘイムダルさんがリリンの花に手をかざして、何かを呟いた。この世界に転移してから言葉に不自由してないんだけど、今の言葉は聞き取れなかった。リガルド様に聞き取れましたか?って、こっそり聞いたら教えてくれた。
「エルフの古い呪文だ」
ふむ。古代語までは翻訳できないのかな?チート機能は搭載されていないみたい。
リリンの花の光が集まって、チリチリと青い火花を散らした。そこから滲み出るように扉が出てきた。
ふっ・・・ふおおおおおおお??!!
青白く光る扉には、リリンの花が装飾に使われている。指〇物語とかで出てくるような、繊細で幻想的な光景だ。
「さあ、行きましょう」
ヘイムダルさんが扉を開き、中に促した。扉を抜けると其処には、あの・・・伝説の樹が私を出迎えてくれた!
「はんわああああああああああ????!!!!」
両手で口を押えても間に合わす、私の嬉々とした叫び声がエルフの郷に響いたのだった・・・。
指輪物語大好きです!スズランも可愛くて好きなんですが、巨大化しても可愛いサイズはどの位までか迷いました。結果、ピンポン玉くらいです。
次はいよいよ、エルフの郷で土を貰えるように、頑張ります!
ブックマーク、評価ありがとうございます!嬉しいです^^




