追跡者との異文化コミュニケーション。
「貴方達のじゃれ合いを何時までも見ていられ程、私達も暇ではありません。話を進めましょう。魔族の貴方、エルフの郷に向かっているようですが、目的を言って下さい」
わあ・・・丁寧だけど、直球で聞いてきたね!
「欲しいものを貰いに行く」
「・・・・・・っ?!」
リガルド様の返答が簡潔過ぎて、誤解を生んでないかな?!エルフのお二人が緊張して、手を剣の柄に添えてるんだけど?!
「あのっ!はい!私が答えます!!」
私が右手をビシイッと垂直に振り上げると、エルフのお二人は更にビクッと体を硬直させて、剣を少し抜いた。
「な、何で?!あの・・・リガルド様の言い方だと誤解があって!!私達は、エルフの郷の土を分けて貰いに来ました!!」
これで正しく伝わったよね?どやっと、私は胸を張って言った。
「エルフの土地を奪いに・・・?!」
「やはり、敵か?」
「いや、違くて!!ほんのちょっとです!畑が作れるくらいで、良いんです!!」
「エルフの郷全域に、畑を作るのも良いな」
リガルド様が含み笑いをしながら、更に誤解を生む言い方をする。もう、本当にやめてってば!!
エルフのお二人が、私達をじっと見つめて逡巡している。剣を抜くか、収めるかみたいな?
「あのっ!私は人族で無害です。こちらのリガルド様は、魔王様ですが・・・話は、まあまあ聞いてくれますよ!」
シーン・・・・と字幕が出そうな程に、シーンってなった?!あれ?何で?!リガルド様だけがニヤニヤと笑っている。
「「・・・・・・・・・魔王」」
少しお堅そうな方のエルフさんが剣を抜いて、切り掛かろうと走り出したのを、ワイルドっぽい方のエルフさんが前に回って止めている。何か、映画のワンシーンみたい!!私はガン見しながら、事の成り行きを見守っているよ!あ~ポップコーン食べたい。塩バターとキャラメル味。出して食べたら、怒られるかな??
「ポップコーンとは何だ?」
「あ、食べます?強火で爆発させたトウキビに、味付けしたやつです」
鞄からポップコーンを取り出して見せた。もちろん、Lサイスだよ!!お腹いっぱい食べたいでしょ?
「手が塞がっていて、食えん」
リガルド様の両手は、私を抱っこしている・・・。下ろせば良いんじゃないかな?とも思ったけど、何だかんだ私も感覚が麻痺してきたんだろうね?リガルド様の口にポップコーンをあ~んして、放り込んだよ。
「む・・・美味い。甘いのと塩気があるもの・・・無限に食えるな」
「あ、遂に無限ループに堕ちましたね?そうなんですよ~甘いの、しょっぱいのは無限に食べられるのがね!」
罪深い、こんな夜にとっても罪深いんだけど!夜ご飯まだ食べて無かったからnot guiltyみたいな?!パクパク食べてもゼロカロリーだから、大丈夫みたいな!!
「見ろ、にこにこと笑いながら、魔族と何か食べているあの女が・・・お前には、危険が有るように見えるのか?」
目ん玉ひん剝いて良く見ろ!とかワイルドっぽいエルフさんが、私達を指差して力説している。
お堅そうなエルフさんは、俯いて眉間を揉んでいる。頭痛いのかな?大丈夫ですか?!
「あ、頭痛いときは甘いもの食べると良いですよ?!ポップコーン食べますか?!」
「「・・・・・・・・」」
「これはやらん。俺が全部食うからな」
「いやいや、欲張りな子供じゃないんですから!鞄の中にもう一個ありますんで!はいどうぞ!!」
エルフのお二人に差し出したけど、受け取ってくれない。しょうがないから、リガルド様に近づいてもらって、強引に押し付けたよ。今は二人でポップコーンを睨んでいる・・・大丈夫、怖くない・・・ね?
私が手元のポップコーンを口に入れると、エルフのお二人がじっと見る。私がリガルド様の口にポップコーンを入れると、以下同分。「さあ、どうぞ」と促せば、ワイルドっぽいエルフさんが先に口に・・・入れた!
「?!」
ワイルドっぽい・・・長いな。ワイルドさんが口を押えて、目を見開いている。お堅いさんが焦って、吐き出すように言っている。心配性さんめ!
ワイルドさんは残りの味も口に入れてから・・・お堅いさんの口に、無理やりしょっぱい方を突っ込んだ。
「?!・・・!!!」
お堅いさんも、ワイルドさんと同じ顔をした。二人で頷き合って、仲良くポップコーンの∞ループに堕ちたね!
うんうん。良き良き。私達4人はポップコーンが無くなるまで、無言でもぐもぐ食べ続けたんだ・・・。
「はぁ~・・・食った。これは魔族の食い物か?止まらなかったぞ」
ワイルドさんが指を舐めながら、言った。お行儀は悪いけど、正しい作法とも言えるかな?指が美味しいよね!
「わ、私はいったい何を・・・」
お堅いさんが呆然としている。気にしたら負けですよ、考えないで!!
「えっと・・・私の国の食べ物です。美味しかったでしょう?」
私は満足して、にこにこ顔だ。リガルド様が私の指についた甘いのと、しょっぱい味のマリアージュを堪能してるけど。見ないことにする。何か、こういうのにも慣れてきたみたい。
「どこの国だ?ここ周辺にある、幾つかの人族の国は・・・魔の領土と戦をして滅びたばかりだろう?」
ワイルドさんが言い辛そうに問いかける。あ、気遣ってくれてるのかな?
「私の国は、ずっと遠くなので!大丈夫ですよ?」
「・・・魔の領土と戦をしたのでは無い。人族が勝手に宣戦し、勝手に自滅したのだ」
リガルド様が不機嫌そうに言った。そういえば、人族が自爆して魔の領土を荒野にしたんだっけ・・・。
「人間って、本当に身勝手で、救いようがないですね!」
頬を膨らませて、ぷんぷんと怒る私を、3人の男たちが何とも言えない顔で見ていた。何でしょうかね?!
「お前も人族だろうに・・・ははっ。おかしな女だ」
「人間という言い方は、独特な響きですね。初めて聞きますが、遠方では常用でしょうか?」
笑うワイルドさんと、真剣に問いかけるお堅いさん。警戒を解いてくれたようで、嬉しいよ!
その頃クマちゃんズは・・・食べられる花の蜜を求めて・・・の前に、洞窟で一休みしていた。
ポップコーンは断然、塩バター&キャラメル派です!
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