笑う釣り師は・・・何を釣る?
「み~つけたぁ~www」
私が意識を飛ばした瞬間。私が完全に砕けて死んだ瞬間(詳細は割愛させていただきますが)
ホームの中の人々も、電車も、そこに在る全ての時間が停止したようで・・・
誰かの(もちろん、自称・神)楽しそうな声だけが響いた。
そこからが酷かった。砕けた私の体は急速に再生されていき、すっかり元に戻ったと思ったら、
私は襟首を引っ張られ、神に吊り上げられたのだ。二回言おうか?
神に、(自称)神に釣り竿で、雲の上まで吊り上げられたのだ!!
地下鉄のホームの天井をすり抜け、ビルの中をすり抜け・・・空に飛び出し・・・
青空の中、鳥を越え、なんなら飛行機なんかも通り過ぎ、垂直に、ただ垂直に、
上へ上へ吊り上げられたんですよ。細い釣り糸で!!!
「いっやあああああああああああ!!!!死んじゃううううううう!!!!」
私は両手で目を塞ぎ、しゃがみこんで体を丸め、力の限り叫んだ。
雲の上に着いて、目が覚めると同時に見せられた、この再生動画を見ながらだ。
恐怖体験は無意識のうちに経験積みで、意識だけ、追体験させられるかたちでだ。
「あはははは!!!僕の釣りの腕前、どおだったぁ??覚えてないかぁ~もう一回やる?www」
悲鳴をあげる私を指さして、腹を抱えて笑う男・・・(自称)神。本や漫画に良く出てくるタイプのビジュアルだ。
薄く輝く金髪に、青空を閉じ込めたような、煌めく碧眼。細身の体は白いローブのような服装だ。
「これ、完全に君のイメージに寄せてるからね??固定の姿じゃないからね?」
どうやら、見る者によって、神の姿は変わるらしい。良く聞く話だ。
気になるのは、(自称)神の横で何かを記録し続ける、スーツ眼鏡の綺麗めな顔の・・・おじさん?
じろりと私を睨みつけてくる、眼鏡の・・・お兄さん。怖っ・・・もしかして、口に出ていた??
「ぶはっ・・・こいつは、僕の補佐官で、判決前の魂の記録係だよ。出された言葉も、内なる声も、
全て記録されるから、気をつけてねえwww」
え・・・内なる声って、心の中の声ってことかな?なんか怖い。
「こちらに稀に、間違って上がってくる魂がおりますが・・・自分が善であると嘘をつく者には、
そこから地獄に落ちて頂く流れになっております」
眼鏡のお兄さんが、無表情で指指した先は、雲の端の先。
そこには空しかありません・・・飛び落ちろ・・・と?
びくびくと怯えながら見つめれば、無表情でこくりと頷く冷血眼鏡「ぶはっ」噴き出す(自称)神と、
何かを書き足す冷血・・・すみません。眼鏡のお兄さん。
笑神様はまだ自称、疑惑中・・・。
短いですね。続きます。