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夜の森にて・・・追跡者2

「リガルド様?」

突然立ち止まって、リガルド様が高い木を見上げている。どうしたのかな?何かいるの?

人間の私の目では、この暗さでは何も見えない。ん?そういえば・・・察知系のスキル貰ってるんだった!

「えっと、“暗視”と“サーチ”!」

おわ?!魔法を掛けたら、私の目が暗視スコープみたいになった!暗闇の中でも周りが見えるし・・・熱を帯びた生き物が、オレンジ色に発光して見える。あ、リガルド様は赤色だ。個体識別が出来そうかな?

「魔法を使ったのか。どんな効果がある?」

リガルド様が意地悪く笑って、顔を近づけてくる。わかってて聞いてくるの、何なのかな?!


「私の心が読めるくせに・・・!暗闇でも、目が見えるようになる魔法ですよ!」

くっ・・・近い・・・リガルド様の息が、私の口にかかった・・・!!!

「索敵も使えるのか?」

「敵かどうかはわかんないです。生き物は体温で見つけられますけど?!」

掌で、グイグイとリガルド様の顔を押したら、べろりと舐められた!!もう、もう、もう、もう~!!!!!

クックッと喉を鳴らして笑う、リガルド様の胸をポカポカと叩いた。好き勝手し過ぎでしょ!!


「あ~・・・・何かアホらしくなってきた。なあ、そっちに行って良いか?」

木の上から、呆れたような声に話しかけられた。あ?!忘れてた!木の上に誰か居たんだった!!

「はい!大丈夫です!」

私は慌てて返事を返した。すると直ぐに、男の人が二人、飛び降りてきた。は、はわわ?!!

暗いから髪の色は色別できないけど、長く尖った耳、すらりと背の高い細身の体躯。こ、これは・・・

「エ、エルフが来たああああああああ!!!!!」

「お、おう?そうだな。俺達はエルフ族だ。ちょっと確認するが、お前たちは蔓の罠を破壊したか?」

二人とも綺麗な顔をしているけど、ちょっとワイルドさがある方が、頭を掻きながら聞いてきた。

「あ、はい!私が壊しました!すみません!!!」

や、やばい・・・犯人は私だわ!!リガルド様に抱っこされながら、頭をガバッと下げた。


「・・・・・・・・」

エ、エルフのお二人の沈黙が重い・・・!恐る恐る顔を上げると、二人とも眉間に皺を寄せて

、私を凝視している。嫌な汗がだらだらと垂れてきた・・・!!

「あ~・・・そっちの魔族の彼ではなく?人族の君が壊したので、合ってるのかな?」

「はい!私がこう、ナイフでザク~ッ!っと切りました!大事な罠でしたか?!ごめんなさい!」

私は手振りを交えて、説明した。ナイフで蔦を切った時の動きだ。上手く再現できたと思う。

エルフのお二人が美しい顔を見合わせて、何事か話し合っている。うん、目の保養ですね!

「もうちょっと明るかったらな~もっと良く見えるんだけど」

私がエルフのお二人を熱心に見ていたからか、リガルド様の眉間にも皺が寄っている。な、なんすか?


「もう目移りしているのか、気の多い女だ」

「あ、何ですかそれ?!人を浮気性みたいに言わないで下さいよ!!」

別にそういうつもりで、見てないし。初めて出会う種族だから、じっくり観察したいだけだし!

「俺以外を、あまり見るな」

「え・・・?それって、もしかして嫉妬してますか?焼きもちかな?!そんな・・・」

やられっ放しも癪だから反撃してやろうと思ったら、リガルド様の纏う空気が重く冷えて・・・喉がヒュッてなった。こ、怖・・・っ久しぶりに感じる圧は、相変わらず怖いけど・・・ま、負けないぞ!!

口を引き結んで、歯を食いしばる。ゆらゆらと炎を纏う、深緋色の目をジッと睨み上げた。

「生意気な奴だ」

「ん??!!」

いった・・・いい!!!!リガルド様が言うが早いか、ガブリと私の口に噛みついた!!


「ん~!!んん・・・!」

今度こそ、絶対に血が出てると思う!!犬歯が食い込んで痛いし・・・血の味がする!!

グイグイとリガルド様の胸を押すけど、びくともしない!文句を言いたくて唇が少し開いた隙に、リガルド様の舌が・・・舌が!!わ、私の口の中に入ってきた?!!なん・・・!!!!

「お、おい・・何やってる?」

「彼女は嫌がっているように見えますが?」

エルフのお二人が何か言ってるけど、言葉を理解する余裕がない。恥ずかしいやら、痛いやら、ムカつくやら、頭の中はぐちゃぐちゃで、ぐるぐるだ!!これは、私のファーストキスにカウントされるのか???

違うよね?!噛みつかれてるだけだもんね?!駄犬には鉄拳制裁でしょう?!!

右手に身体強化を重ね掛けして、最大限に固くした。私は今から、あんたを殴る!!

右腕に“加速”も加えて、リガルド様の頬を目がけて振り上げた。骨が砕けちゃえば良いんだああ!!


私の拳がリガルド様の頬に直撃する瞬間、従魔の紋が盾のように現れた。多重に張られた紋を拳で叩き割るけど、

最後の一枚が割れずに、バチイイッと赤い火花を散らして、私の右腕は弾き飛ばされた。

右手の従属の紋が焼けるように熱い。指先がぶるぶると震えている。悔しい!!この紋が邪魔だ!!

「ふ・・・っククッ・・・小さいくせに、凶暴な奴だ。実に面白い」

「私は、ぜんっぜん、面白くないんですけど??!!こんなの、フェアじゃない!!ずるい・・・リガルド様のばか!!!」

私は、何にも振り回されたくないし、誰かの思い通りにもなりたくないのに!!!

何が特別製だ!こんなの・・・こうしてやる!!私は自分の右手の甲に刻まれた、従属の紋を睨んで、思いっきり噛みつ・・・けなかった!!もう、リガルド様がまた邪魔する!!!


「にゃにする・・・!!」

私が自分の手を噛みつこうとしたのに、リガルド様がその前に、私の口に自身の手を突っ込んだんだ!

そっちがその気なら、今までの分、倍返しだ!!私は拙い犬歯で、リガルド様の手をぎりぎりと噛んでやった。

「本気か?草むらにいる噛み虫の方が、嚙む力が強そうだ」

か、噛み虫って・・・城にある本で読んだぞ。地球でいうところの、蟻じゃん!!!

「馬鹿にして!!もうっリガルド様、嫌い!!」

「あ~あ・・・おい、ちょっと・・・いいか?」

「俺はお前が、嫌いじゃない」

「お~い・・・聞こえてるか?お二人さん、こっち向けって!」

言い合う私達の目の前で、パンッと手を打ち鳴らされた。・・・猫だまし・・・?


「・・・・・」

私とリガルド様が振り向くと・・・あ!また忘れてた・・・!エルフのお二人が、美しい顔を歪めて、ドン引きしていたよね。あ、あわわ・・・ごめんなさい!!


どうしても・・・この二人だけでは、じゃれ合っていて話が進まない。

そうだ、止める人が居ないんだ・・・出てきてもらおう。て、ことでエルフのお兄さんたちです。

「お前たち・・・仲良くしろ?」と仲裁して欲しい。


ブックマーク、評価ありがとうございます!リガルド様とホノカを、見守ってやって下さい!

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