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許せないことも・・・ある。

落ち着け、私!!バクバクという心臓を沈めるんだ・・・深呼吸!ひーひーふ~!ひーひーふ~!

あ、だんだん落ち着いてきたかも・・・もう少しだ!森に来た目的を思い出せ!!


私は深呼吸をしながら、自分の足元を見た。草の上・・・草、草が食べたい・・・野菜・・・そう、土だ!

「リガルド様、土です!土を集めましょう!!」

私は目的を思い出し、勢い良く顔を上げた。見下ろすリガルド様と目が合う。うっ・・・深緋色の目が美しい!!

「つまらん。もう落ち着いたのか」

ちょ・・・っ私の顔をつつくのを止めて下さい!!私はリガルド様から一歩下がって、距離を取った。

「今日はもう、ドキドキさせるの禁止でお願いします!土を手に入れるのが目的でしたよね?!」


「お前はな。俺は、蜂の材料を手に入れるのが目的だ」

リガルド様が、浮かんだままのクマちゃんズを指さした。

「ちょうど良いのが手に入った。黄色くて花の蜜を集めるもの。後は黒くて羽のあるものと、尻に毒針が生えたものを掛け合わせれば、お前が言う蜂に近いものが出来るだろう」

「クマちゃんズが蜂の材料って・・・ええ?!どういうことでしょうか?!」

「説明しただろう?混ぜ合わせて、蜂を作るのだと」

それって、合成するってことかな?!この可愛いクマちゃんズを・・・混ぜ合わせると?!

思わず怖い想像をしてしまって、クラッと眩暈がした。だ・・・駄目!!!


「リ、リガルド様!リガルド様が食べたいのは、蜂蜜ですよね?!蜂蜜は蜂が集めてるけど、花の蜜ですよ!」

別に蜂じゃなくても、さっきクマちゃんズが巨大な花の蜜を集めていたではないか?!

私は振り向いて、巨大な花を見た・・・あ、あれ・・・?花弁が切り取られて、枯れている・・・?

「な、なんで?!」

「こいつらを捕まえるついでに、刈っておいたぞ。この花の蜜は毒があって不味い。俺が食いたいのは甘い蜜だ」

故に蜂が必要だろう?と、リガルド様が真剣な顔でおっしゃいました。う、う~ん・・・?


クマちゃんズをちらりと見ると、俯いてブルブルと震えている。怯えているのかもしれない。

「えと・・・もしもなんですけど、このクマちゃんズが食べられる甘い蜜を集めてこれた場合は、どうしますか?」

私の提案に、クマちゃんズがバッと顔を上げた。リガルド様はクマちゃんズをじっと見つめている。

「できるのか?」

クマちゃんズが、高速で頭を縦に振っている・・・涙目だ。か、可哀そう・・・!!

「クマちゃんズは・・・君たちは、魔王様の為に花の蜜を集めてくれるかな?」

「毒のない、甘い蜜だ。不味いものを集めたら、わかっているな?」

クマちゃんズが、更に高速で頭を縦に振っている。


いつの間にか木の陰に隠れながら、周りに集まった仲間のクマちゃんズも、高速で縦に頭を振っていた。

リガルド様が透明な気泡を割ると、クマちゃんズは転げ落ちながら、仲間の元へ走っていった。

「うう、助かって良かったね!」

「まだだ。従属の焼き印を押さねば」

ぎゃ、ぎゃあああ!!クマちゃんズのお尻に、リガルド様の所有印が押されていく。


「お前にも、押してやろうか?」

「い、嫌ですよ!私は、リガルド様の所有物じゃないんですからね?!」

私はなんとなくお尻を隠しながら、リガルド様を睨んだ。契約期間が終わったら、城を出て旅をするんだし。

リガルド様の眉間に、深いしわが寄った。私をじろりと睨み返してくる。

「な、何ですか?え・・・きゃあ?!」

突然、リガルド様が私の右手をグイッと引き寄せ、思いっきり手の甲に嚙みついてきた!!


「いったああああああああいいい!!!」

噛みつかれたところが、焼けたように熱い。私は手を振り払おうとしたけど、びくとも動かなかった。

「お前は生意気で、可愛くない」

ジクジクと痛む個所を、今度はべろりと舐められた。リガルド様が深緋色の目を鈍く光らせて、私を見た。

「お前はまだ、俺の玩具だろうが。誰が見ても、わかるようにしなければな」

そう言って、自身が噛みついた個所を私に見せつけた。私の右手の甲には、黒い薔薇の棘が3つの目を丸く囲っているいる文様が、焼き付けられていた。


「か、勝手に!酷い!!」

私は涙目で、リガルド様を睨んだ。今までこんな風に、無理やりされたことがなかったから・・・ショックだった。

油断してたのかな?ううん、リガルド様が・・・私を傷つけないって、心のどっかで信じたかったのかもしれない。


「リガルド様の、ばか!!」

私は左手に火炎魔法を練り上げて、リガルド様の顔面にぶつけた。

一瞬、手首を握る力が緩んだ。その隙に身体強化を掛け、リガルド様の腹部を蹴り上げようとしたけど、避けられた。

「ばか・・・!ばかばかあああ!!!」

右手の拘束が外れた!私は連続で火の玉を投げつけてから、リガルド様がいる方と反対方向に向かって全速力で走った。今は、何か・・・リガルド様の顔を見たくなかったから。


「ホノカ!」

リガルド様が呼ぶ声が聞こえたけど、その声を無視して森の奥へ奥へと、私は逃げ込んだんだ・・・。



魔王コワい・・・女泣カス・・・女強イ・・・!

黄色いクマちゃんズは、リガルドとホノカのやり取りに、右往左往して慌てるばかりでした。


ブックマーク、評価ありがとうございます!嬉しいです^^

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