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異世界で衣食住の“食”を確保する。

リガルド様との話し合いの翌日、私は与えられた部屋で、鞄の中の収納物をチェックしていた。

眼鏡のお兄さんが私の希望したものを、存在する限りの種類と数年分もつ量を入れてくれていたみたい。

有能すぎる!食料はすぐ食べられる調理済みのものと、野菜や肉魚などの素材系、各種調味料もあるから、料理はできるけど無くなってしまうものは、自分で補給できたらいいよね。


「そうだ!畑を作って野菜を育てたら、新鮮な野菜がストックできるし良いよね?!」

専門書もお願いしてあるから・・・あった。『サバイバル術の極意』・・・これは後で読もう。え~と『畑の耕し方と野菜の育て方』これだ!ふむふむ、先ずは畑の場所の確保と、土壌調査だね。

リガルド様に確認することと、やりたいことをメモしていく。

この世界に海はあるんだろうか?・・・海の幸・・・海鮮丼。家畜もいるのか知りたいな。親子丼にカツ・・・

「は?!」

考えに耽っていたら、ちょっと涎が垂れてた。口許をゴシゴシ拭いていたら、ドアの隙間に黒ちゃんがいた。


「・・・・黒ちゃん、いたんだね」

恥ずかしいな。目を逸らしていたら、黒ちゃんが飛んできて、私の顔をじっと見た。

「顔!近いから!」

両手でグイグイと黒ちゃんを押しやる。リガルド様から黒ちゃんは使い魔だから、扱いは任せるって言われてるからね。出会った時と同じ扱いでいくもんね!

見聞きしたものは伝わるけど、触ったりとかの感触は伝わらないって言ってたけど、本当かな?

つんつんと黒ちゃんを指でつついてみる。目玉だけなのに、すごい嫌そうなのが伝わってくる。あ、よく見たら瞼の淵に短いまつ毛があるんだね?黒い体は少し硬いベルベットみたい。


「羽もないのに、どうやって飛んでいるの?」

ひっくり返したり、見上げたり、撫でたりしていたら、身を捻って抜け出した黒ちゃんに、頭を叩かれた。

「痛~いなぁ!ちょっとくらい、良いでしょ?」

リガルド様と同じ色の目を細めて、私を睨んだ。黒ちゃんが扉の前まで行って、体を振っている。

「それもう覚えた。ついて来いっていうジェスチャーでしょ?」

ジェスチャーが伝わらなかったのか、黒ちゃんが斜めに体をクイッと振って飛んで行った。

今のってなんか、顎をしゃくられたみたい。ジェスチャークイズなら、私の勝ちだな。


「おそい」

今日は執務室で書類らしき紙の束を読んでいたリガルド様が、頬杖をつきながら私を睨んだ。

「すみません!」

いや、けっこう早く来たんだけどな?!

「俺が呼んだら、飛んで来い」

お、俺様!魔王様だから、偉そうなのかな?・・・あ、痛い!ほっぺたを、つねらないでください!!

「痛いことはしないって、昨日言ってたのに・・・嘘つき」

「こんなの痛くないだろうが」

リガルド様が、つねった頬をやわやわと揉んでくるの、やめて欲しい。顔が熱いよ!!

「ん?」

深緋色の目を細めて、ゼロ距離で目を合わせてくるのも、すごい意地悪だ。私の反応を見て楽しんでるでしょ!

「くっ・・・お前は面白いな。恥じているのか?」

あっわわ!リガルド様の手が、私の腰を掴んで引き寄せる。体が密着して・・・!!!!ぎゃあああ!!!

体中に血が上って、熱い!!いやだ、死んじゃうよ!!


私は、リガルド様の長く美しい髪を両手でぎゅっと掴んで、左右に引っ張った。

「髪が好きか?やろうか」

「え?!うわああ!!!」

私が掴んでいたリガルド様の髪が!襟足くらいの長さで、はらりと切り落とされた。いやああああ!!!

「なんっ?!何てことするんですか!!せっかくの綺麗な髪が!あ・・・?!」

・・・短いのも似合・・・長い髪だと美しくて、短髪だと男っぽさが上がって、かっこいいだと!!

「お前の頭の中はいつも煩いな。どうだ?俺はお前の好みになったか?」

両手が塞がってるから、顔が隠せない・・・その顔は反則だと思います!きっと私今、息してないと思う。

うう・・・っ動け、私の心臓!回れ、私の平常心!!無の境地・・・神の領域へ!!!!!

「む?」

リガルド様が眉を顰めている。血よ冷えろ!私は、何をしにここに来たのか、思い出せ!!

「ふ~はあぁぁ~」

「精神操作か?お前は神の住処を、知っているのか?」

「ぶっ!・・・おかしな質問しないでください!!」

リガルド様の頓珍漢な質問に、思わず噴き出した私は、通常通りの心拍数まで下げられたと思う。


「ふふ、確かに私は神に会って、この世界に飛ばされましたよ?でも話していた時間は、きっと数時間くらいです。住処が何処かは教えられないですよ」

「ち・・・そうか。住処がわかれば、殺そうかと思っていたんだがな」

「なぜ神を?!何か恨みでもあるんで・・・あ、髪のせい?」

私の両手に、未だに握られているリガルド様の黒髪が、艶やかに輝いている。あ、涙がでそうだよぉ・・・。

「・・・」

リガルド様と黒ちゃんの目に、憐れみの色が浮かんでいる・・・違う、私は!可哀そうな子じゃないですよ!!



う~ん、魔王に出会うのが早すぎました。なかなか、異世界生活環境が整わない。

住はとりあえずは、確保できていますが。


拙い文章ですが、面白いと思っていただけたらブックマーク、ご評価頂けたら励みになります。

よろしくお願いいたします!

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