ドキドキから、真っ青になるお話し。
冷水で顔を冷やしてから、身支度を終わらせた。よし、もう赤くないよね?!
「黒ちゃんお待たせ。リガルド様とお話・・・できますか?」
黒ちゃんを通して、リガルド様に伝わってるんだよね?話し方も気を付けた方が良いのかな。
黒ちゃんは私の顔をじっと見て、少し考えてから縦に一度、体を振った。
「どうしたらいい?今から・・・ああ?!」
話してる最中に、私のお腹がぐうううううって大きく鳴った・・・あうう。そういえば、トリュフ食べてから何も食べていなかったよ!。黒ちゃんが目を細めて、私の顔をじろじろ見ている。また顔が熱くなってきた!!
「お腹空いちゃった・・・何か食べてからでもいいかな?あ・・・駄目?」
黒ちゃんが体を横に振ってから、ゆっくり飛んで行ってしまう。ついて来いってことかな?
うう・・・意識したらお腹がすごい空いてきたよ。ぐ~ぐ~と悲しそうな音を響かせながら、廊下を歩いていく。
暫く進んだら黒ちゃんが振り向いて、扉をコンコンと叩いた。この部屋にリガルド様がいるのかな?
「失礼します・・・」
うわあ!とても長い食卓に、沢山のキャンドルや食器、カトラリー等が美しくセッティングされている。
まるでバンパイアの晩餐会みたい!怖ゴージャス!!端と端に座ったら、顔が見えないだろうなぁ。
「何をしている?こっちに来い」
映画のセットみたいで見惚れていたら、上座に座るリガルド様が、呆れた声で私を呼んだ。
「そこに座れ」
うっ・・・黒い騎士服に、裏地が赤の黒いマント・・・バンパイアの騎士。今夜はバンパイア・ナイト(夜)!
にやけ顔を隠しながら着席した私を、美しい深緋色の目が、訝し気に見つめている。
「なぜ笑っている?バンパイアとは何だ?」
「え?!えっとぉ・・・あのっ・・・私の星の・・・処女の生き血を啜る魔族です」
「・・・・」
無言がきつい!俯いてるから見えないけど、リガルド様からの、圧のある視線が痛い気がするよぉ!!
「その魔族と、俺は似ているのか?」
「いや!そっ・・・・・・似て・・・ます。私の星の人族の、勝手なイメージ上は、ですが」
艶やかな黒髪と赤い瞳。白く美しい肌に、駄々洩れる色気・・・がバンパイアをイメージさせる。
「そうか?」
リガルド様が手を伸ばし、私の顎を持ち上げた。
驚いて見開いた私の目を、意地悪そうに光る、美しい深緋色がのぞき込んできた。
うっ!心臓が痛いくらい、ドキンッと跳ねた。なにこれ?!顔に熱が集まって、熱い!
「俺は、お前の生き血を啜っていいのか?」
リガルド様が、舌なめずりをして、わざと歯を見せて笑う。あ・・・わわわ!!
「あ、あの!!架空のお話に出てくる魔族なので!!リガルド様、はっ離れて下さい!!」
心臓がドクドク煩い。変な汗出てきたし!顔が近すぎてっ・・・もう、無理だよ!!
「くっ・・・ははっ!」
リガルド様の指が、するりと私の頬を撫でて離れていく。笑い顔・・・昨日は、もっと無表情っぽかったのに。
一頻り笑ったリガルド様が、私のお腹を見ながら、腹に魔物でも飼っているのかと聞いた。飼ってません!!
「腹が減っているのだろう?さあ、美味いものをここに出せ」
「あ・・・私が出すんですね?」
「他に誰が美味いものを出せる?この城には、お前と俺しかいないぞ?」
ほれ、早くしろと、美しい指が食卓の上でコンコンと跳ねた。わかりましたよ・・・鞄の中に何があるかな?
鞄の中の収納物のリストとかあるかな・・・あった。えっと・・・甘いものが良いのかな?私はお腹に溜まるものが良いけど。夜ご飯だから、鶏肉のソテーとか良いよね。
「とりあえず、鶏肉のソテー、パン、アサリのクリームスープ、サラダ、食後にチョコレートケーキです」
「チョコレートケーキ・・・」
「ケーキは食事の後ですよ!」
「む・・・」
不服そうなリガルド様を宥め、食事を始める。お口に合うと良いんですけどね。鶏肉がジューシーで美味しい!
リガルド様は美しい所作で、一口は大きい!でもすごく、優雅に食べているように見えるのが不思議だ。
食後にチョコレートケーキと、濃いめのアッサムティーを出した。
「美味いな・・・口の中でこってりと溶けていく。この茶とも合うな」
「リガルド様はグルメですね」
「なんだそれは?」
「美味しいものの味がちゃんとわかって、美味しい味が大好きな人のことです」
俺は人族ではないがなと言いながら、リガルド様がうむと頷いている。
全て食べ終わった後、私は勇気を出して、本題を切り出した。
「リガルド様、ご提案があります!私と契約してくれませんか?!」
「ほう、どんな契約だ?言ってみろ」
深緋色の目が細まった。私、すごく緊張してる・・・ごくりと喉が鳴った。
「私をこの城に置いてください!この世界のことを教えて欲しいです・・・代わりに、私は美味しいものを提供します!」
「それだけか?」
「え?!あと私ができることは・・・私の星の知識とか・・・ぐらいです、ね」
最後は自信が無くなって、声が小さくなっちゃった。私ができることは、本当に少ないからな。
「期間はどのくらいだ?」
「あ、・・・私がこの世界で一人で行動できるくらいの、知識を覚えたら出ていきます」
「ふむ・・・その間、私の玩具になるか?」
お・・・玩具?!頭の中で、巨大な黒いライオンに転がされる私が浮かんだ。む、無理!!
「くくっ痛いことはしない」
「嘘だ・・・」
「疑うなら、血の契約を交わすか?」
それこそ痛いじゃん!私は思いっきり首を横に振った。指切りとか、軽めの約束で良いです!
「指切り?お前の星の契約方法か?やってみろ」
面白がったリガルド様と、私は小指を絡ませて、ブンブン振って指切った。
「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲~ます、指切った!」
「血の契約より酷いな。お前は俺を裏切ったら、指を切り落として、針を千本飲めるな?」
「!!!!!!」
解釈が、解釈がああああ。真っ青になった私を見て、リガルド様は楽しそうに笑うのだった。
指切りげんまん、なかなかに怖い契約方法ですね^^;
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