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七話

次で最終回です!

俺は自分のと詩織に紅茶を用意し、テーブルに置くと、詩織にソファーに座るよう促した。


「え、はくあくん。…ここでする…の?」

「え?話し合いならここでいいだろ?」

「は、話し合い!?」

「ああ。いじめを止める方法とか、俺らのこれからとか」

「そ、そうだよねっ!しってた!さすが私!!」


詩織がうんうんと頷いている。

ん?知ってたんだよね?


「まずはいじめを止める方法だけど、詩織は何かあるか?」

「うーん…今日見たく逃げ回るのは?」

「毎日それじゃあ苦しくなってこないか?」

「そうかも」


詩織は腕を組んで悩み始める。


「そこで、俺からの案なんだが…俺がWhiteCrowだって発表するのはどうだ?」

「え!?それって白鴉くんが有名人になるってこと!?」


詩織は身を乗り出して俺ににじり寄ってくる。


「い、いや…まぁそうなるかは分からないけどな。自分で言うのもあれだが、顔を出すことで何か影響があると思うんだ」

「そんなの世界が轟くよ!!」


世界は轟かないと思うけど…


「でも…そんなことしていいの?白鴉くんって顔バレるの嫌ってたじゃない?」

「そんなこと…あぁ、初期の方のLIVEで言ってたかも」


詩織はWhiteCrowがデビューする前から知ってたし、始めの頃のLIVEも見てくれてたのか。


「うん。だから私の為だけにするなら、しない方がいいよ」

「大丈夫。この話は、俺の仕事の担当の人にも言われてたことなんだ。だからそろそろ潮時かなって、あと…詩織を助けるためなら何だってやるさ」


詩織はにじり寄った体勢のまま、俺にがっちりと抱きついてきた。


「ありがとう…はくあくん」


俺は何も言わず、目の前にある長い黒髪を撫でた。


「詩織はどうしてこんなに髪を長くするんだ?」


俺はふと気になって問いかける。髪が長いのもいじめに使われる要因になってしまっているだろう。


「だって…誰かと顔を合わせるの怖かったし、私可愛くないし…」

「何言ってるんだ?詩織はめちゃくちゃ可愛いぞ?」


俺は詩織の長い前髪を分けて顔を見る。

詩織はそんなわけないと思っているのか、キョトンとした顔をしている。


これは多分、川島たちの影響なのだろう。

詩織はめちゃくちゃ可愛い。

すれ違ったら女性ですら立ち止まってしまうほどだ。(かく言う俺も放心状態)

ましてや、男性なんていきなり襲いかかってくるかもしれん(おれも)


そんなことを考えると俺としては髪が長くて助かった面も多かったけど、いじめを止めるためなら切らなきゃいけない。


「明日の休みに髪切りに行ってきたらいいよ」

「そ、それなら!はくあくんも髪切ろうよ!!」

「お、俺も!?」

「そうだよ!はくあくんかっこいいし、顔出しするなら髪切らないとダメだよ!」


い、一理あるな…

それに詩織も覚悟を決めたんだ。


「おし!一緒に髪切るかー!」

「おー!!」


俺が立ち上がると、詩織も立ち上がって手をグーにして突き上げていた。



ーーーー


頭が軽くて少しスースする。

俺は約束通り、詩織と髪切りに来ている。

俺の隣ではまだ髪を切ってもらっている詩織がいた。



ーー髪を切りに行くために美容室にいこうとしたが、髪にこだわらなかった二人に良い美容室なんて知るよしもなく、結局ゴーグル先生に頼らせてもらった。

レビューやいいね!が多いところを探していく。

詩織を最大限可愛く仕立ててくれるようなところを!

しっかりと吟味した結果、少し遠いが見つけることが出来た。

ただ気になったのが、髪への愛情?が激しいとレビューに書かれていたことだ。……それっていい事だよね?


電車を乗り継ぎ、やっと着いた美容室に俺らが入ったとたん、他のお客さんの髪を切っていた美容師たちが一斉にこちらを向き、獲物でも見つけたかのように目を光らせる。


「こ、これは逸材だわ…」

「彼らの髪を切りたい…」

「はぁ…はぁ…」


こ…怖いぃぃ!変態集団ではないのか!?

隣で詩織も俺の袖をがっちりと掴んでる。

俺はこのまま回れ右をして帰ろうとする。


すると俺達は一瞬で変態たちに囲まれてしまった。


「可愛過ぎないかしら…この子ぉ…」

「こっちはイケメンよぉ…」

「はぁ…はぁ……ぐひっ」


ここは髪を切るところではないのかな?

あと最後の人が一番ヤバイ。


「お願いします!髪を切らせてくださいっ!!」

「サービスしまくるんで!!」

「…………ふひっ」


髪が本当に好きだということが凄く伝わってきたし、そこまで言うならお願いしようかな。俺は詩織を見てみると詩織も同じように思ったらしく、頷いてきた。


「それじゃあ、お願いします」


「よっしゃぁああああああああぁぁぁ!!」

「きたぁああああああああああぁぁあ!!」

「いぇいぇいぇいぇいーぇ!」


すこし不安になってくるが、多分…大丈夫!

変態らは俺らの包囲を解くとまたひとつに固まった。


「いっくよー!…じゃんけんぽんん!!」


何をするかと思えばジャンケンし始めた。

恐らく俺らの髪を切る人を決めるためだろう。


「「いやったぁぁああ!!」」

「の゛お゛お゛お゛お゛ぉぉおんんん!!」


拳を天に高く突き上げ、ガッツポーズしている2人に、崩れ落ち手を地面に着け叫ぶものが1人。

負けたのは変態の中で最後の一番やばい人だった…



「彼氏さん!終わりましたよー!!」

「ありがとうございます」


カットを始めてみるとさすがにプロなだけあって、キリッとした顔で真剣に髪を切っていた。

ただ、ボディタッチならぬ、髪のヘヤータッチが多かったような気がする…


俺は改めて自分の髪型を見てみる。

あの隠れてて見えなかった目はしっかりと見えていて、いきなりネクラだった自分の顔が陽キャラのように見える。


「彼女さんはもう少しかかりそうなのでそちらのイスに座ってまっててくださーい」


俺はちらっと横を見ると詩織は眠そうに目を薄めてうたうたしている。

これは話しかけない方がいいかな。


俺は促されるままイスに座って詩織の髪切りが終わるのを待つ。


「………はくあくん…はくあくん!」

「んん…あれ…俺寝てたのか…」


俺は詩織に肩を揺すぶられて起きる。


「それで、終わった…の……か……」


俺は顔を見上げるとそこには…天使が立っていた。

天使も俺の顔を見ると時間が止まったように動かなくなった。

ーーいや、二人の間では時間が止まっていたのだろう。

2人とも見つめ合うこと30秒。

俺らは動けなかった。互いに見とれ合って…


「天使降臨っ!!」

「王子様ぁ~ん!!」

「うわぁおっ!!」


ーーーハッ…

変態たちの声で俺はようやく我に返った。

変態らの声で気づいたのは感謝しなければない。


しかし、詩織(天使)はまだボーッとしている。


「おーい、詩織ー」


俺は詩織の顔に手をかざす。

詩織は、はっとすると顔を赤くして俯いた。


「はくあくん…かっこよくなりすぎだよぉ…これじゃあ私…並んで立てない…」

「なにいってんだ。並んで立てないのは俺の方だろ。詩織が可愛く…なりすぎるから…」


今の俺は詩織と同じように顔が真っ赤になっているだろう。顔が熱い。


「なんなんですかこの人達は!」

「乳くり合いやがって…うらやまっ!」

「…カシャッ!」


………返す言葉もない…

そこの最後の人!勝手に写真撮らない!


ーーー髪も切り終わったことだしそろそろ帰ろう。


俺が顔出しすることは、昨日にYwitterでお知らせした。マネージャーとも話して、急な話だったが、どうしてもということで通してもらえた。色々と大変だったのかもしれない。後でお礼を言おう。


反響がすごいらしく、テレビのニュースにもなっていたそうだ。き、緊張するなぁ…


読んでくださってありがとうございます。

良かったら評価、ブクマよろしくお願いします!


美容師の最後の人のモデルがいるんだけどわかる人いるかな?

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