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僕は海の底のダンジョンで眠り続ける  作者: 囮のイがラム
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大きくなって海の底

第一章

夢も見ずに目を覚ました。

いや、厳密には

意識は覚醒したが

まぶたは閉じたままである。


昨日は体内遅刻アラームがONに

なっていたが今日は大丈夫だ!

このまま、ずっとゴロゴロしてやる!

尿意もない!

喉の乾きも感じない!

誰も起こしに来ない!

ダンジョンに時計が無いから

マスターである僕がルール!

僕が寝たら1日が終わり

僕が起きたら1日が始まる、、、。

僕が目を閉じてる限り『寝ている』のだ!

つまり、2度と朝は来ない!!

うはははは


ぁ、ダンジョン内はずっと夜だった。


はぁ

朝 起きて

夜までグータラ生活は

もう出来ないのか、、、。

ずっとゴロゴロじゃ駄目なんだよ

外が明るくなって

暗くなるから良いんだよ。

その背徳感がたまらないのに

ずっと夜じゃ駄目なんだよ。


はぁ

しかし全然 寝た気がしないな、、、。

いや、当然か

昨日は体感的に昼寝の時間に

寝た気がするもんな。

そう考えると

ぐっすり快眠は難しいか


1つ悩んではゴロゴロ

また1つ悩んではゴロゴロ

ゴロゴロ、、

突如襲う

浮遊感、、いや、落下感?

それと

ヤバいと脳内アラームが鳴り響く

しかし、遅すぎた。

大きな音を響かせて

片腕、片足、頭を強打


身に覚えのある浮遊感からの強打。

激痛に耐えて目を開けてみると

やはり、教会の自室のベッドの下だった。

あれ、確か草原で寝てたはず、、、。

スラコとカララが

運んでくれたのかな?


部屋には僕以外

誰も居らず

ダンジョンリモコンが

相変わらずフヨフヨ浮いてるだけ。


ビックリと激痛で

目が完全に覚めてしまった。

ベッドは落ちるから

嫌なんだよねー

このベッド

布団と交換してくれないかな


文句を口に出すことなく

心の中に止め

ベッドの下で

大きく身体を伸ばし

痛む関節の動作チェックを済ませ

部屋を出て教会に入る。



玉座の部屋にも誰も居ない。

実はスラコとカララを召喚したのは

寂しさを紛らわす夢オチじゃ、、、ないみたいだ。

靴の裏に乾きかけてる粘液を感じる

宇宙怪物タイトルの映画に出て来そうな

ネチャァァー感

初めての感覚に

うう、鳥肌が立つ


粘液は玉座の左側の椅子から

外に出る扉まで続いていた。

スラコは左側の椅子に決めて

マーキングをしたのだろうか。

きっと、カララは悔しそうな顔をしながら

その光景を見たんだろうな、、、。

その光景を想像してクスリと笑い

両靴をネチャネチャさせながら外に出る。



外は変わらない景色が広がっていた。

思考の海に沈みながら歩き始める。

目的地は勿論『水溜まり』だ

ダンジョンマスターの部屋~発

水溜まり~着


それにしても

ダンジョンマスターになって

まだ2、3日しかたっていないのか、、、。

突然、この世界に呼び出され

勝手に失望されて

説明も無しに置いてかれて

ダンジョンポイントも無し

出入口からは常に水が流れ出て

生活用品など一切なし。

ゲームやネット環境さえあれば

言うこと無いんだが、、、。くっそー



実は神様、いや

あのオッサンはクソなんじゃね?

一応、神様だから

ずっと神様 神様と呼んでたけど

明らかに慈悲も無いし

神である証拠も無い。

どう考えても胡散臭い

愉快犯としか思えぬ!


そう考えたら腹が立ってきた!

こうなったら

僕もカララと並んで

水溜まりの中でデンプシーしてやる!

僕の怒りを見せつけるのだ!

クソオッサンめ!



っと、水溜まりに到着したようだ

もう既にカララさんが

水溜まりにリングインしてるのが見える。

カララさんの朝は早いなー

不眠不休でデンプシーしてるんじゃないか?


ニヤニヤしながらカララを

眺めてると

向こうも僕に気づいたようだ。


拳を振りかぶった状態で

身体の動きを止めて

こちらを見ている

骸骨に肉が付いてれば

瞬きを何回がしてるだろう

そんな雰囲気だ。



医者が匙を投げた

寝たきり状態の息子が

起きてきた!

って感じだな。

なんて、つまらない事を考えていると


突然

本当に起きてきた息子に向かう親の如く

走ってくるぞ!?

ちょ!

思ったより早くて怖い!

軽いからか!?空気抵抗が少ないからか!?

ちょっと待って!

心と身体の準備が、、、!


カララは両腕を前に突き出し

感激の表情を浮かべ

突っ込んで来た


あぁ

これは、避けれないな、、、。


「どぶぅぅうっ!!」


腹に物凄いタックルを受け止め

数メートル後方に仰向けに倒れこむ


僕は口から半分魂が出て

スケルトンのカララは

僕のお腹の上で頬擦りしてる真っ最中。

よ、よかった、、、。

生きてた、、、。

息はしづらいけれど

骨は折れてないと思う


しかし

どうしたんだろ?

カララは寝ないから

睡眠と言う知識が無かったのか?

そうだとしたら

草原で寝てた僕を見て

死んだと思ったのか、、、。

いや、死んだと思ったのなら

今頃

僕は必死に生き埋め状態から脱出しようと

穴を掘ってるだろう



「どうした?もしかして僕が死んだと思ったのか?ははは、ごめんよ。少し寝ていたんだ。余計な心配をかけたね」


絶賛頬擦り中のカララの頭を撫でる。

リアル骸骨の頭を撫でたこと無いが

結構手触りの良いツルツルなんだな、、、。


あ、そうだった

このままにしてあげたいが

2人に名前を考えた事を言わなくちゃ

きっと、驚くぞー。

もうニヤニヤしてしまうぜ


「もう、大丈夫か?実はな、、2人に名前を考えたんだ!早く発表したいから水溜まりに向かおうか。そこにスライムさんは居るんだろ?」


火が着くんじゃないかと

心配なほど

高速頬擦りしてたカララは

キョトンとした顔で

僕の顔を見る。

途端に嬉しそうに口を開けて

喜びのオーラを纏ったが

すぐに真面目な顔に戻り


頬擦りポジションから離れて

召喚した時に見た

片膝をついて

頭を下げた忠誠心のポーズをとる

名付けの儀式と言うわけか。

スラコの所に行こうと

言ったのに名前を貰える事で

頭がいっぱいだったのかな?


「そう、焦らなくてもちゃんと名前を教えるから大丈夫だって。まずはスライムさんを呼んできてくれるかい?」


カララは

やはりスラコの事なんて

忘れていたのか

急いで水溜まりへ走っていく。

僕も歩いてカララの後を追い

水溜まりに到着する頃には


カララは水溜まりの水面を

パチャパチャ叩いて

スラコを呼んでる最中のようだ


スラコも驚いて喜んでくれるかな、、、。

ん?

モンスターに名前を付けると言う事は

ライトな小説的に考えると

『ネームドモンスター』になるのか、、?

もしかして急に進化して

ボーンドラゴンになったりして


いや、強化値は名前をつけた人の

強さに比例する作品が多かったような、、、

なら、大丈夫か。

スケルトンのタックルで

魂半分出るくらいの戦闘力だからな

マジパンチを食らったら

入院する自信があるわ。

ここに病院無いけど



水溜まりの反対側に

魚の骨とウロコを吐き出してる最中の

スラコを発見!

ってか、骨とウロコの量が多いなぁ

一晩中 魚を取ってたのか?


なんて考えてると

水面が盛り上がり

あのかわいいスラコが

ちょこんと頭を出してきた。


あのかわいいスラコが


あのかわいいスラコ

かわいいスラコ、、、?


ズヌヌヌヌヌーーーー

と効果音と共に

出てきたのは自動車サイズの

化け物スライムであった



口が半開きになり

目に生気が無くなるのを感じて

脳は現実逃避を始める。

あ、そういえば

前世にある職場で

急いでしなきゃいけない仕事が残ってたな

同僚はやってくれるかな

ここから帰ったら

一番にしなきゃな

ぁ、それにコインランドリーで

布団を洗おうと思っていたんだった

忘れてた忘れてた、、、


化け物スライムは

死んでたと思っていた僕が居ることに

震え喜びブルンブルン効果音と共に

僕に向かってきた


蛇に睨まれたカエルこと

スライムに襲われる人間。

恐怖で足がすくむ

走馬灯が見える

日常生活では味わえない

貴重な体験を堪能しつつ

僕の身体は飲み込めれるのだった



塩の匂いと水とは違う肌触りが包み込む。

まさか僕の最後が

自分が召喚したスライムで溺死とは

思わなかった。

次こそはまともな神様から

たくさんのチートスキルを貰って

異世界を旅して回りたいな、、、。






しばらくスラコは

スライム洗濯機の如く

グルグルかき回し

モニュモニュし

僕の身体を堪能してご満悦と言った所かな


カララは僕を頬擦りしてツヤツヤ

スラコは僕を洗濯機してツヤツヤ


僕は頬擦りされ洗濯機され

お腹はヒリヒリするし

頭はグワングワンするし

身体はヌルヌルするし

草原の上で寝っ転がってバタンキュー。

帰りたい、、、

非リア充でもいい

家と職場の往復の毎日でもいい

もぅ、帰りたい、、、。

空に浮かぶ月や星が

もう、帰れないんだよ。と

言っている気がした。



さて、気を取り直して

スライム洗濯機中で考えていたが

この身体は人間の領域を越えてる。

お腹は空かない

恐らく呼吸も必要無いのかもしれない

スライム洗濯機中でも息苦しく無かった。


ダンジョンマスターだから

化け物みたいな性能なのか?

まぁ、身体能力が劇的に向上して

理性も無く肉を食らう化け物じゃないからいいか。

バカみたいに

喰いたい

喰いたい、、、。

連呼はしたくない



あと、カララとスラコだ。

ネームドモンスターになって

強くなるのはわかるが

僕はまだ名前を教えてない、、、

もしかしたら、心の中でも

名前を決めたらネームドモンスター?

それとも、元からモンスターはこんな感じなの!?

教えて神様!!

もうクソとか言いませんからぁー!


まぁ、あのクソ神の事は置いといて、、、。


洗面器サイズから一晩で

人間を余裕で飲み込めるサイズに成長したスライム


良く見ると骨のツヤと少し色が違うスケルトン


食べ物が原因だらうか

それとも、このダンジョンの特殊効果でもあるのか?

わからない、、、。

わからない事だらけだ



頭を抱えて悶え悩んでる僕に

ヒシヒシと視線を感じる。

その視線に気づいて

頭を上げると

不安そうに心配そうに見つめる2人




僕は変わらないな、、、。

何を悩む必要がある。

ネームドモンスターがなんだ!

自分の身体がなんだ!

わからない事を考えたって

しょうがないじゃないか

まずは2人の可能性を伸ばして行こう!

僕の知る限りの戦闘方法を

教えて行こう!(ゲームやアニメ、漫画の知識だが)


「よし!!」

自ら頬に気合いを入れ

戸惑う2人に笑顔で言う


「まずは、2人の名前を決めたから発表するよ!」


待ってましたとカララ

え!?本当にですか?!とスラコ


目先の事から始めよう。

2人の事から始めよう

僕は咳払いをして


「スライムさんは『スラコ』!スケルトンさんは『カララ』!2人共、改めてよろしくね!」


空回りでも

やり過ぎでもいいと思う。

後悔するよりいいと思う。



歓喜狂乱の2人に再び襲われ

カララは頬擦り

スラコは骨と人間を飲み込み

喜びの洗濯機。

やり過ぎですよ。

スラコさん、、、。


スラコから解放されるまで

しばらくかかった。


小説のラストシーンや

盛り上がる展開を仕事中に考えても

帰宅すると忘れてしまう。


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