取り合って海の底
第一章
孤独あまり自分に酔いながら
リモコンを操作してしまった。
新しい黒歴史の誕生に
苦虫を噛んだ表情をする。
思い出したくない事まで
思い出してしまった、、、。
恥ずかしい
しかし、何も起こらないな、、、。
ポイントはちゃんと100ポイントあったから
問題は無いはず
はっ!?
まさか、このリモコンは僕の心や思考を
モンスター側に拡散させて
『この人が召喚をおこなっています。立候補しますか?イエス or ノー』
って感じの立候補システムか!?
だとしたら、今回だけではなく
これからモンスターが召喚出来ないかもしれない。
誰もイエスを押さないよ。
こんな黒歴史を生み出して
召喚してる男の所に僕も行きたくないもん
など、いつもの妄想を広がせていたら
少し時間差で
部屋の床に魔方陣っぽいのが2つ現れ
眩しい光が部屋を埋める。
きたーーー!
前触れもなくフリーズ演出なんて
確変間違いない!
って友達が言ってた気がする
パチンコだったかな?
スロットだったかな?
熱い演出のすごいフラッシュ。
あまりの眩しさに
僕は片手に光る玉を持ち
もう片方の手で眩しい光から目を守る。
眼鏡をかけているので
どこぞの大佐の様に
目がッ!
目がぁぁ!状態目前だが
3秒ほどのフラッシュ後
徐々に光が収まっていく中で
目の前に2つの影を見つけるが
もちろん人影ではなく
モンスターの影だろう
やっと、光が収まると
身長は僕より大きな
武器を持たないスケルトンと
洗面器に入るくらいの大きさの
青色と緑色の中間の色をしたスライムを召喚したが
2体のモンスターは
僕の姿を目視し続いて
部屋の中をキョロキョロとしていた。
あまりのキョロキョロに
この子達は恐らく
いや、間違いなく雑魚の部類なのだろう
他のダンジョンマスターは
ポイントの無駄だと言って
見向きもしない存在なのだろう、、、。
僕も前世では
自他ともに評価は低かった。
だからか、この子達に
妙な親近感が沸いた。
大切に育てていこう、、、。
育成系なら任せてくれ!
立派に育ててこの子達だけでも
寂しい思いはさせないぜ!
僕の育成ゲージはマックスだ!!
、、、
まぁ、勝手な妄想なんだけどね。
2人の視線を感じて
自分の世界から現実へと戻る。
スケルトンとスライムは
そんな事を考えてた僕を見て
お互いに顔を合わせて
首を傾げていた。
育成ゲームでは
モンスターの個性や表情がわからず
最終的に作業になってしまう事が
多いけど
きっと、ゲームの中の主人公は
僕と同じ気持ちなのかな、、、。
胸がポカポカ、キュンキュンするぜ。
僕の育成エネルギーが充電され
育成ゲージが2ゲージ目に突入しました。
僕は可愛いヤツだな、、、。
と、笑みを浮かべて
握手をするため手を差し出し
ダンジョンマスターの威厳を感じない挨拶をした
「ようこそ、僕のダンジョンへ!二人とも初めまして、これからよろしくね。」
この世界に来てやっと
まともな言葉を発したような気がした
2日間ずっと無言で希望を探して
得たいの知れない重圧で
言葉を忘れたかと思ったが
大丈夫だったようだ。
言葉を噛まなかっただけ
ファーストコンタクトは成功かな?
威厳の無い御主人を前に
スケルトンは
「我はマスターに忠義を捧げます!」
と言わんばかりに
その場で片膝を着いて
頭を下げ
スライムは差し出した手に
引っ付いて
手の形を確認するように
モニュモニュしている
意外と温いな、、、。
まだ、最悪な状態は改善されていないけど
早速2人のモンスターに心を救われたような気がした。
スライムにファーストタッチを越された
スケルトンは
「ぁ、そう言う意味だったのか!?チャンスを逃してしまった、、、。」
と言わんばかりの嫉妬の眼差しを
スライムに向け
そんな視線を気にしないほど
音符マークが出しながら
ルンルン
モニュモニュ
僕の手を堪能しているスライム
こうして僕ら3人の
おなしな生活が始まったのであった。
ーーーー
親睦の握手が終わった後
僕の手を堪能し尽くしたのか
スライムはベッドから降りて
床を這い
器用に寝室の扉を開けて
出ていってしまった。
自由奔放さにスケルトンは
口をあんぐりさせて
驚愕の表現している。
スライムに知能はあるのだろうか、、、。
もし、無いとしたら
色々と大変だな
何て言ったって我がダンジョンは
見えない壁が無い限り
見渡す草原なのだから!
したがって
帰り道を覚える知能が無ければ
無限に広がるフローリングに
全自動掃除機のル○バを放つと同じ意味をもつ。
「悪いけどスケルトン。少し心配だからスライムを見張っててくれる?あまり教会から離れるんだったら連れて帰ってきてくれる?」
スケルトンは頷いて
寝室から出ていく
スライムと違う所はちゃんと
扉を閉めて行く事かな。
2人が行ってしまったので
今後の事を考えておくか、、、。
共同生活をする上で
まずは、衣食住だ!
っと言っても
服を来てるのは
僕だけだし
僕は空腹を
いまだに感じないので
食事をするのは
スライムだけであるからして
ファンタジーな滝
改めてダンジョンの入り口から
水と一緒に流れ込んでくる
魚があるから
飢えることはないだろう
住むところも教会がある。
まぁ、
『スケルトンとスライムが風邪を引く』
だなんて最近の
ダンジョン運営ゲームでも聞いたこと無いから
教会の中だろうが
草原の上だろうが大丈夫だろう、、、。
っと、今後のダンジョンについて寝室で
考えていると
玉座の間から
物音が聞こえる。
静かだからか良く聞こえる。
椅子を引きずっている音だ
思考を中断してベッドから降り
僕も寝室を出て玉座の間へと移動すると
教会の信者が座るであろう椅子に
スケルトンとスライムは
自分の定位置をめぐって
喧嘩をしていた。
「こら!いったいどうしたの?仲間同士で話し合いもせず喧嘩したらダメでしょ?」
まぁ、話せないから
話し合いのしようがないけど
2人はその場で姿勢を正して
身ぶり手振りで
僕に何があったのか
伝えてくれてわかった。
僕に一番近い場所の椅子を
取り合ってるみたいだった。
何故、この子達の言いたい事が
わかったんだろう?
ダンジョンマスターのスキルか
長いアルバイト生活で得たスキルか
まぁ、今はそんな事どうでもいい
2人が取り合っていた椅子の場所は
僕が座る玉座の正面の椅子だったが
我に秘策あり!
僕は2つの椅子を信者側から運んで
玉座側に持っていく
その光景を
スケルトンとスライムは
目で追っていたが
僕のやりたい事を完成したら
表情は無いが
効果音で言ったら
『パッーー!』と
喜びのオーラを出してくれた気がした。
そう、秘策とは!
僕が座るであろう玉座の左右に
信者の椅子を置いただけ!
だが、どの椅子よりも
僕の椅子に近く
2人だからちょうど良かった。
もし、3人だったら
椅子の置く場所に
困っていた所だろう、、、。
もし、置くとしたら
右、左、後ろ?
後ろの席にスケルトンはやだなぁ
写真を撮ったら心霊写真みたいになりそう。
3人目は当分先だなぁとか思ってると
今度は
左側の椅子を
2人は取り合っていた。
本能で選んでいるのか
左側の椅子を陣取る事に
大きな意味があるのかわからないが
定位置を決めるだけなのに大変だ、、、。
ーーーー
再び喧嘩が勃発しそうだったので
2人に「付いてくるように」と伝えて教会を出た。
まぁ、この世界で行くところは
教会か水溜まりの
2パターンしかないから
行き先は水溜まりなんだけどね。
一応はダンジョンだから
草原の果てには壁が
あるはずなんだけど
どのくらいの距離を歩けば良いんだろう。
今度、試してみようかな、、、。
いや、辞めておこう。うん。
自分のダンジョンで
マスターが行き倒れとか笑えない。
スケルトンに頼んでも
距離を伝える事は出来ないし
途中で力尽きて
即席!白骨体!
ってのも笑えない、、、。
スライムは進路上の草花を食べるから
力尽きる事も無いし
通った後が残るからわかりやすい
あれ?思ったより良い案じゃないか?
、、、。
いや、ある程度エネルギーを貯めたスライムが
遠くで分裂して草花を食い尽くす想像をしてしまった。
やはり、止めておくか、、、。
つまらない事を考えてたら
ダンジョンの入り口前の
水溜まりに到着。
これから、椅子の定位置を
決めるためのゲーム内容を伝えようために
振り返ると
僕の歩くスピードが早かったのか
見ていない所で喧嘩をしてたのか
わからないが
スライムがスケルトンの頭に
引っ付いて
スケルトンは引き剥がそうとしたのか
両手をスライムの中に
突っ込んだ無理矢理バンザイ状態だった。
頭の重量が重いのか
フラフラしながら
僕の言葉を直立不動で待っていた。
フラフラしてるのに直立不動とはいったい!?
予想ナナメ上の光景で
正直、笑わなかった自分を絶賛したい。
咳払いをして
気持ちを入れ換え
ゲーム内容を説明しようか。
「仲間同士の喧嘩なんて不幸な物は僕は見たくない。だが、僕が椅子の場所を決めても納得はしないだろう。椅子の場所によって意味や価値がありそうだしね。だから2人には実力で椅子を取り合って欲しいと思う」
スライムは骸骨頭から飛び降り
スケルトンは自由になった
両腕の調子を整える
やる気になるのは
良いんだけど
そんなに椅子の位置は大切なのか?
玉座から同じ距離に置いたんだけどな、、、
どんな理由であれ
力をアピールしたいのかな、、、?
それとも、本当に何か意味があるのだろうか
「実力で取り合うと言っても武力ではないよ。まぁ、勝負の内容は実に簡単。これから2人には、この水溜まりに入って貰い、、、」
2人は緊張した雰囲気をまとい
徐々に前傾姿勢気味に
椅子の位置の事はわからないが
この勝負で自動的にNo.1とNo.2が
決まってしまうのだから
2人はピリピリとした空気が漂っている。
ふっふっふ。
ダンジョンのモンスターであれば
殺傷能力は必須科目!
パワー!
スピード!
テクニック!
その全てを見せてもらおうか!
僕は渾身の顔で言った。
「魚取りをしてもらう!」
と、一気に開いたシラケた空気になった。
更新頻度については
あまり期待しないでください。(脂汗