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僕は海の底のダンジョンで眠り続ける  作者: 囮のイがラム
18/19

アグレッシブに海の底


身体が揺さぶられ

毎日訪れる苦痛の時間が迫りくる。


身体がポカポカと温まる

気持ち良い眠りから覚める瞬間だ


止まない雨は無い。と同じように

僕らは生きてる限り

起きない眠り。は無い


だから、僕はこの瞬間に何よりも苦痛を感じる。



しばらくの間ごねていると

揺さぶりが少し強くなった。



いつまでも寝たい!と主張する悪魔と

起きなければ!と唱える天使の

毎日戦争に終止符が打たれた

生きてる限り天使軍は

勝ち続けなければならないのだ、、、。



と、黒い歴史を刻みながら

寝たふりを続けていたが

揺さぶりで

気持ちが悪くなってきて限界だ。うっぷ。


僕は揺さぶってる奴を確かめるため

重いまぶたを持ち上げる


ここで二重顎で贅肉たっぷり

プヨプヨとした友人だったら

怒鳴り散らして、、、と思ったら


「…。あ、あぁ、カララか…。……カララ!?」


そこには、

ちゃんと身体が完全復活したカララが

こちらを見ていた


微睡みの余韻を投げ出して

僕はカララの手足がくっついている事を

確認して安堵した


「良かった…身体は大丈夫か?前と少し骨の色が違うみたいだけど…とりあえずは大丈夫そうだね」


カララは僕の問いかけに

大きく頷いて返事をした。

いつも通りの反応みたいだ


しかし!

僕が気づくほど骨の色は変わっていた。


寝る前まで汚い白色だったが

現在のカララの骨は綺麗な白色になり

触ったりデコピンしても響いた音はせず

中身に空洞は無いみたいだ。

最後までギッシリでズッシリだ。


本当に大丈夫だろうか?

んーやはり

こういう時2人が喋ることが出来たら、、、

と思ってしまう。

まぁ、2人が無事で居るからこその悩みなんだけどね


って、今回の功績者スラコは何処に行ったのだろう?

お腹が空いたから魚でも取りに行ってるのか?




「そう言えばカララ。僕が寝ている間にスラコは何処に行ったんだ?」


次の問いかけにカララは

海に指を指した。

やっぱり、海で魚を取っていたのか。


『水溜まり』から『海』にバージョンアップだからな

人間で言えば

『一口サイズ』から『食べ放題』に、、、この例えは違う気がするな。

まぁいい

早くスラコを呼んで謎の箱を調べよう!

僕も箱の中身が気になって仕方がないのだ!

寝ていた僕が言えないけどね


「んー。悪いけどスラコを呼んで来てくれる?」


カララ復活の喜びで目か覚めたが

身体はまだ寝起き状態なんだ

とても大声を出せるほど回復してない

主にメンタル面でだ。

そのうち集合の合図でも決めておこうかな

あとで口笛を練習しておくか、、、



カララは了解と言う意思表示だろう

1度頷いて

海へ小走りで向かった。

子分を持った親分はこんな気分だろうか

偉くなった感じだ


ふっふっふ。

骨使いが荒い人に召喚されたのが

お前の最後だ!

こき使ってやる!

子分の様にパシらせ

あらゆるマッサージを覚えさせて、、。

いや、止めよう

うっかり力みすぎて

骨を折られたら洒落にならないしね。



なんて考えている間に

カララは海に到着していた。

ザブザブと腰くらいの深さまで入って行き

両手で水面を数回叩いて

すぐに海から離れている。


あれ?

この行動は前にも見たことがあるような、、、。

気のせいか?

デジャブか?


まぁ、いいか

まるで池のコイを呼んでるみたいだったが

あれでスラコが気づくのだろうか?


だが、そんな心配は杞憂に終わった



目の前で大量の水が流れる轟音。

海竜が現れた音とは比べ物にならない質量。


例えるなら

水柱を上げ

海から現れた怪獣。

見上げるほど大きく育ったスラコは

毎度毎度、僕を驚かせてくれる



しかし、今回の規模は違った。

スラコはどんどん大きくなる!

車のサイズを超え

家のサイズも超え

さらに膨れ上がる!



僕はその様子をただただ見ながら

口が開いたまま

身体は強ばり

呼吸も忘れて

時間は凍りつく



スラコは

僕の姿を見て喜んでいるのか

巨木の太さの触手を伸ばし

固まってる僕をお構いなしに包みこむ

そして、感じるスラコの温かさ


スラコの姿はあまりにも変わりすぎたが

スラコは何も変わらない。

変わっていないのだ


そう思うと身体の力は抜けていき

開いていた口は笑みを浮かべ

安堵のため息をついて

凍りついた時間は溶けて動きだす。


「びっくりしたよ、スラコ!ずいぶんと大きくなっ……」


言い終わる前に

僕の視界は回転しながら空へ吸い込まれた。




 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄





数十分後


スラコは申し訳なさそうに

ちょこんと海から頭を出して



僕は四つん這いになり

何も食べていないので

出る物が無い吐き気に苦しめられ


カララは僕の背中をさすってくれた。



スラコは変わっていなかったが

スライム洗濯機は激変だった、、、。

まじでヤバかった

意識が飛ぶかと思った。


なんたって質量と体積が爆発的に増えたのだ

冷静になって考えてみれば

いつものスライム洗濯機が来るわけがない。


さっき起きた事を

ありのまま言うと


スライム洗濯機しながら

アクティビティに乗ったみたいな!

コーヒーカップが観覧車で

メリーゴランドなジェットコースター。

って感じだった、、、。

もう1度言うが

まじでヤバかった。


毎回、起きる度にアレをされるのは

身体が持たないな

文字通り、心身ともに洒落にならない


断るとか、強く言うとか苦手だが、、、

しっかりと言うぞ!

ビシッと言うぞ!

ちゃんと言うぞ!


僕はまだ震える膝に力を入れて立ち上がり

なるべく、柔らかく優しい口調で話しかける


「えっとね…スラコ。ほら、僕はもう大丈夫だよ。喜んでいるのはわかるけど、次からスキンシップは軽めにしてくれたらなぁーなんてさ…嫌な訳じゃないんだよ?洋服もベチョベチョになるから手とか頭とかにしてくれると嬉しいんだけど…どう…かな?」


自分で召喚したスライムに

ここまで弱気なダンジョンマスターは

存在しただろうか、、、。

アルバイトの時でも

後輩に物を教えるのが

苦手だったんだよなぁ


これでも、頑張った方だ

自分で自分を褒めたい。



スラコはちょこんと出した部分を伸ばして作り出した触手を僕へと近づける

まるで

子供が恐る恐る何かを触ろうとしてるようだ。


伸ばした触手は僕の頭に着陸し

髪の毛の感触を味わうようにワシワシと揉んでいる

ビクビクしていたスラコは

次第に安心し

もしも、人間だったら安堵のため息を吐いていただろう。


「うん、そのくらいだね。ありがとうスラコ、今度からはその力加減でお願いするよ。さ、そろそろ例の箱の中身を調べようか。さっきから気になっていたんだよ。カララは集めた武器を持って来て、スラコは触手を籠手にはめて準備してね。さぁ、行こうか!」



僕は明るく振る舞い

謎の箱へと歩き出す。

上手くフォロー出来ただろうか、、、。




カララは質素でボロボロの剣や槍を抱え


スラコは2本目触手を伸ばして

籠手の中に突っ込み

2人とも僕の後に付いてきてくれた


スラコも恐る恐るの感じも無いみたいだ

良かった、、、。


度々思うがこういう時こそ2人が喋れたらと

思ってしまう

これはワガママだろうか

うーん、、、。


「カララの持って来た武器はいざという時に引き抜いて使うから、そこら辺に突き刺してて。スラコは籠手を使ってドアノブを握ってみて?ぁ、カララ!突き刺す時は倒れない程度でいいから!先っぽだけ刺されば良いんだよ!」



おぉ、武器を根本まで突き刺すのか

これは、色々と教えないといけないな、、、。


カララは根本まで突き刺した武器を

片手で引き抜いて

指示通りに刺していく


「スラコは大丈夫?何か魔法的な物は感じ……って何やってるの?スラコ?」


スラコはスラコで

ドアの何処を握れば良いのかわりません!と言わんばかりに

籠手をはめた触手は右往左往していた。



普通にドアを開けてたと思うんだが、、、。

ドアノブと言う言葉がわからなかったのかな?

本当に教える事は山ほどありそうだな。

昔、弟や妹に勉強を教えていた時の、、、

あんまり教えた事は無いな。

僕バカだったし



僕はバカでもわかるように

ドアノブの場所をスラコに教えて握らせたが

魔法的な

バチバチッとした拒絶反応も無く普通に握れた


もしかして、金庫じゃないのかな?

それとも、魔力は無くなっていて

反応出来ないのか?

まぁ、開けたらわかるか。




僕は謎の箱から距離を取って

カララは剣を1本持って守るように僕の前に立ち

スラコも守るように

僕の全身を触手で覆ってくれた


これで準備万端だけど緊張するな、、、。


「これから、ドアを開けるけど危ないと思ったら全力で逃げるからね。2人とも戦おうとしたりしてらダメだよ。」



カララとスラコは頷く



「よし。じゃぁ、スラコお願い。」


カララは不恰好ながら剣を構え

スラコはドアノブを握った籠手は動き出す



戦わないって言ったのに

何故、剣を構えるのだ。

内心で苦笑したが

用心に越したことはない


僕は生唾を飲み込んで見守る



謎の箱のドアは

手入れもされて無かったはずなのに

すんなりと開いた。

鍵もかかって居なかったようだ


トラップも扉を守るゴーレムも無し。

少し残念だと思ってしまった、、、

ダメだダメだ!

2人を指示する人間として危ない考えだ

気を引き締めよう!


「何も無いみたいだね。少し近づいて外から中の様子を見てみよう。スラコは籠手を使ってドアを押さえてて、その間にカララは1本の槍を突き刺してドアを閉じないようにお願い」



僕はドアストッパーのイメージで

言ったんだけど

カララの頭の中はアグレッシブな様で

止める指示を出す前に

ドアを貫いて斜めに槍を突き刺し

物理的に閉じないようにした。


カララは任務をやりきった顔で戻ってきて

僕の前でまた不恰好に剣を構える



海竜との戦いの時は指示通りに動いてくれて

違和感は無かったが

そう言えば指示の内容は

前進と回避だけだったな、、、


今度からカララに指示を出すときは

気をつけて出さないとな。

第2第3の犠牲者を出さないように



僕らは無残なドアの近くに寄って箱の中を見た



「うぁ、、、」



スラコ越しで視界が悪いが

箱の中は部屋のようだ。

大きな机に5人分の椅子

机の上には装飾が施された大きな鏡が固定されてあり

その横にはタンスがいっぱい置いてあった。


そして、1番衝撃だったのは

どうやら先客がいたようで

5人分の椅子の一つに

人体模型のようなキレイな白骨死体が

座ってあったのだ!


日本で見たこと無い服を着ていて

いかにも偉い人って感じだ

貴族だったのかな?

死体の手には拳位の石ころを握っており

机の上はノートやペンが散乱していた


僕は一通り部屋の中を眺め

魔法陣や罠が無いか確認する。

まぁ、見てもわからないけど

気持ちの問題だ


「じゃ、中に入って調べてみようか。見づらいから1度スラコは離れてくれるかい?」



スラコは名残惜しそうに離れ

カララは勇敢なのか

何も考えて無いのか

1番に足を踏み入れ罠があるか見てくれている、、、はず


僕もカララに続いて部屋へと入った

スラコは怖いのか

僕の服を触手でちょこんと摘まんでいる。

こちらも怖いのか

甘えたがりかわからない。


先ほどはスラコで視界が悪くわからなかったが

大きな机には

机全体を使って物凄く緻密な魔法陣が掘ってあったのだ!

初めは模様かと思うほど

細かい所まで掘ってある。

怪しい、、、。



まず、机と白骨死体を調べよう。

服は一般人の僕が見てもわかるほど

質の良い生地を使っている

服装から男性だったのかな?


持ち主が白骨化するほど

時間が経っているのに

汚れや劣化などは見られない

魔法繊維で作られた一品だろう

まさにファンタジー


死体が握っている石ころも結晶みたいだ

見たこと無いが、、、値段は高そう

だが、死ぬ前に大事そうに握るか?

否。流石に守銭奴な貴族だとしても

それはないだろう。

と言うことは何かのキーアイテムに違いない。

この石ころと机の魔法陣が関係してるのか?

試してみたいが、、、


しかし、死体漁りをするのは無理だぁ

ゲームだったら平然と『調べる』ボタンを押せるのに

小心者の弊害がこんなところで

ぐぬぬぬ



目の前の石ころを取るかどうか

悩んでるいる所に物騒な音が聞こえてきた



嫌な予感がする、、、。

音の方向を見ると

カララはタンスの引き出しを取り

机の上で引っくり返して中身の物をぶちまけていた

なんとアグレッシブな行動を、、


カララはキビキビとした動きで

1つまた1つと引き出しを引っくり返して

机の横に積み重ねていく

怒鳴る事を忘れ絶句してる僕はあることに気づいた。


タンスの引き出しの中身は

全部、石ころが丁寧に布に巻かれて収納されていたのだ!

同じ形の石は無く

トゲトゲしてたり

ツヤツヤしてたり

ゴツゴツしていたり

どれも、キレイだと思わせる何かを感じる。

ような気がする


僕はその中の1つを手に取った

どっからどう見ても普通の石にしか見えない

机と石ころの関係も

カララが机の上にぶちまけているのに

反応も無いので関係無いのか?


やはり、魔力が無いと作動しない仕組みなのか?

それか登録した人間で無ければダメなのか?

教えてパニッシュ!




 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


それから、机の魔法陣は後回しにして

部屋の中を見て回って予想を立てたが

どうやら

机でお眠りになっている白骨さん書斎だと思う。

5人で座れる机から見えないように

タンスを配置し

反対側には白骨さんの所有物と思われる

本棚やタンスが置いてあり

突き当たりには趣がある机があった

プライベートな空間。と言うことか、、、。

本を見てみたが見たこと無い文字で書かれてあり

言語翻訳能力をくれなかった

神を再度呪った。

足の小指を角にぶつけろ、、、


何も発見出来ず途方にくれて

僕は白骨さんの書斎センスの良さと

壁に掛かっている1枚の絵を見て

何とも言えないため息を漏らした


肖像画と言うものだろうか。

その絵には

幸せそうな金髪夫婦と

元気に笑うお転婆そうな金髪少女、たぶん夫婦の娘だろう

そして

首輪を着けてお転婆そうな少女を見守る

耳が長い執事風の銀髪イケメン

この4人が描かれてあった


そう、耳が長いイケメンである。

僕の知識からエルフ族と断定。

居たんだ!

エルフは本当に居たんだ!

僕のやりたい事リストに

エルフの里に行く。が追加された


「しかし、首輪か…うーん……あまりいい気分はしないなぁ」


首輪と言うことは奴隷ってヤツだろうか。

人間族とエルフ族の種族による溝ってヤツだろうか


けど、貴族が奴隷を執事に選ぶだろうか?

奴隷だからこそ選んだのか?

頭に不穏な言葉がピックアップされる、、、。

使い捨てのオモチャ

暗殺者から守る肉壁


そんな貴族はアニメの中で

腐るほど見てきた

たが、、、

こんな幸せそうな絵には

不穏な気配は感じない。

僕はそう信じたい




そんな事を考えてると

トントン。と肩に硬い感触。


「ん?あぁ、カララか。長い時間考え込んでしまったみたいだね。そっちは何か見つかった?」



カララは頷いて5人が座れる机へと先に歩いていく

僕も続いて白骨さんのプライベート空間から出てついていく、、と



褒めて!褒めて!オーラを出したカララと

机の上に大量の大小様々な石と

机の横には全部のタンスの引き出しが置いてあった



、、、。




これは褒めるべきだろうか、、、

もはや、どれが何処にあったか

わからない状態だ。


ま、前向きに物事を考えていこう!



「調べやすくしてくれたんだね?ありがとう、カララ」



照れているカララと

触手をビタンビタンと床に叩いて抗議するスラコ

珍しいパターンだな


笑みを浮かべて

机の上に並べられた物を眺めた

気持ちが悪いほどの石!石!石!

石以外の物は無いし


本棚の本は何を書いてあるのかもわからず

情報を得ることは難しそうだ。



「だけど、わからない事が多すぎるな…。はぁ…」


1つの椅子を引いて座って頬杖をついた。

カララとスラコはすぐに近寄って所定の位置に陣取った。

もちろん、右側はカララで左側はスラコだ。

玉座以外でもその位置なのか


2人に癒されたが

こうもわからない事ばかりとは、、、。

こんな事なら脱出ゲームを

たくさんやっとけば良かったな

そうすれば何かに気づいたかもしれなかったのに、、、。



ダメだ!ダメだ!

諦めるな考えろ!

『人間性を捧げろ』とサブタイトルのゲームで

学んだじゃないか!

何かをヒントがあるはず

この部屋と白骨さんにストーリーが、、、。



キョロキョロと部屋を見渡していると

ふと、机の上に固定されている鏡が目に入った

この椅子に座ると全員が見れる様に配置されている鏡。

そう、まるで、、、


「家のリビングにあるテレビみたいだ……」


ぼそりと呟いて

僕は転がっている石を1つ掴んで立ち上がり

白骨さんの近くの魔法陣を調べる



貴族、船の書斎、5人で座れる椅子と机、幸せそうな家族、たくさんの結晶、机と一体化した鏡


予想が正しければあるはず

このテレビを操作するリモコンが

そして、この石はただの石じゃなく、、、



「やっぱりあった…。やっぱり座るならリモコンが近くにある椅子に座るよね」



白骨さんの近くに他の椅子の近くには無い

石が置ける螺旋で描かれたスペースが見つかった。




テレビのリモコンは手の届く所に置くもんだ。

もし、リモコンが固定されていたら、、、。

その場所を陣取るだろう

白骨さんのように最後まで



僕は唾を飲み込み

手に持った石を螺旋で描かれて出来たスペースに置いた。

すると!

石の魔力を吸い上げているのか螺旋のスペースから

徐々に魔法陣が輝いていく!



「おぉ…」



感嘆の声しか出ないほどの美しさ


隣から隣へ

端から端へと

そして、最後に鏡のふちまで魔法陣は彫られていたのか

鏡も輝いて

幻想的な机と鏡の光が僕らを照らす。


カララは少し前に出て警戒しているが


変化はまだ終わらなかった

鏡は突如暗転して少しビクッとしてしまったが

次の瞬間、鏡は白骨さんを映すのではなく

ダンジョン内では無い

海と空と船の甲板

そして書斎に飾られた絵に描かれた奥さんと娘が

映り聞いたこと無い発音で

話している光景を映し出した



「そうか…これはDVDみたいな道具だったのか…」


鏡は3分くらいで輝きを失いもとに戻った。

結構短いな



この貴族は旅行中だったようだ。

石の量からして帰る途中に

何か原因で沈んでしまった

と、言う所だろうか


僕は横に置いてある引き出しに

見終わった石を入れて

次の石を魔法陣に置いた

見終わったら引き出しに入れて

次から次へと見ていった



ある時は町でショッピング

ある時は草原で大きな肉を焼きながら

湖で釣りをしていたり

馬車で寝ている奥さんと娘の寝顔だったり

逆に旦那さんの寝顔だったり


町の雰囲気が変わったり

村だったり

人間がごった返す町もあった。



そのどれも家族は幸せそうな会話をして

少し良いなと思ってしまうほどにだ。


「せめて話してる内容がわかれば良いのにな…」


ぼそりと呟き

僕は思い出の詰まった石を引き出しに入れて

再び頬杖をついて愚痴をこぼす


どうやら謎の箱の正体は

書斎と言う名の思い出シアタールーム。

と、言う所か。

どこの世界の親もお金を使う項目は変わらないな

ビデオカメラに大金をつぎ込んで

運動会に意気込む友達の親を思い出した


苦笑していると

再び魔法陣は輝いて鏡は次の思い出を映し出した

石を置いたのはカララだった


「ん?カララこの家族の旅行が気になるのかい?」



カララはワクワクとした雰囲気で頷いた

スラコも興味があるようだ

なんだか微笑ましい、、、。



「そうか。なら、好きなだけ見ると良いよ。僕も付き合うからさ」


カララは次から次へと石を置いて

気に入った石は何度も見たり

まさに夢中のようだ


スラコは興味深々な時と

そうでない時の差があるな

いったい、何に興味を持ったのだろう


まぁ、なんにせよ。

何かに興味を持つと言うことは良いことだ。うん


それから、数十分。

僕は頬杖からどんどん楽な姿勢に変えて

カララに付き合っていたが眠くなってきた。

しかし

思い出の詰まった石はまだある、、、。


付き合うと言った手前

寝室に戻ると言いづらいし

寝室まで歩くのもめんどくさい


謎の箱もファンタジー要素はあったけれど

文字は読めないし

何を言ってるかもわからない

アーティファクトも無かったし

魔導書も無かった



はぁ、、、。

眠たい

でも、起きていなきゃ

あぁ、でも眠たい、、、。



貴族家族の会話を子守唄に

睡魔のシーソーゲームに快感を感じるながら

僕は眠るのであった。





ーーーーーーーーー

【後書き】



何日も跨いで書いたので

おかしな部分があると思います。

その部分は後日書き直したいと思います。


セリフの『、、、。』を『……。』に変えました

心の中で思っている所は変わらず『、、、。』にして

差別化しました

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