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僕は海の底のダンジョンで眠り続ける  作者: 囮のイがラム
17/19

呆気にとられて海の底



スラコが



海竜は首が伸びきったので

ズルズルと戻していく。



スラコが



あれは本気で怒った目だろうか。

黒目が細長くなってこっちを見ている。



スラコが


蛇の様に首を立て頭を上げて

海竜は口を開き

その口からは光が放たれる



だが、そんな事はどうでもいい。



スラコが食べられた



カララは頭だけになり

僕もブレスを避けるだけの体力は残っていない

カララでさえ間に合わなかったのだ

例え体力が残っていても意味がない


まさに

オーバーキルの王手だ。

ブレスを受けて

肉片も残らないだろう、、、。



海竜が放つ光が僕らを照らす


あぁ、死ぬなら3人一緒が良かったな。

と後悔しながら

海竜のブレスが放たれるまでに

カララの頭を抱き締めて

僕は目を瞑る。




「こんな事なら3人で毎日遊んだり、楽しく過ごせば良かった、、ごめん。カララ、、スラコ」



最後の悪足掻きで

カララに覆い被さる様に丸くなる

守れる筈がないが

最後くらいは誰かを守りながら一緒に死にたい。


一応、異世界でやってみたかった事の1つだ。

あまり達成したくない項目だったけどね


異世界でやってみたい事か、、。


共に旅をして

世界を見て回りたかったし


冒険者になって

ダンジョン探索。

んー、、

僕はダンジョンマスターだからなぁ

余所の家を荒らしてるみたいで嫌だな


エルフとかドワーフとか獣耳ちゃんとか

異世界っぽい人達と仲良くしたかったし


異世界特有の料理に舌鼓うちたかったし


色々な事をしたかった


未練たらたらだ。

って言うか

ゲームで言えば

始まりの村さえ出ていないじゃん、、、。


あぁ、死にたくない!

お母さんお父さん!

先立つ不幸をお許し下さい!


愛猫が居なくなった時に

出し尽くしたと思っていた

涙が溢れて滴り

1滴、また1滴とカララの頭に落ちる


何の涙なのか

誰のための涙なのかわからない

それは、死後の世界で考えるとしよう。










、、、。







、、、ん?







あれ?もう、死んだ?

こ、この私がぁぁぁぁ、、、!

とか、叫びながら

光の中で溶けなくていいパターンの死に方?

うそ、まじで!?

ちょっと、アレに憧れてたから残念だなぁ




恐る恐る

自分の頭を上げて目を開ける

ぁ、カララも見える様にしなければ、、、



目の前に見えた光景は

無責任なクソ神や

ボンッ!キュッ!ボンッ!の

美しい女神様でもなく


いつの間にか倒れている海竜の死体だった。


海竜だった物

骨と肉のハイブリッド

溶かしかけの海竜

いや、食べかけの海竜と言った所か



食事をしてる奴は

海竜の目に刺さってたはずの

カララの腕で手を振って

腹を空かせた犬の様に

海竜を貪っている粘液の塊。


どっからどう見てもスラコだった。



助かった!と喜べば良いのか



あんだけ思い詰めたり

燃え上がったり

長々と濃い時間を過ごして


死ぬ覚悟もしたのに

スラコ1人で解決するなんて


この行き場の無い気持ちはどうすればいいだ!と

空に向かって叫べば良いのか、、、



、、、、。



もぅ、どうでもいいや

考えるのは止めよう。

僕は苦笑いを浮かべながら


「ハハ、、はぁぁぁあああーーー、、、、、、。」


カララはどこに転がって行くか

わからないので

胸に抱いて固定し



もしも

次、ヤバい奴に出会ったら

スラコを口に押し込もう。

と心で誓いながら



仰向けに倒れ

2度と味わいたくない

約5分間に色々と溜まった何かを

ため息と共に吐き出す。


まぁ、2人が無事で良かったか。

今はその事実に満足しておこう、、、。うん


僕を慰めてくれたのは

頭だけのカララと

優しく頭を撫でるダンジョンに吹く風と

新しくダンジョンに出来た

波の音だけだった




 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄





心の立て直しが終わり。

安心する前に

既に一軒家より大きくなっている

食事中のスラコにある命令をした。


『海竜が破壊した沈没船の回収』である



先生!

僕はもう間違えませんよ!


強敵討伐+沈没船=お宝or強敵の卵


ぁ、これ!

塾で何度も習ったやつだ!

レベルのお約束パターンでしょう。


お宝の古代のアーティファクトで

壊れ性能の道具や

戦闘力が飛躍的に上がったり


海竜の卵を孵化させて

船の代わりに背中に乗って国々を巡ったり


ぐふふふ。

こりゃ、夢が広がりますわ!





ちなみに現在の教会は

匠の心意気によって

天井や壁を取っ払い

解放感が溢れるマイホームになりました!

瓦礫の山は住民が片付けるシステムでしたが

スラコによって

足の踏み場の無かった室内も綺麗さっぱり!


残っているのは

信者の椅子が少しと

不壊属性が付いてるんじゃないのかと

疑惑浮上の玉座。

そして、異様な光景だが

壁は無いのに

健在の寝室への扉だ。


扉だけポツンと立っているが

開けてみると目の前には寝室が現れる

まるで

『どこでも行けそうなドア』だ。

また、我がダンジョンの観光スポットが

増えてしまったよ

はっはっは


秘密結社のボスの如く

玉座に腰掛け

足を組み

カララの頭を猫の代わりに撫で回し

スラコの朗報を待つ。



船の残骸はスルーして

それ以外の物を持って来るように指示をした。

でなければ

浜辺が木片の山になってしまう。

そのうち、ダンジョンの外へ

捨ててきてもらおうかな。

と呑気に考えていたが!


集まってくる物は

錆びた武具や

よく分からないガラクタや

海藻まみれの割れた食器類

恐らく本だった物?ばかり




大きい沈没船だったから

金庫とか宝箱を期待していたが

まさかのハズレの連続。


この残念な感じ、、、。

年末に宝くじを120枚買った時を思い出してしまう。

宝探しもギャンブルと言う事か、、、。

どうも、お金が絡んだギャンブルは

当たった試しがないな




ワクワク感が薄れて

さらに約1時間。



天井はもちろん

壁も無くなった教会跡地から

我がダンジョンの

新しい観光スポットの1つ

浜辺に移動した。


さっきまで草原だった場所も

波が届く範囲は砂浜に変わっていた。

長時間のんびりしても

日焼けしないので

足を伸ばすことが出来る椅子が欲しい所だ。


そんな事を考えながら

沈没船で眠っていた

ガラクタの山に椅子が無いか探してみるが、、

やはり、見当たらない


それからは

スラコが集めた武具の中から

まともそうな錆びた槍や剣を見つけては

ゲームやアニメに出てきた

魔法や武技の練習(真似事)をしたりしたが。

筋力が足りなくて装備出来ません。って感じだった、、、




少し移動して

スラコの食べ残しこと

海竜の死体へ




カララ(頭)を

海竜の骨に近づけて

食べるのを手伝ってみたりしたら、、、

頭蓋骨のヒビが完全に治った!

カララは海竜の骨を

リンゴを丸かじりしてるかの様に

シャクシャク食べている


調子に乗ってどんどん食べさせたら

カララが徐々に重くなってきたので

早々にギブアップ。

まるでボーリングの玉を持ってるみたいだった。

まだ、腕がプルプルする、、、。


海竜の死体近くは生臭い。と言い訳をしながら

そそくさとその場を離れたのであった。



自分な筋肉の無さに心が折れ

遠い目をしながら砂浜に座り

更にツヤツヤしたカララの頭を撫でていると

サルベージをしていたスラコが海から帰ってきた。


「ぁ、スラコ。お帰りな、、、な!?」


カララは表情は無く

わかっているのか怪しいが


僕はアホ面のまま

口をポカーンと開けたままフリーズする。



スラコの粘液の中には

巨大な謎の木箱が収まっており

その箱には海藻やフジツボは付いておらず

まるで作りたてみたいで

それはそれは、不気味なほど綺麗だった



異様な箱の登場に

僕は口をパクパクさせながら

ボーリングのカララを抱えて

立ち上がり

恐る恐る

木箱をグルリと1周してみる、、、


巨大な木箱はコンテナ位の大きさみたいだ。

巨大な、と言ったが

そこまで大きくないかな?

いや、十分デカいか。


窓は無く

木の板を貼ってある壁に

1ヶ所だけ設置されている立派な扉。

その扉には弱々しく光っている

魔方陣が彫られてあった。

異世界にやって来る前であれば

目を細めて苦笑を浮かべた顔で

バカにしていたに違いない。


しかし!

数時間前に痛い目にあったお陰で

もぅ慢心はしませんよ!

先生!

考える限りのパターンに備えます!


もしも、僕が大事な物を盗られたくないなら

出入り口1ヶ所にして

そこに罠をしかけるだろう。

即死魔法系か?

呪い系か?

落とし穴や落石は違うから

ドアノブを捻ったら

壁一面から針が飛び出てくる系か?

いや、守ると言えば

ガーディアンやガーゴイルが

召喚されるかもしれない、、、。



とりあえず

戦力の回復だ。

スラコにカララを預けて

海竜の骨を食べて来てもらう。

ヒビが治ったのだ

身体も治ると、、、思う。

多分、きっと。うん




カララが回復している間に

僕は錆びた武具の山へ向かい

使えそうな武器と

鎧の一部で手を守る『籠手』を探す


この籠手をスラコに使ってもらい

遠くからドアノブを回す作戦だ。

これなら、爆発が起きても大丈夫だし

部屋の中に引きずり込まれる罠でも大丈夫だろう。



、、、。

普通、大事な物がある木箱を爆発させないし

入れたくないのに

逆に引きずり込んじゃダメだろ、、、。

考え直そう


あーでもない

こーでもないと

悩むこと体感1時間




結局、籠手でドアノブを回して

何か起こったら

一旦その場を離れて

ケース バイ ケース作戦に決めて一息つく。

急にやることが

無くなってしまった、、、。


スラコとカララの方をチラッと見ても

しばらく時間かかりそうだ


アニソンを口ずさみ

砂浜エリアから草原エリアに移動。



ゴロリと横になり

近くに落ちていた

鉛筆くらいの木の棒で

巨大な木箱の中にあるはずの

アーティファクトを使い

自分だけの武器の設計図を

地面に書いたり


竜の卵から生まれる子の名前を考える。

まさに、『獲らぬタヌキの皮算用』である


「武器は何にしようか。刀はありきたりだし、斧は、、、死亡フラグだな。竜の子供にはアクア、、、いや、安直だなぁ。海竜、、海竜、、、。」


海竜ってなんて呼ぶんだろう

シードラゴン?

ブルードラゴン?

オーシャン

ダイダロス、、、


んー

モンスター図鑑とかあればなぁ。

一発でわかるのに、、、

ケチなクソ神め。

少しくらいのアイテムを

くれたら良かったのに!

くそー



気が緩んだのか


悪態をつきながら

カララが回復するまで

横になって待っている僕の所に

そっと睡魔は忍び寄る。


神からの刺客か

わからないが

この瞼の重さ、、凄腕の睡魔だ。

僕は成す術はなく

深い眠りにに落とされるのであった。

本当はもう少し

書きたかったですけど

ここで終わっておきます。


次回は短くなると

思います!

あしからずー!

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