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僕は海の底のダンジョンで眠り続ける  作者: 囮のイがラム
12/19

修行パート3は海の底

第一章 12話


今日も夢を見たような気がした

内容はあまり思い出せない。

だが、少し覚えていた。


僕は長い長い道を歩いていた。

果てしなく長い道上に。

そして、前には

世界で1番愛していた愛猫が

振り返っていたのは覚えていた。

バカな子を見るようなジト目が印象的だった。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


目は覚め

肺の中に残っていた空気を

ゆっくりと吐き出す


愛猫に久しぶりに会えた。

それだけで自然と笑みが浮ぶ

そう、僕は恋する乙女

大好きな彼女(愛猫)に恋をしている。

ん?

なら、僕は恋する男?漢?

いや漢は無いな

僕にそこまで男気は無い


気分良く上体を起こし

少し伸びをして

変わり映えしない部屋を出る



なんだか調子が良いぞ!

愛猫の夢を見たからかな?

いつもは

身体が完全に覚醒するまで

ゴロゴロ体操が必要だが

今日はすぐにカララ達の所へ向かえる


寝室から教会へ移動し

ふと、なんとなく玉座に

目が止まった。

ダンジョンマスターが座るべき玉座。

ダンジョンの終着点にあるはずの玉座


しばらく、玉座を眺めて

僕は思考しながら

教会を出てトボトボ歩き出す。


教会から水溜まりまでは

結構歩かなければならない。

無心で歩くのもいいが、、、

よし、今日の思考内容は決まった。



いきなりだが

僕はタワー オブ ディフェンスが好きだ。

罠を仕掛けて

モンスターを配置し

攻めてくる敵を抹殺する。


よくゲームで

自作ダンジョンモドキを作っては

友達を招待して犠牲となって貰っている。

その瞬間がとても楽しい!

時々、友達は自作ダンジョンに

穴を開けて脱走していたな、、、。

思い出したら腹が立ってきた!

当時、その場で断罪したが

次、会ったら絶対に許さん!

また断罪してやる!



とにかく

自らの手を汚さないから

罠を考えるのは好きだ。

本来なら50階層位の

ダンジョンを作りたいが、、、


現実は

広大な1階層のみ

トラップも無い

モンスターは2人

ダンジョンマスターは雑魚


海の底でなければ

4~5人の冒険者に

瞬殺されてるだろう難易度。

あまりの無理ゲーさに

投げ出したい、、、。

自分の部屋で寝たい

現実逃避をしたい、、、。

はぁ、、、。


ん?

そうだよな?

何故、僕は元の世界に戻りたがらないんだ?

良く考えれば

今まで1度も「帰りたい」と

思わなかった。

確かに元の世界も

ほとんど詰んでた状態だったが

現在ほど絶望的じゃなかった


なら、何故?

何故、、、何故、、、、?

考えながら足を進める

あまりの現実味が無いから

夢気分なのか?

んーわからないな



そう考えてるうちに

水溜まりに近づいてきた



遠くに

5本、、いや10本の触手を操り

カララの食わえてる魚をもぎ取ろうと

躍起になってる

さらにデカくなったスラコ。

小さな一軒家サイズくらいは

あるんじゃないか?


襲い来る触手の量と速さ

凪ぎ払い

叩きつけ

触手突き

そんなに魚が欲しいのか!?

と聞きたくなるほどの猛攻


しかし

カララも負けていない!

足運びはとても軽く

時には姿勢を低く

恐ろしいほどの速度で走りまわり


避けれない触手は

掛け受け

回し受けて猛攻を捌き

スラコの叩きつけ攻撃も

交差受けで受けきっていた


こりゃ、冒険者4~5人くらいなら

大丈夫ですわ

雑魚ダンジョンマスターは

完全にお荷物のようですな

うう、ち、力が欲しいです

メガネぽっちゃりバスケ先生、、、。


視線を感じたのか

遠くに居たのに

カララが僕に気づいた

凄い集中力だ

ちょっとビクッとしてしまった

気づけば

じーーっとこっちを見ているんだもの


その隙を狙って

スラコがカララから魚を掠め取る。

隙あり!!と声が聴こえるような見事な盗み食い


口を開けて

な!?と驚くカララ


スラコは知らん顔して

魚を掲げて

その場でクルクルと

勝利の行進で凱旋する。

見るからに嬉しそうだ


カララは少し、、いや結構ガックリしていたが

気を取り直したようで

恒例の

歓迎ダッシュタックル

スライム洗濯機の洗礼を受けた


再び猫の背中姿が見えた気がした。

走馬灯だろうか、、、

気分が悪くて

胸がヒリヒリする

あれ?

何を悩んでたんだっけ?


僕の頭の中から

『帰りたい』と言うワードは

スライム洗濯機によって

洗い流されたようだ。



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


グルグル回された気持ち悪さや

スリスリ頬擦りされた胸のヒリヒリが治まったので

次の特訓内容を考える


手刀?

掌打?

足を使った技でもいいな、、、。


いくつか候補を考えたが

僕は発頸はっけいを選んだ。

それは何故かって?

理由は2つ。


アニメで見た時

うおお!カッケェ!と思ったのと


今のところカララ達は

教えた技を一晩で習得してるので

ちょっと悔しいかったからである。


だが、ここで重大な問題にぶつかった。


僕は今、カララに発勁はっけい

教えようと頑張っている、、、が!

なんだけど、どうも伝わらない。


正拳突きや回し受けなどは

実用性を話したり

実演したら理解してくれたが

僕も発勁はっけい

使いどころがわからないし

実演が出来ない

硬い敵に有効だ!

ってイメージだけど

合ってるのかどうか、、、。


アニメや小説では

武道家の主人公が

敵の腹に手を当てて

「くっ!貴様!あの技をくらって何故倒れぬ!?」

「俺には守るべき人が居るんだぁぁ!うぉぉおお!奥義!発頸『鎧通し』!」ドドンッ

衝撃が敵の背中を通り抜けてー、、みたいな?

カララに伝わらないよなー



今、携帯電話があれば

どんなに良かったか、、、

、、、いや、海の底だから圏外か。

とにかく!

僕は現在

カララにダンジョンマスター流の発勁はっけい

攻撃してるんだが

ダメージが入ってる気がしない



僕の性能の低さに

カララの骨の固さが相まって

第3者から見たら

人体模型を片手で押そうとしてる

26歳のオッサンの図。である


「カララごめん。僕じゃ発勁はっけいは無理そうだ。とりあえず、発勁はっけいの衝撃っぽいのを作ってみるから座ってくれる?その衝撃とさっきした説明を参考にカララも頑張ってカララなりの発勁はっけいを作り出してくれ。あ、無理そうなら知らせてね?別のを教えるからさ」


首を縦に振って

僕の前に胡座をかいて座るカララ


僕はカララの頭に

左手の手のひらを置いて

拳を握り締めた右手を振り上げる。


小学生、中学生時代に流行った

鈍い衝撃の作り方。

頭に置いた手のひらに

拳を降り下ろすだけ


これを知ったいじめッ子は

何かある度に弱い子に実行したという

呪われた技の1つだ。

うん、あれは痛かった


体験者にはわかる!

あれはきっと!

発勁はっけいに似た衝撃だと思う!

そして、衝撃を伝えるには

生半可な覚悟では駄目だ、、、。

手のひらを潰す覚悟で

やらなければ

数時間の努力が徒労に終わる。


振り上げた拳を再度握り締め

深呼吸を繰り返す

この後、訪れる激痛を耐える覚悟

拳を振り切る恐怖心


覚悟を決めて

心を無にし

右手の拳を降り下ろす。


特に見所もなく地獄のような瞬間は訪れた。

肉や骨が凹む感触

襲い来る激痛

発勁はっけいなんて

教えなきゃ良かったと言う後悔


左手からカララの頭へ伝わる衝撃。

いや、伝わってくれ!衝撃よ!


「ど、どう?これが、教えたかった発頸はっけいと言う技だよ。少しは僕の伝えたい事が伝わったかい?」


ダンジョンマスターとしての

プライドだけで平気そうに装うが

全身に力が入ってしまって

いかにも、我慢しています!

っと、全身が叫んでいる。


マゾのような教え方で

伝えた甲斐もあって

カララは何度も頭を縦に振ってる。

何かを掴んだのかな?


「そりゃぁ良かった!んじゃ、僕は疲れたから少し休んでいるよ。カララは感触を忘れない内に練習しておいで」


僕は少し離れて横になる。


スラコは隙を突かないと

カララから魚を奪えなかったのが

悔しいのか

逃げ回ってる魚を相手に

何本も触手を繰り出して

練習をして


カララは滝の中で

発勁はっけいの練習をしてるようだ。

滝の中でやる必要はあるのか?

まぁ、あそこがカララの

練習場みたいなものか。

ほぅ、早速

腰の捻りに気づいたか、、、。

って重要なポイントを知らないが

カララを眺めながら

老師のように頷いておこう。

うむうむ。お主は筋がいいのぉ


っと、ゴロンと横になる。

元の世界に無かった

安らぎを感じながら

じきに眠りに落ちるだろうと

簡単に予想ができる。


ゆっくりとした時間の流れ

少し前では

PCで動画を見ながら

携帯で小説も読みながら

テレビゲーム機でもゲームをして

無駄に時間を潰してた。

だけど、、、。

何もせずに

のんびりスローライフも良いかもと思い

好きだったアニソンを口ずさむ



風が吹く幻想的な草原に

僕が歌うアニソンと

2人の訓練の音だけが

僕らを包むのであった。

手元にお金があると安心して

要らない物まで買ってしまう。


通帳に入金しても

大丈夫、大丈夫!

と思いながらコンビニの唐揚げを

買ってしまう、、、。

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