6/18
放課後 ~雪人~
「何か良い案」を求めて、今日も彼は写真部のドアをたたく。
「よ、ゆっくん、どったの」
「忘れたとは言わせないですよ」
「いやぁ、強気だね」
会話の主導権を握っていることを彼は自覚している。葉一は、もったいぶって話を進める。
「こういう感じでどうかな」
彼の案は時々、斜め上を行く。彼の手には、二枚のチケットが握られていた。
「温泉、ですか」
彼曰く、雑誌の特典として当たったが、興味がないからとのことだった。
「ありがとうございます」
薄いチケットがどれだけ思い思い出になるのかと思うと、わくわくしてしまう。
「混浴」
「は?」
「ではない」
「いや、わかってますよ」
彼女の豊かな裸は、興味がないわけではないが、恥ずかしくて一言も話せないことを想像すると、対価は大きい。
「期日はないからお好きなタイミングでどうぞ」
「お気遣いどうも」
いきなりハードルの高いものが用意されたわけだが、今後があるならば、この程度は乗り越えなくてはならない。
「雪人」
「はい」
「今度また、夜景でも取りに行こうか」
雪人には、彼が悲しく笑っているように感じた。




