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夜 ~真央~
――というわけなんですよ、と真央は夜道を共にする年上の男性に話しかける。
夜のジョギング相手にはぴったりの無口な青年は、静かに口を開く。
「なるほど」
「何か、いい案はないですか」
甘い声を出して、答えをせがむ。彼の腕を自分の腕と絡めると、冷たい空気がこすれて二人の体温で温まる。
「こんなのでどうかな」
彼は、ウィンドブレーカーの内ポケットから二つ折りされた紙を渡した。
真央は組んだ腕をほどくと、時折照らす街灯と月あかりをもとに、揺れる文字を注視した。
「映画の試写会なんだけどね、この日用ができちゃって。真央が興味あるかなって今日持ってきたんだけどね」
「幸か不幸か私はこれには興味はありませんね、葉一さん」
残念でしたと、真央はポケットの中にしまい込む。とても、その紙切れが重く感じた。
「この年頃ってのは恋愛に悩める年なのかね。俺の友達にもそういう恋愛に悩む少年が一人いるんだよね」
「そういうもんなんですかね」
ひとり身に悲しみつつも、ふたりは歩調を速めた。まだ、夜は明けそうにない。




