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運命の出会い

ニャオという作品を以前書いたんですが、それに関係する前のお話と言いますか、重なるお話と言いますか…。


要するに、猫さんのご主人様のお話ですね。はい~w


初めての方も、ニャオ読んで頂けた方も楽しんで頂けたらと思います!

よろしくお願いします!

「暑いわねぇ、全くどうして… こんな日に外へ出るんじゃなかったわ」


 大勢の人が行き交う大通りで、真上から降り注ぐ太陽の恵みに憂鬱な発言を投げかけるのは一人の女だった。見た目は良質な物を着飾っており、白いワンピースに肌が透けて見えるカーディガンを羽織っている。

 身長も女性にしては高めで、後ろから見るとその大きな体からドスコイと声が聞こえてくる様である。

指輪こそはめていないものの、綺麗な顔立ちをしており、胸の辺りには大きなエメラルドのネックレスが太陽の光を吸ってキラキラと輝いている。右の肩には、白い毛並みをした猫が器用に乗っかっていた。

 キャペリンをぬいで、額の汗を拭く女。ボブの短い髪が頬に張り付いている。

 それを見ていた一人の男が、急に驚いた顔をして女の方を指さす。


「お、お、お、おまえっ! 大食らいのソーナじゃねぇかっ‼」


女は横目で指をさしてくる男を見て言った。


「ご機嫌よう」


 その一言で、周囲にいた人はみんなソーナの方へ視線を向ける。そして、しばらくの静けさの後にドッと湧き上がるのは歓声に似た様々な声だった‼


「ソーナだ‼」

「ソーナ、しばらく見なかったがどっか旅行にでも行ってたのかい?」

「ソーナ! 今度はうちが勝ってみせるからな! 後で絶対うちに寄ってくれよ!」

「ばか、お前の飯屋よりもうちが先だよっ! 前にソーナと約束してたんだ、そうだよなソーナ⁉」

「早くソーナの食べっぷりが見たくてたまんねぇよ!」


 嵐の声援を中心で一心に受けるソーナ。普通のそれよりもつばの広いキャペリンを被り直すと一度大きく深呼吸して、肩の猫を触りながら口角をジワっとあげた。


「どこからでもいいわよ。どうせ……… 全部回るんだもの」


 ソーナの言葉を待ってましたと言わんばかりに周囲のボルテージはもはや、お祭り騒ぎとなっていた。


「ねぇねぇ、お母さんあの人だぁれ?」

 

 お母さんとたまたまそこに居合わせたその子はソーマの事を知らなかったらしい。お母さんが少女を抱きながら教える。


「あの人はね、ソーナっていうのよ。沢山ご飯を食べてしまうの」


 少女は不思議そうに質問した。


「沢山ってどのくらい?」


「そうねぇ、お店に売ってあるもの全部食べちゃうの‼」

 

 母さんは少し驚かそうとしてみたが、少女は既に彼女に釘付けだった。なぜなら、既にソーナが一軒目のお店に入っていくところだったからである。

 最初の店はどうやら饅頭屋らしい。店内の状況はというと、ソーナが長椅子にドシリと座り、机を挟んで厨房側に店長ら饅頭屋側。そしてオーディエンスが取り囲んでいると。そんな感じである。


「ソーナ… 今日こそは絶対にうちが勝つっ!」


 店長は俄然やる気の様だが、ソーナはそんなセリフは聞き飽きたと言わんばかりの表情を浮かべている。


「喋ってないで、さっさと持ってきなさいよ。勝ちたいなら口じゃなくて手を動かしなさい」


「むきぃぃいー!」


 ソーナの挑発に真っ直ぐ答える店主。

 ソーナが来たと聞きつけた人が人を呼び、店の外にまでオーディエンスは広がりを見せている。そうこうしているうちに、大量の饅頭がソーナの元へ運び込まれてきた。

 目の前に積み上げられた饅頭を見て、ソーナの目に火が灯る。


「それじゃぁ、頂きますっ‼」


 勢いよく食べ始めるソーナを横目に見ながら、店長も直ぐに厨房へ戻り次の饅頭を作り始めている。


 ガツガツがつがつあガガガガガガ、ゴクリ。

 

 箸を置いて厨房の方へ視線を向けるソーナ。


 ………、………………………、、、、、、、、、。


「「「もう食べたのぉぉぉおおおっ‼??」」」


 一瞬何の事だか理解できなかった店長やオーディエンスらは、一拍置いて同時に声に出した。

 ソーナの目にはもう火はなく、食べ始める前の静かな雰囲気に戻っていた。


「…………次」


 ソーナの一言を聞き、饅頭を握りつぶしながら厨房の机を叩くと饅頭屋の店長は叫んだ。


「この街の飯屋の料理全部ここに持ってこいっ!」


 うるさかった饅頭屋が静かになるが、それは青天の霹靂であった。途端に、先ほどの何倍もの声や熱が街全体に広がって行く。街でソーナにかかればひょっとしたら勝つんじゃないのか? いや、それでも無理だろう。しまいには、ソーナと街の飯屋どっちが勝つか、かけをし始めるものまで現れた。


 その日は、街灯の明かりがつき始める頃までソーナ対飯屋の戦いは続いた。勝敗の結果はというと、道端に崩れ落ちる店長たちに背中で、ごっつぁんです。と語っているソーナを見れば一目でわかる。


「今日は凄く暑かったけれど、人生で一番食べたかもしれないわ。結構お腹いっぱい、ふぅ」

 

 大きく膨らんだお腹を摩りながらとぼとぼ歩いているソーナ。肩に乗っていた猫は彼女の隣を一緒に歩いている。


「今日の夕食は何だったかしら? 今日はもう夕食食べなくてもいいくらいなのだけれど、きっと沢山作ってくれているはずだから食べてあげないといけないわね」


 ソーナは街中の飯という飯を食べたにもかかわらずまだ食べるらしい。


「まだ、夕食まで時間はあるし、食べ多分運動しないとね。今日は少し遠回りして帰りましょうヴォルト」


 ソーナの飼い猫であるヴォルトはニャオと短く鳴き、彼女と猫はいつもなら真っ直ぐ進む大通りをあえて左の細道へと曲がったのだった。大通りに比べて、街灯が少ないので、少し歩いただけでなんだか落ち着かない気分になる。


「はぁ、やっぱりいつも通りの道を帰った方がよかったかしら…」


 不安が募るソーナ。細道の先を見ると、街灯の明かりは頼りなさを増している。このまま進むか、それとも戻って大通りから帰るか。立ち止まって考え込むソーナ。


「このまま先に行っても暗いだけだし、大通りに出る方が安全よね。まだそんなに大通りから離れてないはずだから……」


 大通りに戻ろうと決めた所で、背後から聞こえてきた低い声にハッとするソーナ。


「なぁ… ここでなにやってんの…………」


 恐る恐る振り返ると、明らかにやばそうな男が二人いた。二人とも筋肉隆々で片方は麻袋の様なものを両脇に抱え、もう一人は、ナイフを腰から取り出すところだった。

 一瞬で凍り付くソーナ。こんな細道来るんじゃなかった… 

 そう考えたくなるが、今後悔している時間はなさそうである。二人の男はヘラヘラ笑いながら、歩いてこちらに近づいてきているのだから‼


「しゃぁぁぁッ!」


 ソーナの意識が硬直から溶けたのは、ヴォルトが明ら様に男達に威嚇している鳴き声を聞いたからであった。ソーナは大通りとは反対側の細道の方へ眼を向けると、暗闇の中へ走りだした。


「お、あのおばさん、逃げるらしいゼ」


「にしてもノロいなぁ。まぁ… ゆっくり歩いても追いつけるさ」


 男二人はソーナを追いかける素振りもなく、ゆっくり細道を歩いてくる。

 なめた態度をとってくる後ろの奴らに対して、これは逃げ切れるかもしれないとソーナは食べ過ぎて重たくなった体をどうにか奮い立たせて、走り続ける。

 ヴォルトはソーナの少し後ろで男二人に威嚇をし続けながら彼女についてきている。


 走りながら、ヴォルトの方を見ようとしたソーナは、それが今の自分にとっては危険な行為だという事を少し後に後悔した。

 そう、しっかりとこけたのだ。足をもつれさせて、腹を地面に叩きつけて、被っていた帽子が前に飛んで行った。


「あひゃ、こけやがったゼ」


「あぁ… こけたな」


 二人の顔は見えないが、きっと笑っているんだろう。

 ソーナは自分の惨めさに心から泣いた。これ以上奴らにはバカにされたくないと、声を押し殺して泣いた。やがて二人の足音が止まった。すぐ後ろに立っているのだろう。

 ヴォルトは未だ二人の男に威嚇し続けている。


「ヴォルト、あなただけでも逃げなさい。強く生きるのよヴォルト」


 ソーナの声に反応したのか、ヴォルトは威嚇を止めて彼女の肩にすり寄ってきた。ニャオと小さく鳴いたヴォルトはソーナの言う通りに行動したのだった。

 それを見て、奇妙な笑い声をあげる男たち。その笑い声はまるで悪魔の声に聴こえた。


「ひゃふぅ‼ いいとこあるじゃんおばさン、動物愛好家だったらおばさんのこと見逃がしちゃうかもねェ」


「そうだな…… でも、俺たちは動物愛好家じゃない… 悪魔の欠片だ」


 悪魔という言葉に鳥肌が全身をめぐるソーナ。そして、静かに目をつぶる。

 動かないソーナを見て男の一人が動き出した。


「んじゃ、騒がれてもあれなのデ。ばいばーいおばさン♡」


 歯を食いしばる。きっとすぐ後ろにはナイフを振りかざした男が立っているのだろう。

 色んな人が脳裏を浮かんでは、みんなに謝っていく。私の人生短かったな。

 しかし、いつまでたっても痛みが脳を支配する事は無く、私はもう死んだのかと思って固くつぶっていた目を少し開けてみる。目の前にはこけたときと同じ土の匂いがする地面と薄暗い明かりがあった。そして、ナイフの代わりに聞き覚えの無い声が後ろから聞こえてきた。


「もう、心配ありませんよ。立てますか?」


「…………え? 私、助かったの?」


 困惑するソーナに、優しい透き通った声の持ち主が答える。


「はい、もう大丈夫ですよ。動けないようでしたら馬車を手配しますがどうしましょう?」

 

 そうか。私助かったんだ。。。


 ソーナは安心したのもつかの間、安堵のあまりそのまま気を失ってしまった。

 ソーナを心配して、肩をゆすってくる透き通った声の持ち主。一体誰なのか?

 薄れゆく意識の中、ソーナはその事だけを考えていた。


最後まで読んで頂いてありがとうございまいた!!


評価、コメントの方お待ちしております。

是非是非送ってください!

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