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絶対に無理ゲーと思うエアガンで異世界攻略を!  作者: イカのなっちゃん
第一章 学生編
6/8

第六話 『魔法学院で新たな高校生活を!・後編』

いやー、みなさんも心に思っていたかもしれませんが、この小説の題名には“エアガン”と入っているのに、今までエアガンが登場してきたのは、なんと一話目の冒頭と中盤だけでした。

はっきり言って、タイトル詐欺ですね。

けど、この話には、やっとエアガン先輩が登場したので、出来れば期待して見ていってください。 これからもこの小説をよろしくお願いします。

「ふぅー……」


 男子寮の二〇三九号室の玄関までついたところで、思わずため息を吐く。

 今日は疲れた……今日はいつも以上に疲れた。朝から猛ダッシュで男子寮から職員室まで走ったり、午後の授業では、模擬戦で負けた挙げ句に、自分の魔法師ランクがあんなにも残念。


 しかし、この扉を開けたところで、お帰りやお疲れ様、と出迎えてくれる人はいなかった。

 ミユルを置いて先に来てしまったので、今は一人。


 風呂にでも浸かろう、などの、思いを抱きながらドアを開ける。そのまま、廊下を通り過ぎ、自分の部屋の扉を開けた瞬間だった――――


「すぴー」


……なんかいるんですけど。


「すぴぴぴぴー」


……なんか寝てるんですけど。


 そこには、ルコラがベッドの上で寝ていた。

 春樹の頭は混乱しきったままだが、窓の外から流れてきた風の音で理解した。


「不法侵入じゃねーかっ!」


 扉を勢いよくバタンッと閉じ、軽く嘆息たんそくしながら近づく。


「ああっ……やめてくださいっ。榎木さん、松竹さん」


 ルコラを揺り起こそうとしたときに、唐突に色っぽい声を出しながらベッドでもだえる。

 状況的には榎木と松竹とやらが、ルコラを襲っているようだけど。どこかで聞いたことのある名前だったような……


「や、やめてください。そんなー、二つの穴に、二人の棒が――――」


 どんどん事態がヒートアップして、取り返しのつかないことになっていってる。


「ハルキさんの穴の中に」


 え、俺!?


「そんなやめてください」


 いいぞルコラ、その調子で止めるんだっ!


「やめてくださいっ! ハルキさんが受けなんて、あたりまえすぎて面白くありません」


 止める理由がおかしいだろっ!


「はっ、あなたは枝凜技えりんぎさん。もうハルキさんに残っている穴は無いんです、帰ってください」


 なんか三人目が来た。嫌な予感がする……


「お、やりますね。同じ穴に二本()そうというわけですか」


 いや、絶対無理だから、止めてあげて。

 静かに揺り起こそうと思ったが、春樹は拳の形をつくり、ルコラの頭部にぶつける。


「ふぇっ? ……ハルキさん穴は?」

「穴はじゃねぇよ」


 ルコラは寝ぼけ眼で周囲を見回しながら、ベッドから起き上がる。


「おはようございます、ハルキしゃん」

「あぁ、おはよう。じゃねーよっ! 何で俺のベッドで寝てんだ」


 いや、あまりにも笑顔が無垢で自然すぎるから、普通に返してしまった。


「それはですね、かくかくしかじか……」


 ルコラはベッドに座りながら、ジキル学院長と春樹が消えた後の事を語る。


 春樹達が消えたあとにワルプルギス魔法学院に行ったこと、その後にジキル学院長に会ったこと。

 そして、この学院に入学が決まったこと、だけど今日は泊まる場所がなくて、たまたま春樹の寮室を見つけて、春樹のベッドで寝ていたこと――――


 すべて聞き終えると、春樹は深くため息を吐いた。


「内容は全部分かった。ルコラ、このあとは何処で寝泊まりするつもりだ?」

「勿論、ハルキさんの部屋に決まってるじゃないですか。頭どうかしちゃったんですか?」

「いや、頭おかしいのお前だからね」


 春樹は右肩の装甲からスマホを取り出し、昨日もらったジキル学院長のアドレスを開いて通話ボタンを押す。


『もしもし、ハルキ君』

「あの、ジキル学院長。ルコラが僕の部屋にいるんですけど、部屋ってないんですか?」

『なにを言っているんだい? ルコラの部屋ならちゃんと用意してあるりますよ。今からそっちに行くので切ります』


 と、一方的にぶつりと切られる。


「おまたせ」


 相変わらずの神出鬼没なテレポート。


「すまないハルキ君。彼女は方向音痴で、地図を見ても迷子になるんだ」


 よく、それでゼウス様の護衛役が務まるな。


「今からルコラの部屋に行きます、ルコラ来てください」


 ルコラはジキル学院長のところに移動する。


「それじゃ、失礼するよ」

「また明日よろしくです、ハルキさん」


 ルコラは春樹に手を振りながら、ジキル学院長と共に姿を消す。


……一体何だったんだろう。


 春樹は制服を脱ぎ、私服に着替えてから、制服をハンガーにかけてクローゼットにしまう。


「暇だな」


 ミユルが戻ってこない間はやることが何も無い、ゲームは勿論、動画も見ることが出来ない。ネットが使えないことは、こんなにも退屈なことなのか。


 自分の部屋のまわりを見渡し、何か面白い物でもないかと探していたところ、目にとまったのは。


「……エアガン」


 すっかり忘れていた。魔法の印象が強くて、エアガンの存在を完全に忘れてた。

 まさか、異世界に来て、初めてエアガンが暇つぶしに使えるなんて思いもしなかった。


 春樹は袋の中に入っているエアガン全てを部屋中に広げた。


 ラインナップは、ハンドガンが九(ちょう)、サブマシンガンが三挺、ライトマシンガンが二挺、ショットガンが二挺、アンチマテリアルライフルが一挺、二千発ほどBB弾が入っている袋が五袋。


「こうしてみると壮観だな」


 諭吉先生を三枚消費しただけのことはある。

 春樹は、全てのエアガンにBB弾を詰めると、鏡に向かって、自分なりの格好いいポーズを模索もさくしていた。


 そして、春樹はあることに気が付く。


「これって使えるんじゃね?」


 武器として使う分には文句なしにいいとは思うが、おそらく、少しの火力でも攻撃魔法に当たったら、木っ端みじんになるだろう。


「まぁ、そういうことは後で考えるとするか」


 春樹はベッドの上に、的となりそうな箱を置いてから距離を取り、ハンドガンを構えながら箱を目で捉えながら撃った。


 箱は当たった衝撃で後ろに飛び、BB弾が埋め込まれたあとが残されていた。


「いいぞ、これ使えるぞ」


 春樹は、倒れた箱をもう一度ベッドの上に置き、また撃った。

 それを繰り返す間に、はまっていった春樹は、いろいろな角度や物で試し打ちをする。


「ハルキさん、何をやっているんですか?」

「おお、ミユルか。おかえり」

「ええ、ただいま。……何ですか、それ?」


 ミユルは初めてエアガンを見て、興味深そうに近づいてくる。


「おもちゃか何かですか?」

「まぁ、間違ってはいないけど。これは俺の武器だ」

「武器ですか? こんなに小さいのが」


 ミユルは、手に取りながらエアガンを凝視する。


「ああ、エアガンって呼ぶんだ」

「えあがん? 初めて聞きました、その武器の名前」


 それはそうだろう。多分、この世界にはない物だからな。


「格好いいですね、その武器」

「まぁな」

夕飯ゆうはんの用意を今しますから、少し待っててくださいね」


 ミユルは自分の部屋に戻って行き、制服から私服に着替えたあと、早速、夕飯の用意をしていた。

 その間春樹は、エアガンの試し打ちをしていた。



「これもうまいな」

「ありがとうございます」


 今朝の食事は少し冷めていて、ちゃんと味わえなかったけど、今回はちゃんとした出来たての状態だ、まずいはずが無い。


「あの、ハルキさん。今日の模擬戦のことなんですけど、ハルキさんって魔法使えないんですか?」


 ミユルは真剣な表情で聞いてきた。

 春樹は口の中に詰まった食べ物を水で流し込み、ほがらかに言った。


「ああ、使えないよ。というか、魔法なんてつい最近あるってことも知らなかったんだからな」

「ええ!? 知らなかったんですか?」


 やべっ、口が滑った。

 春樹はあせった表情で席を立つが、ミユルはまたもやひたむきな表情で言う。


「ハルキさんのいたところって平和だったんですね。魔法が無くて、戦争も争いもない……」


 ミユルは顔を下げながら、拳を強く固めた。


「そうでもないよ。俺のいたところじゃ、戦争なんてどっかで起きてるし、見えないところで人がたくさん死んでる。魔法がなくてもそういうのはどこでもあるんだよ」


 そう、人の歴史には戦争が付きものだ。もし、争いの無い世界があったなら、住んでみたいものさ。


「さっき見せた武器あるだろ」


 ミユルは小さくうなずく。


「あれだって、俺のところじゃ、人を殺すために作られた戦争の武器さ。レプリカだけどな」

「あんなに小さいのに?」

「小さくたって、人を殺せれば何でも武器にはなる」


 春樹は椅子に座り、腕を組む。


「でも、おれのいたところじゃ、治安も良いし、他と比べたら平和な国なんだぜ」

「いつか行ってみたいです。ハルキさんの故郷に……」

「それは分かんないけど、出来たら連れてってやるよ」

「本当ですか?」

「本当だ」


 さっきまで暗い表情だったユミルは、いつもの笑顔に戻り、活気があふれたように立ち直る。


「約束ですよ」

「ああ、分かった」


 小指同士を繋いで、約束の近いをして切り離す。

 この小指一生洗わねぇ。


「なんか眠くなってきちゃいました。僕、もう寝ますね。おやすみなさい」

「ああ、お休み」


 頬を少し染めながら、ポカンと口を開け、無意識に右手を振る。

 ミユルは少しステップしながら、自分の部屋に戻る。


「あれ、なにこれ?」


 これってギャルゲーでいわゆる、フラグってやつじゃね? いやいやいや、考えてみろ。相手は男だぞ、男なんだぞ。これはフラグって言っていいのだろうか? そうだ、これは男の約束だ。そうだ、そうしよう。決して変な期待はするなよ伊東春樹。


 春樹はリビングと、ダイニングの明かりを消しから自分の部屋に戻っていった。

 春樹はそのままベッドに潜り込み、バクバクと鼓動している胸元を押さえつけながら、深呼吸を繰り返し、落ち着くまで眠れなかった。





 朝目をますと、今回ミユルはいなかった。

 窓を全開に開け、気持ちいい風を浴びながら、ついでに部屋の換気をする。


 今朝は意外と早く起きたため、風呂に入っても時間は余っていた。

 制服に着替え、右肩の装甲にはスマホ、両腰の装甲にはハンドガンを一挺ずつ入れた。


「ハルキさん、おはようございます。今朝は早いですね」


 おかげさまで、昨日の夜はあまり寝れなかったよ。


「ああ、おはよう」


 苦笑いを浮かべながら、頬をく。


「今、朝ご飯作りますね」


 ミユルは、少し寝ぼけ眼で自分の部屋に戻って制服に着替える。


 おそらく、昨日のことがあってミユルも眠れなかったのであろう。



「「いってきます」」


 朝ご飯もしっかりと食べ、弁当も持った、今日こそはミヅチに勝つぞ。


「ハルキさん、今日はやる気ですね」

「登校二日目でへこたれられないからな」


 昨日はドタバタとしていたが、今日はゆっくりと登校できそうだ。



――――教室――――


「おいハルキ、昨日は大丈夫だったかよ」


 教室に入ってきたミヅチが心配そうに駆け寄ってきた。


「当たり前だろ。それより、今日は負けないからな覚悟しとけよ」

「おう、手加減しないからな」


 と、横からクラスメイトが数人ほどよってくる。


「おっ、やっと本気かよ」

「特編の魔法見てみないな」

「きっと凄いわよ」


 ミヅチと春樹は頬を掻きながら、苦笑いで誤魔化した。


「大変だ大変だ。みんな聞いてくれ、今日このクラスに編入生が二人も来るぞ」


 廊下から駆け足で来たクラスメイトが、唐突にそのようなことを言う。

 当然、教室は歓声と雄叫びに満ちた声で響き渡る。


「聞いたかよハルキ、昨日はお前が編入したばっかなのに、もう新しい特編の奴が来るぜ」


 勿論知ってるいる、そのうちの一人はルコラと確定しているが、もう一人は一体誰なのだろう。


「しかも二人とも美少女だぜ」


 ルコラが美少女とか、目が腐ってる。性格知ったら、絶対印象変わるぞ。これは、もう一人の美少女とやらに期待するしかないな。


「おい、お前ら席に着け! 今日は朗報だぞ」


 クラスメイト(男性)はウキウキとしながら、フレイの言葉を待っていた。


「連続でこのクラスに編入生が二人も来る」


 昨日とは比べて、随分ずいぶんと力のこもった声。

 それを、昨日出して貰いたかったんですけど。


「入ってこい編入生」


 そして、扉が開かれる。

 まず、最初に現れたのはルコラだった。まぁ、これは予想していた通りだったが、問題は次の編入生である。出来れば、清楚せいそでおしとやかな可愛い美少女でありますように。


 そして、姿を見せた美少女は――――


「は!?」


 春樹は間抜けな声を上げながら、椅子から転げ落ちた。


 姿を見せた美少女とは、リヴェルのことである。

 春樹は身を起こし、座り直す。


「今日編入してきた、ルコラ=マーガレットと、リヴェル=ノエルガ・バレンシュタインだ」


 教室はまたもや歓声と雄叫びに包まれたが、フレイが黒板を叩き、それを見た生徒は一瞬で静かに席に着いた。


「自己紹介しろお前ら」

「はいっ、私はルコラ=マーガレットと言います。みなさんよろしくです」


 ルコラは頭をぺこりと下げる。


「私はリヴェル=ノエルガ・バレンシュタインと言います。まだこの学校に来たばかりなので、出来れば仲良くしてください」


 うさんくせぇ、絶対うわべだけのやつだ。


「そうだな、席は……めんどくさいし、ミヅチの後ろでいっか」


 いつものものぐさ教師ぷっりが発揮され、ルコラとリヴェルはミヅチの後ろの席に座ることとなった。




「ねぇねぇ、リヴェルさん。前の学校では何をやっていたの?」

「私、お料理とか得意だったから、料理部だったわ」


 絶対嘘だろ。



「リヴェルさん髪綺麗だね、どこのシャンプー使ってるの? 今度教えてよ」

「企業秘密」


 危ない香りがめっさしてくる。


一方、ルコラは――――


「ルコラちゃん可愛いね、お菓子あげちゃう」

「ありがとうございます。はむはむ」

「きゃー、可愛い。もっとお菓子食べて」


 餌付けされとるやん。


「ル、ルコラさん。この松竹のお菓子も食べてみない?」ハァハァ


 おまわりさんこっちです!


「ねぇ、ハルキ」


 リヴェルが腕を組みながら、近寄ってくる。


「何だよリヴェル」


 と、春樹がリヴェルの名前を言った瞬間だった――――


「ねぇ、今の聞いた?」

「うん、聞いた聞いた。二人ってもしかして知り合いなのかな?」

「もしかして、彼氏彼女の関係だったりして」

「「キャー!!!!!」」


 クラスの女子が輪になって固まりながら、こそこそと話しているのが、れて耳に入る。

 そして、クラスの男子は、まるで親のかたきでも見るような目で春樹に送りつけている。


 頼むから、俺に平和な日常を返してくれっ!

 と、春樹は心に思いながら、窓の向こうの空を見上げた。

はい、これでやっとエアガンも出たということで、これから春樹はエアガンをメインに戦っていきます。多分……  

面白くても、面白くなくても、ブックマークや感想を待っています。出来れば、新米ですので感想や評価はお手柔らかにお願いします。


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