発端(ラフスケッチ)
先程は、
ぼくは カオルはラテを注文して次を話す
よくやってくれた。
「最初に言ってくれればよかったのに。
過去で事故を阻止したって」
「眠くてね、それどころじゃあない。
というよりこれはおまじないのようなものだ。
口外禁止」
でも、一言ぐらい。
そう言いたげなので、
僕はひとまずメモ帳からメニューへと景色を変え、
山海君の好きそうなものと
ラテに合う軽食でも選ぶことに
「あっ、そういえばメモ帳って何を記入しているんですか?」
「…予定だ。この後の」
「それも能力に関係が?」
「ああ、言っていなかったっけ!
そう。ペンとこれさえあればどうにかなる」
「改変ですか?」
「いや、改変できないものだ。
…と。
さ、僕は決まった。
山海くんは?「ここ種類豊富ですね…
スミマセン、ひとまずこれとこれとこれと」
あ、ならパフェを頼むといい」
『ここのは格別だぞ』
「本当ですか!いっぱい頼もー!」編集長の財布は布をなでおろした。
「眠かった、
というのもそうだが 2つ目に山海君、
君の実力を試したくもあったからだ。
だから最初は君に任せたのだが、
君は意外に機転が利く」
「これなら…」
?
山海君に背中を任せても大丈夫そうだな。
任せてくださいよ!
ホイップクリームをつけた山海がふんすと声高に鼻を高くする
「得意気になるのはいいが、傲慢はいけないぞ、分かってはいると思うが」
…聞いていないか。
このパフェを頼むと僕はいつも昔を思い出すんだ。
パートナー、前の相棒も女性だった。
どこか冷たい目をした人。
彼女も甘いもの好きで… (どこに居るんだ、キョウコ?)
「なにか言いました?」
「いや、何でもない」 うたた寝してしまったようだ。
郷愁に浸る事は大事だ。食べ終わったら
どこか見て回ろうか。
じゃあシャトルツリーとおおすみランド行きたいです!
シャトルツリー、
近未来と
古来の伝統文化を結んだ展覧会をたびたび開催している、
世界で3番目に高い展望塔だ。
僕も【宇宙の社】という秀逸祭に足を運んだ事がある。3回行った。
一度目は細かく目を向け、二度目はその【世界】に参拝し、三度目は更に目を凝らし…」
「では4度目の今回は案内をお願いしても?」
「提灯なんてどこから持ってきたんだ?「去年ハロウィンで買ったんです」
カブキかぼちゃ柄の提灯を見せながらにへっと笑う。
なんてかおだ。
「アレルギーは持ってさなそうだね、ではそろそろ行こうか。
お代は僕が出そう、パフェは足りたかな?」
「イチゴの橋型ウェハースってスイーツ、今日までなんですね…」
「…先に行ってるぞ」
路地裏に何かが落ちている。
なんだ?
普段なら足にも気にも留まらないのに、
あれがやけに気になる。
怪しくきらめく光に、僕はいったい何をひっつかせられたのだろう?
いそぎリュックサックを漁り、
ひとつ取り出す。
僕も双眼鏡を持っている。電子式だが。
〘携帯電話〙でバードウォッチングができる時代だ、悪用厳禁。
虫めがねのように画面をのぞき、僕は、
その何かを観察してみる。