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傍無①
「じゃあ傍無で」
「彼を裁くには過去を知る必要があります」
……簡単に仕訳られると思いきや、確認はするみたい。
私は傍無を付きっきりで、観察することにした。
「オラアアアア!!」
傍無はついさっきいっていた通りに壁を破壊した。
なんでそんなことしてるんだろう。
聞きたいけど危ないので落ち着くまで近づけない。
「ぎゃああああ」
傍無が壁破壊をしていると同時に、男の悲鳴が向こうの路地裏からした。
「ぼぼ僕お金なんてもってないですう~!」
「地獄の沙汰も金次第言うやろ」
あ、モブ罪人がカツアゲされてる。
「ひいい!」
「おい」
傍無がチンピラに声をかけた。
「んだこ…」
「俺はおめぇみたいなクズは大きれぇなんだよ」
傍無はチンピラをゴミ箱のあたりにぶんなげて、路地を去る。
ほんの一瞬のことに私はあっけにとられた。
壁破壊さえなければいいやつなんじゃない?