疎卯ルート① オニサスバーガー
「じゃあ疎卯で」
「彼を裁くには過去を知る必要があります」
簡単に仕訳られると思いきや、ちゃんと確認はするんだ。
私は疎卯に付きっきりで、観察することにした。
疎卯は地獄にあるメイドナルドに入っていく。
「なんでついてくるの?」
疎卯は不快そうな顔で、マグマシェイク(赤と黒で溶岩にみたてたストロベリーショコラ味)を飲む。
「あなたを裁きたいからにきまってるでしょ」
疎卯は意外といわんばかりに目を見開いた。
「なんで僕なの?」
「特に理由なんてないよ」
5人の中から彼を選ぶ確率は5分の1なんだし。
「最悪」
シェイクを飲み干すと、ドリンク用ゴミ箱の穴へシュートした。
「すごい」普通あんな狭い所に投げたら入るわけないのに。
むこうから香ばしいポテトの匂いがしてくる。
――私もなにか食べたい。メイドナルドのメニューを見よう。
【鬼のツノのせパフェ】(サンカクコーンかな……)
【血祭り女神カーリー】(辛そうなカレーだよね)
【懺悔の氷山紅蓮地獄】(アイスかな)
―――普通のメニューないのかな。
疎卯はシェイクの他には頼まないでイスに座ってこちらを見ている。
帰っちゃうかと思ってたのに、もしかして待っててくれてるのかな。
「じゃあこの【オニサスバーガー】くださーい」
最近流行りの国名バーガーのパチもんみたいだけど。
「おまたせしましたー」
ヤバイもん入ってるかと思えば、普通においしそうなお肉だ。
―――鬼の肉、なわけないよね。見た目は普通にハンバーガーのパテ、おいしそうなソースの匂いだし。
でも私テクサスバーガー食べたことないんだよなあ。
こういう店もテレビで見るくらいだし。まあ冷めないうちに食べよう。
―――疎卯の視線を感じながら。
大口あけてかぶり付いてもいいか。どうせ裁いたらサヨナラする相手。恥はかきすて、私はバーガーにかぶりついた。
―――――美味しい。
甘めのオニオンソースにゴマつきバンズの食感。この肉なんだろう牛かな。
「それ馬肉なんだよ」
「へー」
「嘘。本当はラム肉」
いや、どう考えてもこれは牛じゃないかな。
疎卯は嘘をついて満足したのか、イスから立ち上がると、スッと店を出た。
「この店のお代、後払いなんですよ」
「あいつ……!!」