朽輪ルート① 反面教師
「じゃあ朽輪で」
「彼を裁くには過去を知る必要があります」
――かんたんに仕訳られると思いきや、ちゃんと確認はするんだなあ。
私は朽輪に付きっきりで、観察することにした。
「なあ罪人A、お前って豚足のような大根脚だよな」
さっそく朽輪はモブ罪人Aに酷いことを言い出した。
しかし豚足なのか大根脚なのか、低レベルな悪口である。
「お…おう」
モブ罪人Aは怒るべきかあわれむべきか反応にこまっている。
「……なぜだ」
朽輪は相手の微妙な反応に落胆している。
「――そんな悪口、なってない!」
反面教師として、お子ちゃまレベルの悪口、二度と言えないように手本を見せてやることにした。
「罪人Aあなたに恨みはないけど……モブだよね!」
「グサッ」
モブ罪人Aは倒れた。
「……一撃でノックアウトした!?」
朽輪はあんぐりと口を開けている。
「負けたぜ七光り。今回の勝負はお前の勝ちだ。今日はなんでも聞いてくれ」
勝負なんてした覚えないんだけど。
朽輪の過去を聞いてさっさと裁こうと思ったが、そういうのルール違反って感じがする。
「べつにいいよ」
もしかしたら話したくないようなつらい過去とかあるかもだし。
それに本当のことを言うかなんてわからない。
――じっくりと自分の目で判断したい。
「そうだ。過去のことより今は何してるか教えてよ」
「モブ罪人に悪口を言うこと、ザイニンファイブのアイドル活動」
「へぇ……」
よくわかんない。