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全員共通 父と母の馴れ初めは?・熱しやすく、冷めやすい・現れたのは極悪人・シフトで裁く

「ねえママ、そろそろパパのこと教えて」


母の実家はお金持ちなので、お屋敷で気楽に暮らしていた。

父親は遠い所に住んでいるということしか知らない。


二十歳になるし、そろそろ父親のことを聞いておきたいな、と思い立って、寝起きの母にたずねたら。


「閻魔よ」

「閻魔?」

私の父は閻魔だったのだ。


「その昔、といっても20年前ね、なんやかんやあって閻魔の妻になったのよね」

「なにがあったらそうなるの!?」

「そんなことどうでもいいじゃない」

母は話したくないようなので、追求するのはやめた。


「ほう、貴女が…」

「だっだれ!?」

いきなりローブをまとった人が現れた。

彼は私の顔を仰視している。


よく見たら美形、なんて思っていると、いきなり手首を掴まれた。


「貴女には此方に来てもらいます」

「は?」

突如、黒い靄が、道のり真ん中に浮かびあがり、私達を包んだ。


「ここは…」

目を開くと、私は暗い空に、行灯が灯った場所にいた。


まるでそこは田舎の神社で開催される縁日のようだが、祭りなんて易しいものじゃない。


ホラー映画ばりの悲鳴やら、刃物の擦れるような音やら、耳障りな音が鳴り止まない。


「ここは地獄です」

「え…ええっ!?」


私、何も悪いことしてないよ。


「地獄って死んだら行く場所でしょ!?」

それに、死んでもいない。



「今日から貴女が閻魔大王です」



――――――



「…といっても、ここは模造の地獄ですけど」

「え?は?模造ってレプリカとか?」

どうりで生身の私が入っても呼吸してるわけね。


「本物の世界など、あって無いようなものですから」

「あ…電波通じる。

ねえ、それより閻魔大王って一番偉いワケじゃないんじゃない!」

閻魔大王が何か、偉いのかを調べてみると、知らない名前がちらほら出てきた。

取り合えず階級はトップではなかったことだけはわかった。


「やっぱ母娘ですよね…」

「あ、そういえばパパってどんな顔?」

某子供向けアニメのようなファイヤーって感じの頭かな。


「すみません。教えようにも、いつも御簾ごしだったので、お顔を拝見したことはないんですよ」



「…ちっ」

私は無意識に、舌打ちをしていた。


「ああ、そういえば、閻魔様もよく舌打ちをしていましたよ」


「へえ…」


「向こうに見えるのが城です」

「あれ?なんで六つも?」

「ここだけの話、別の閻魔様がいます」

「イケメン?」


「さあ?それはわかりませんが、皆さん意中のお相手がいるようですよ」

「そうなんだ。じゃあいいや…」


「おや、略奪愛はしない方ですか?」

「うん」

――――



「つきましたよ」

ローブの男はローブをバサリと下ろす。

耳元で飾りが揺れた。


挿絵(By みてみん)


「あ…人間だった」

意外と普通にかっこいい顔なので、驚いた。


声でこの人が男なのはわかっていたけど、見た目はいかつい鬼のようなものを想像していたからだ。


よく城の中を観る。大河ドラマで見る中華風というか、竜宮城のような城だった。


「彼女達は魔城で貴女のお世話をする女官です」


皆袖が長くがフリフリで、手が隠れたデザインの珍しい服を着ている。

皆目尻に赤や濃いピンクの化粧をしている。


「どうぞ閻魔様」

「あ、はーい」

城につかえている女性たちに連れられて、この世界の服に着替える。


挿絵(By みてみん)


「どうぞ」

元ローブの男は私をいかにも、偉い人の座る椅子に誘導した。


高いところから見渡せる。


閻魔の役目について携帯で調べたけど、よくわからなかった。


「閻魔って結局なにしてる人?」

「罪人の魂を見極めてください」


「…ここにすわって女王様みたいに、お客と謁見すればいいの?」

私は背もたれに寄りかかり、足を組んだ。


「順応早いですね。…さっそくですがお仕事を始めましょうか」

男が指をパチリとならす。


そういえば、彼の名前を聞いていなかった。


「ねえ、貴方の名前…」

「ウオオオオ!!!」

突然聴こえた何者かの雄叫び、ガラガラと石壁が崩れ、城の中を駆け巡る爆風。


一体何が起きたのだろう。

目を開けると、城の壁が一ヶ所破壊されていた。



現れた5人の男子達によって――――――。



「オレは朽輪<くちわ>、口の悪さだけならダントツだ。よろしく七光り女」

「僕は疎卯<そう>、嘘しかついたことないよ」


「俺は傍無<からむ>! 特技は壁破壊だ!」

「どーも~皆の人気もの帑雨<どう>でーす。盗人は盗人でも盗むのは心さ――!」


「自分は単なる詐欺師だ。名を偽埜<ぎの>という」


「へー……」

「……彼らはザイニンファイブ。地獄でも名を知らぬものはいない曲者集団です」


「あ、わかった。私がシャクとかいうやつを使って彼等を天国行きか地獄行きかでサバクんでしょ?」


「はい。貴女の担当は男です。ちなみに向こうの閻魔達は女罪人をシフト制で裁いています」


「私はいつシフト?」

「ずっとです」

「なんかずるくね……?」


oh……なんてこった。なんで私だけ休みなしなんです?


「女性閻魔は貴重なんですよ。閻魔の血を引く方が滅多にいないので」

「へーはあ…そうなんだ」

「まず彼らの中の誰を裁きますか?」


「うーんと……」


◆誰にしようかな?


【朽輪】

【疎卯】

【傍無】

【帑雨】

【偽埜】

【他にいないの?】

【明日じゃだめ?】

【めんどう】

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