一話目~異能力科学院に入学しました~
二ヶ月程入院してました。
前に書いた小説を書き直しつつ投稿しますので、投稿速度が超絶遅くなってしま…しままま…。
暖かな春の日射しを浴び、柔らかな風に髪を靡かせるのは、今年【国立異能力科専門学院】に通うことになっている僕である。
とはいえ、僕に異能の発現はなく、あるのは『異能力者特有の特殊な反応』だけであり、まだまだ異能力者の卵なのだ。
まぁ、そんな訳でエリート視されるはずなのだが…、僕の場合は色々と違う。
何が違うのかというと、普通の異能力者は皆、14歳までには『必ず』発現する。
しかし、現在僕は15歳。
誕生日は4月21の為、そろそろ16歳なのだが、今だに発現が見られない。
そういうわけで、僕は色々と異端視されている。
まぁ、要するに『落ちこぼれ』であるのだが、一応異能力者の卵ということで、今年から高等科に通うことになる。
なんだかエリートの落ちこぼれなんて凄く変な言い回しだが、実際そうなのだからなんとも言えない。
三つ子として産まれた僕には妹が二人いるのだが、落ちこぼれの僕とは違い、二人共高校一年生にして生徒会入りが確定している。
似ているのは顔の作りと声だけ…。
ああ、何故僕は落ちこぼれなのだろうか…。
何故僕だけ異能が発現しないのか…。
そうして僕は遂に学校に着いてしまう。
正直に言うとここには来たくなかった。
理由は簡単で、苛められるから。
「…………。」
学院のクラス案内板で自分の名前を見つけて、教室に向かう。
妹達に似て身長が小さいから、するすると人の間を抜けていける。
まぁ、人避けスキルは身長だけのせいではないけれど…。
◎
「オーッス!ユーキィ、またおんなじクラスだな!」
教室に入って出迎えてくれたのは、唯一の親友である北条 龍也。
初等部からの親友。
「おはよう、タツヤ。相変わらず元気だね。」
「お前が元気無いだけだろ…。」
見た目は運動が出来そうなイケメンだが、実は運動より勉強の方が得意というこの親友は、はっきりいって凄いエリート。
苛められる僕を何度も助けてくれた頼れる相棒だ。
「ああ、そういえば、シノのんとアヤちゃん、同じクラスらしいから、もう大丈夫だな!」
「……だといいけどね。取り敢えずどこ座る?僕は一番後ろの窓際が良いんだけど……?」
そうやって他愛ない会話を続けながら、一番後ろの窓際に座る。
ここは初等部からの僕の特等席。
ここだけは譲らない、なんとしても!
「……好きだよな、そこ。」
「まあね!」
そうして暫く龍也と会話していると、ガヤガヤと教室が騒がしくなる。
妹二人だった。
「兄さん、やっと同じクラスになれましたね!」
「おにぃ、……相変わらず…、そこ座るんだ…。」
妙に明るく元気に話し掛けてきた少女は僕の三つ子の妹の一人、紅緋 彩女。
紅く燃えるような緋の髪を腰まで伸ばしポニーテールにしている。
少しつり目気味の瞳は髪と同じ色で、紅玉石みたいに鮮やか。
顔立ちは凛としたどこか女騎士のような感じの美少女だ。
身長は172㎝と少々高いが、モデル体型なので全く違和感がない。
…うん、悔しくないぞ、お兄ちゃんは悔しくなんて…。
そして次、呆れた様に言ってきた少女は二人目の妹、紅緋 紫乃。
深い深海のような蒼の髪を脹ら脛まで伸ばし、腰辺りで束ねている。
姉である彩女と違い、蒼玉石のような瞳を持つ。
眠そうな感じであるが、これが普通で、儚そうな感じの美少女だ。
身長は142㎝と『僕と同じ位』。
彩女には抜かれたが、紫乃だけは…。
「どした、ユーキ?眉間に皺寄ってるぞ?」
「……何でもない。」
取り敢えずということで紫乃は僕の隣に、彩女は僕の前に座る。
龍也は斜め前の彩女の隣だ。
「それにしても、アヤちゃんもシノのんも綺麗になったなぁ~…。」
「二人はやらんぞ…。手を出したら殺すから。」
「なぁユーキ、……冗談無しで恐いんだが…?」
そんなわけで、先生の話から始まり、体育館に移動する。
この国立異能力科専門学院の体育館は全校生徒1200人程が簡単に入れるほど広い。
広いな…、これって国立競技場位?
えっ、競技場の2.5倍!?広すぎだろ……。
体育館に着くと椅子が沢山置いてあり、名前のが書かれた所に座る。
紅緋の名前で続くから三人横に並んだ…。
長ったらしい学院長先生の話を聞き流し、寝てしまいそうな紫乃をつつきながら、入学式を終える。
そして入学式のあとは自由らしいので、彩女、紫乃、龍也と僕の四人で何処かに遊びに行こう、ということになった。
「校長話長い…。おにぃ、眠い。」
「紫乃ちゃん、学院長だと思うけど…?」
「シノのん眠そうだねぇ…。俺も眠いけど。」
「お前ら……。」
優希「なぁ、やっぱり後ろの窓際って良いよね。」
龍也「そうか?」
優希「男のロマンだろ?」
龍也「……なんか違う気がする。」
紫乃「…思ったんだけれど、おにぃは基本馬鹿だよね。」
彩女「……いや、馬鹿というよりは天然という方が正しいと思うが…。」
優希「て…天然じゃねーし!馬鹿でもねーし!」
龍也「お前…(妹に弄られてる…)。」