第六話プロローグ ―狭間― hazama
闇。
闇だ。
沈んでいく。
沈む?
おかしい。
闇ならば、
そこには上下も高低もない。
だが、
沈んでいく。
より深い闇へ、入り込んでいく。
――――ここは、何処だ?
□
人の記憶とは、時に脆いものだ。
眠りにつく瞬間。
睡眠の途中でふと、一時的に覚めた瞬間。
そんな、ポッカリと空いた時間がある。
当の本人は、全く気づかない。分からない。
曖昧な瞬間は隠れてしまい、
前後の物語が隙間を埋める。
運が良ければ違和感を覚えるかもしれない。
だが、その違和感さえ、次第に隠れていく。消えていく。
隙間の無い、真っ直ぐな線ができる。
真っ直ぐな。
真っ直ぐな線。
――――パチンと、
どこかで、線の切れる音が鳴った。