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The Third Eyes  作者: WAIESU
34/40

夢幻戦夜(B)

 

 

 完全に相手が動かなくなったのを確かめてから、リアナはその場にへたり込んだ。

「は、あ……」

 静かに呼吸を整える。

「あたしも……まだまだね……」

 疲れた声でリアナは呟いた。魔法の扱いには自信があったが、実戦経験がまだ甘い彼女にとって、A級犯罪者のオイディプスはかなり手ごわい相手だった。


「途中でいなくなったと思ったら、こんな所にいたんだな」


 自分の身が無事だったことに安堵していると、占い屋の入り口にアゼルが立っていた。

 伸ばされた赤い髪。その後ろでしっぽのように結ばれた髪がゆれている。

「大丈夫か? 自分の力量くらい考えて戦えよな」

 見ていたのだろうか。痛い一言。だが同時にアゼルの言葉にリアナは少しカチンときた。

「むっ、それくらい自覚してるわ……!」


 そこまで言ってから、ふと気付く。


「……もしかしてさっきの魔法って」


「ああ、俺だ」

 こともなげにアゼルは認める。

「……嘘でしょう?」

「何でそんな嘘をつかなきゃならねーんだ?」

「だ、だって……じゃあこの前あの男二人に襲われたときどうして……」


「あー、あの時か。面倒だったんだ。魔法使うと疲れるしな。だからお前を頼ったというわけだ」


「――――」

 平然と言い放つ赤い髪の男。どこかでプチッという音が鳴った。

「あっ、あなたねぇ〜〜〜〜〜〜」

「誰のおかげで助かったんだろうなあ?」

「うっ……」

 怒鳴ろうとしたがそれを言われては何も返せない。リアナは押し黙った。


「はっはっは。分かればいーんだ。分かれば」

 ものすごい悔しさが精神を襲う。


「ところでちょっと聞きてぇんだけど」

 こちらの気持ちも気にしないまま、アゼルは声音を低くした。

「……何?」

「メテュリーナが戦えば手っ取り早かったんじゃねえか? お前が出なくても、襲撃者が近くにいたことぐらい、あの女ならとっくに気付いてるだろ」


 その問いがくることは、大体予想していた。


「確かに、姉さんならあたしよりも早く察知できてるでしょうね。でも……」


 一拍の間。

 メテュリーナという女性について、様々なことが頭によぎる。


「いろいろとね……都合があるの」


「へ?」



 ――――人には、生まれつき特殊な能力を持つ人がいる。


 それは力であったり、才能であったり、病気であったり。



 リアナは大きく溜息をついてから、思い出して話した。

「……そうだ、この男が言ってたんだけど、ウェルエーヌの居場所がばれたみたい。早く何とかした方がいいわよ」

「あ? 居場所が? そうか、分かった」

 予想していたよりずっと冷静に返事をされ、リアナは呆気にとられた。

(心配じゃないのかしら)

「それよりだな……」


 アゼルが、すっとリアナを指さす。


「? なに?」


「……前、隠したほうがいいぞ。ま、俺はそのままの格好の方がすげー嬉しいんだけど。意外とあるんだな、胸」



 直後、リアナの闇魔法が放たれた。



  

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