蒼き明暗(J)
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これにはアゼルも驚きをあらわにした。
「なんで……そんなもんがあの女に憑依してんだ?」
「人には、生まれつき特殊な能力を持つ人がいるわぁ。
それは音楽や武道などの才能といったものや、魔力や超能力だったり、重い病気であったり、身体の障害だったり。
それ以外にも謎に包まれた不思議な能力を持った人達がこの世界にはいるのん」
メテュリーナが瞳を閉じる。
「貴方たちがウェルエーヌと呼ぶ彼女も、その一人よん。彼女の場合、生まれながらにして悪魔にとり憑かれていた。その時はまだ彼女本人に影響はなかったものの、成長するにつれて悪魔の呪いも強まっていき、彼女は時折自分を支配しようとする悪魔に苦しめられるようになった。最初はなんとか意志の力で抑え込んでいたが、それにも限界がある」
ゆっくりと、瞳を開く。
言葉には、大きな重みがあった。
「普通の人間がどうこうできる存在じゃないわぁ。あれは」