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The Third Eyes  作者: WAIESU
18/40

廻る鐘(B)

  


 夜になると、ライはすっかり体調も回復し、喉が渇いたので水を飲むために一階の台所へ向かった。酒場の方は今日もたくさんの人が入っているようだった。

 マスターを始め、店の人が忙しそうに動いているのが見えた。


 台所に入ると既に先客がいた。


「あれ、ウェルエーヌじゃないか」

「ライさん。体の方はもういいんですか?」

 ウェルエーヌは椅子に座って、コップに入った水を飲んでいた。自分と同じ目的だったので、少し可笑しかった。

「この通り。それよりウェルエーヌ、さん付けは止めてくれって、前言っただろ」

「あ……ごめんなさい」

 ウェルエーヌは恥ずかしそうに俯く。

「いや、謝らなくてもいいけど。ウェルエーヌこそ、体の方は大丈夫なのか?」

「はい。おかげさまで、もう大分治りました。痛みも消えましたし」

「そうか。なら良かった」

 ライもコップを取り水を入れる。一気に飲むと喉が潤った。まだ物足りなかったので、水を入れてもう一杯飲んだ。

「あの……」

 二杯目を飲み終えてコップを置くと、後ろからウェルエーヌが尋ねてきた。

「どうして……ライは私を助けてくれたんですか」

「どうしてって……。ほっとけなかったから」

「それだけ、ですか?」

 真剣な表情。ライは戸惑いながらも思ったとおりのことを喋った。

「そうだ。あのまま放って置いたら命に関わるし、見つけてしまったからには助けるのは当然だろ」


「じゃあ、この指輪がどういう物か……知っていますか?」


 話が変わる。ウェルエーヌは左手を掲げた。

 細くて綺麗な指。その中指に指輪がはめられている。付けられた宝石が微かに光った。

「いや。魔道具だってことぐらいしか」

「今、ハンターの間では高値の報酬で探されているようですね」

「……知ってたのか」

 ウェルエーヌはここへ来てから一度も外に出ていない。前から知っていたのだろうか。

「酒場から、たまたま会話が聞こえたんです」

 こちらの考えを見透かしたようにウェルエーヌは言った。

 酒場にはハンターもよく来るので、彼らの会話が聞こえたのだろう。

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