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プロローグ
プロローグ
ひび割れたガラスの傷を――――
あなたは癒す事ができますか――――?
見晴らしの良い丘。見渡す限りの緑。その豊かさは、楽園という名を連想させる。
数多く咲く花々が景色を輝かせ、どこまでも続く青空がその永遠を物語っていた。
やわらかい風が辺りを包み込み草花が静かに揺れる。
目の前の地面に置かれた花束から花びらが散り、流れていった。
――――何故こんな場所にいるのだろう?
膝の高さほどの小さな石碑の前に立ち尽くしていた人物は、そんな事を思った。
――――どうしてこんなに悲しみが込み上げてくるのだろう?
締め付けられるような痛みを感じ、胸を押さえる。
――――いつから思い出したらいいのだろう?
次々と浮かんでくる疑問。
全て知っている答え。
そして、
「貴方の涙は……見たくないから……」
――――それは、誰の言葉だったろう?