猫の少年
初投稿です。暇潰しにでも読んでいってください。
好きなジャンルは特殊能力ですが、リクエストされたら何でも書きます。
それでは皆様、いってらっしゃいまし。
兵庫県春美市、神戸市より少し北にある至って普通の都市。名物も特に無く、歴史的に有名な事件も起こっていない。樹齢何千年の神木があるわけでも無く、革新的なオブジェも無い。
そんな普通の都市のとある町をふらふらと歩く少年が一人。
全体的に丸っこくまとまった髪に、瞳に縦線の入った猫の様な目、平々凡々な鼻と、Wの様な口を持つその少年は、今は平日の昼間だと言うのに学校の制服ではなく緑のジャージを身にまとい、呑気に口笛を吹きながら歩いている。
少年の名前は市田玉流。いちだたまると読む。
年齢は15、趣味は昼寝、好きな食べ物は魚というごく普通の中学3年生だ。
だが、玉流は受験真っ盛りの中3というじきにも関わらず、学校に行っていない。今外に出ているのも散歩しているだけである。
何故かは玉流が家に帰ってから説明するとして、
この市田玉流という少年は今、重い悩みを抱えている。
「てめっ!!どこ見てんだゴルァ!!」
おっと、目を放した隙に玉流が不良にぶつかってしまった。しかも3、4人いる中の一人にだ。
玉流は不良達に囲まれてしまっている。普通の人間なら怯えて金を払おうとする所だが、玉流はそんなこと出来ない。
財布が無くなった、とか財布に一銭も入っていない、とかそんな理由ではない。
玉流は、この程度の不良に絡まれるのは日常茶飯事だからだ。いや、日頃からもっと怖いものに触れてしまっているから、と言う方が正しいだろうか。
「ごっ…ごめんなさい…」
だが玉流は律儀に謝る。謝ったら許してくれる人間なんてこの世にはいないと知っていて。
「ごめんですんだら警察はいらねーんだよ!!!!」
案の定、不良はその律儀な姿に腹が立ち、玉流を殴ろうとした。
そして、殴ったのである。大空を、空気を。
言い換えれば、殴ったけど当たらなかったのである。
それもそのはず。そのとき玉流は不良の輪の中にはいなかったのだから。
玉流は絡まれた場所から3kmほど離れた公園のベンチに座ると、重たいため息を吐いた。
「あーあ…また能力使っちゃったよ…」
読んでる人には分からないと思うが、玉流がここに来るまでの時間は、ものの数秒である。
人より何倍も何百倍も何万倍も速い、それが玉流の特徴であり悩みであった。
いかがでしたでしょうか。面白かったら是非2話以降も読んでほしいです。お願いします。