4/5
言ノ葉師 4
「私は物書きの言葉ノ師。白狐と申します。
まだ試したことがないく、誠なのかは定かではございませんが、
我らが永久を言の葉に込めたら、
それは永久になるのではないかと思いまして…。」
姫は白狐を見た。
逆光に照らされた彼は美しかった。
姫は感じた。
そんな彼を歌にするとしたら、それは紛れもなく
恋の歌だ、と。
「我も永久を誓えばよいのか…?
そなたと…」
“愛を…”
姫の脳内に1つの言の葉が生まれた。
「…白狐よ、永久とはいつだ?」
すると白狐は姫の前に跪き、頭を下げた。
「我らが亡き者になろうと、生まれ変わり、会えぬ身になろうと…、
いつか言ノ葉師達が時に流され、ただの人間と呼ばれる世界が来たとしても、
言の葉が作り出す世界を消さぬ為に。
それが必要とされている限りの永久…
その時が訪れるまで、
私は、貴方様を愛し続けましょう。」
その言の葉に姫は強く頷いた。
「~月光の下、誓いし永久よ。
我らの言の葉、消えぬ限り。
もしこれが愛ならば、
貴方に我の全てを捧げよう。~」
歌姫の言ノ葉が空に舞った。
>>




