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転生と…  作者: 秋華(秋山 華道)
ゴッドブレス
82/89

大会開始

大会初日、まずはシングル戦だ。

ドリーム夢ちゃんは流石の圧勝を見せる。

 大輔「あのコントローラーさばきは、もはや芸術だよな。」

完璧に機体を、体の一部にしているような動き。

指さばきなんて見えない。

このドリームに勝てる人なんて、皆無じゃないだろうか。

でも、勝ってる人もいるんだよな。

それがダストの知里ちゃんだ。

わざと負けてるとかって人もいるけど、俺にはそうは思えない。

知里ちゃんもかなりのコントローラーさばきだし、それに戦い方が読めないからな。

 乙女「次は私の番だよぉ~」

少し知里ちゃんにしゃべり方が似てるが、見た目は全く違う乙女。

見た目は完全に知里ちゃんのが年上に見える。

乙女が子供に見えるってだけかもしれないけど。

 大輔「ココを勝ったらドリームとやれるんだ。勝ってこいよ。」

乙女はどちらかというと接近戦が得意だ。

フィールドにも影響をうけやすいからポカも多いけど、近接攻撃力だけなら我がサークルのナンバー2。

フィールドは森に決定した。

これはついてる。

森か街、この二つは、乙女の得意マップだ。

機体マイヒメの名のとおり、舞うように木々を抜けてゆく。

敵機体は中長距離を得意とする、スタンダードなタイプ。

 乙女「にがさないのぉ~」

既にビーム弾が届く距離。

木々の間をぬって撃つマイヒメのビーム弾は、面白いように敵に命中する。

向こうからの追尾ミサイルは、このマップでは使いづらい。

木に当たってこちらまで届かない。

ビーム砲を何発かあてられたが、反撃はそれだけだった。

 乙女「やったよぉ~!いぇ~い!」

乙女が笑顔で俺達にピースした。

 大輔「流石乙女、森だったら、ドリームともかなりやれるかもな。」

 沙羅「まあ、少なくとも、良い勝負はできるでしょうね。」

大型モニタの前では、森学の連中が観戦していたようだ。

 大輔「観てたみたいだな。」

 吐息「うん。でも余裕そうなのさ。」

夢ちゃんはあまり相手にしていないようで、もう卒業している元部長とじゃれ合っていた。

う、うらやましくなんかないぞぉ~!!

 大輔「シクシク・・・」

最終日のチームでは、絶対にブライトスターには負けないぞ。

俺は堅く誓った。

しばらくして、知里ちゃんのダストの出撃。

こちらもあっさりと勝利していた。

流石に強い。

操作が早いってよりも、動きが読めない感じ。

とにかく敵にしたら怖い。

 沙羅「じゃあ、次は私ね。」

次は沙羅のレッドストーンが出撃だ。

俺達は、大型モニタ前から、操作席辺りに移動する。

知里ちゃん達とすれ違った。

 大輔「ういっす!」

俺は極めて自然に声をかけた。

 知里「こんにちわぁ~」

 夢「誰?」

 今日子「昨日私の舎弟になった、竜郎のお友達みたいだよ。って、おっす竜郎!」

 竜郎「お、おっす。って、俺は舎弟だったんだ?」

なんか、竜郎のイメージが、ドンドン悪くなってくるな。

結構もてるし、ツラも良いのに。

 吐息「今日はお手柔らかに頼むのさ。」

 達也「うん。お互い全力で楽しみましょう。」

この人が元部長か。

ゲームがうまいようには見えないんだけど、なんだか強そうなんだよな。

 大輔「じゃあ、また後で。」

 知里「うん。じゃあねぇ~」

俺達は、さっきまで森学の人たちがいた場所にきた。

沙羅だけが、席についてコントローラーを握る。

 大輔「まあ、言う事はないけど。頑張れ。」

 沙羅「ええ。」

沙羅は見た目は美人系で、めがねをかけている。

俺達のサークル内では、頭脳的存在だ。

作戦の考案は沙羅が中心。

ゲームも一番安定して強く、我がサークルのエース。

あっさりと勝利した。

 大輔「おつかれ。街だったけど楽勝だったな。」

沙羅のレッドストーンは、中長距離を得意とするドリームと同じ系統だ。

 沙羅「森よりはマシだしね。」

 吐息「街は障害物が多いけど、直線で見通しがいい場所が、結構あるのさ。」

まあそういう事だ。

人によっては、荒野の方が戦いにくいって人もいるからな。

マップはランダムで選ばれるけど、街になる確率が極めて高い。

他のマップは気まぐれ程度にあるだけだ。

沙羅が席を立つと、俺達はその場所を空けた。

一回戦の残り試合が終わるまで、俺達も大型モニタ前で観戦していたが、少し離れた所にいる森学の人達と話す事は無かった。

少し残念。

で、二回戦。

まずは夢ちゃんのドリームに、我がサークルのマイヒメが挑む。

森学の人達がいる場所からは少し離れているので、少しくらいの声しか聞こえてこない。

 乙女「よし、やるぞぉ~」

乙女が気合いを入れて席についた。

 沙羅「まあ、マップしだいね。」

 乙女「森こい森こい森こい!」

マップが決まる。

・・・

 大輔「地下洞窟?」

 沙羅「滅多に無いマップね。」

地下洞窟マップは、結構レアなマップだ。

100戦しても、一度あるか無いか。

まあ、練習もそれほどできるマップではない。

 竜郎「乙女は珍しいマップをよく当てるな。」

そういえば、乙女は街以外で戦ってる事をよく見る。

そういう星の元に生まれたのかね。

とにかく、このマップは、判定になる事が多いマップ。

特に中長距離機体と近接格闘機体だと、その可能性は大きい。

 大輔「逃げ回って、判定を狙うか?」

 沙羅「それだと不利ね。」

 乙女「真っ向勝負あるのみぃ~!」

 竜郎「だな。」

 吐息「乙女は、真っ向勝負が取り柄なのさ。」

マップに、マイヒメが表示された。

カウントダウンが始まる。

そして、ゲームがスタートした。

マイヒメはとにかく最短ルートでドリームを目指す。

ドリームも同じように向こうから向かってくる。

どちらも真っ向勝負だ。

すぐにドリームを捕らえた。

それは、向こうもこちらを捕らえたのと同じ。

ビーム砲と追尾ミサイルがとんでくる。

 乙女「その程度で、私の行進は止められないよぉ~」

マイヒメは全てをうまくかわしながらドリームに近づく。

 大輔「近距離攻撃に切り替わる!」

ドリームの早い攻撃に、マイヒメの対応が遅れる。

 乙女「はやいなぁ~」

ドリームのビーム弾がマイヒメを捕らえた。

それでもマイヒメは更に接近。

すでにビームジュルを両手に装備していた。

近接格闘で勝負を挑む。

ドリームがロケット弾を発射して、武器をビームソードに切り替えた。

マイヒメがロケット弾を受け流すようにかわす。

しかしすぐにビームソードが斬りつけてくる。

こちらは盾を持っていない。

乙女は回避に全神経を注いでいるから、防御の二文字は無い。

かわした。

流石にマイヒメ。

すかさず攻撃する。

簡単に防がれる。

やはりドリームは強い。

近接格闘でも勝てる気がしない。

機体能力なら、近接格闘ならこちらの方が有利なはずなのに。

こちらの攻撃は、全て防がれる。

マイヒメの攻撃が当たらないと言うことは、竜郎以外の近接攻撃は全て当たらないだろう。

ダメだ。

だんだんとかわしきれない攻撃を、ドリームが繰り出してくる。

ビームバルカンでうまく牽制されている。

 乙女「ああ~ん!強いよぉ~」

爆発音と共に、ゲームは終了した。

ドリームには、ほとんどダメージを与えられなかった。

 沙羅「森じゃないと、勝負にならないわね。」

力の差は、まだまだ有りそうだった。

間1ゲームをはさんで、今度はダストとレッドストーンの戦いだ。

マップは普通に街。

我がサークルのエースと、知里ちゃんか。

おそらくは良い勝負になるだろう。

街のマップに機体が表示され、間もなくゲームがスタートした。

沙羅はスタンダードな戦いをするから、まずは離れた位置で様子をうかがう。

ダストはノロノロとマップを動いていた。

 沙羅「読めないわね。」

 竜郎「でもこのままじゃ、勝負にならないだろ?」

 吐息「どこかで視界に入れるのさ。」

レッドストーンは、見通しの良さそうな場所で、ダストをロックオンした。

追尾ミサイルとビーム砲の連携。

すると追尾ミサイルを追尾ミサイルで迎撃してきた。

この技は、今ではすっかり広まっているが、あのブライトスターの技だ。

ただ、追尾ミサイルをその分必要とするので、あまり使う人はいない。

ダストは尚もノロノロと近づいてくる。

 沙羅「だったらビーム砲をメインにするまで。」

追尾ミサイルを撃ってから、ビーム砲もロックオンして放つ。

今度は急旋回して建物の影に入られ、あっさりかわされた。

 沙羅「一旦引く。」

沙羅は見通しのいい場所から離れる。

いやその一瞬の瞬間、背を向けたほんのわずかな時間に、狙い澄ましたビーム砲の連射。

 沙羅「ビーム砲を余分に積んでる?」

知里ちゃんの機体は、おそらく近中距離を捨てた、長距離の機体?

それなのに接近してきていたのか?

全てがレッドストーンに命中。

機体の損傷が激しい。

 竜郎「被弾した場所が悪い、移動速度制限がかかるぞ。」

 沙羅「まだまだ!ブースト使えばオッケー!」

だけどブーストを使った移動は燃費が悪い。

レッドストーンをすぐに反転させて、ダストに向かう。

接近戦にするつもりだ。

ダストは逃げる。

スピードは速い。

しかし追いつめられた沙羅は強い。

集中力を極限まで高めた沙羅は、ダストとの距離を確実に詰める。

知里ちゃんも諦めたのか、近接格闘戦に応じてきた。

早く決着をつけないと、こちらの燃料がもたない。

さきほどから使い続けているブーストのせいだ。

しかし接近してしまえば、燃料消費はほとんどない。

今相手に再び逃げられたら、レッドストーンの負けだ。

もちろんそんな隙は、沙羅なら与えないだろうけど。

燃料が無くなると同時に、ダストを破壊していた。

 大輔「おお!やったじゃん沙羅!」

 沙羅「ふぅ~ギリギリだったけどね。判断が1秒遅れてたら負けてるよ。」

 竜郎「だな。」

勝負は勝ったけど、でもやはり知里ちゃんも凄かった。

毎回いろんな装備で、いろんな戦いをしてくる。

今回はたまたま失敗しただけかもしれない。

俺はなんとなく気になった。

それに話す口実もできたから、俺は知里ちゃんのところに向かった。

 大輔「ちょっと話してくる。」

 沙羅「はいはい。」

大型モニタの前で、森学の人達が集まっていた。

 大輔「ども!」

俺は平静を装って、知里ちゃんに話しかけた。

 知里「負けちゃったよぉ~。レッドストーン強いねぇ~」

見たところ、負けたショックはないようだ。

 大輔「ああ、あいつはうちのエースだからね。」

 知里「そうなんだぁ~。反応早かったもんなぁ~」

もとい、少し悔しそうだ。

 大輔「反応ってか、奴の場合判断するのが早いんだけどね。」

 知里「4連ビーム砲で、エンジン確実に破壊する予定だったのにぃ~射線が0.1度ずれたよぉ~」

なんと、あそこで知里ちゃんの計算がくるっていたのか。

あれでもかなりやられたと思っていたんだけど。

 夢「それに、レッドストーンの近接格闘のデータが無かったからね。」

 達也「チリちゃんは、データが無いとたまにポカするからな。」

 大輔「そうなんだ。って、挨拶してなかった。俺、川神大輔って言います。ヨロシク。」

 達也「ああ、チリちゃんから聞いてるよ。俺と同じ歳だっけ?星崎達也です。で、こっちが後藤夢。」

 大輔「え、ああ、ヨロシクね。」

 夢「うん。」

少し夢ちゃんは俯いていた。

うわぁ~、夢ちゃんもかわいいなぁ~

 達也「あげんぞ?」

達也君が、腕を夢ちゃんに回して、抱き寄せていた。

いい、実にいいなぁ~

って、知里ちゃんと話してたんだった。

 大輔「でも、よくあんな戦い方できるね。」

 知里「んー。データが有れば、いろいろ考えるの楽しいからぁ~」

なるほどなぁ。

知里ちゃんは、勝つ事もまああれだけど、それ以上に楽しんでやっているんだな。

夢ちゃんは勝つ事が楽しいって感じか。

 大輔「なるほど。じゃあ俺はみんなの所に戻るよ。」

 知里「うん、またねぇ~」

 達也「ああそうだ、これ、渡しておくよ。」

差し出されたのは、名刺。

サークル☆ドリームダストのだ。

連絡先やホームページアドレスが書かれていた。

 大輔「あ、ありがとう。俺も有ればいいんだけど。ゴッドブレスってサークル作ってるから。」

 達也「そうなんだ。覚えておくよ。ああ、チリちゃんも名刺わたしといたら?」

 知里「ええ?私、ドリームダストの名刺なんてないよぉ~」

 達也「いや、個人的にあったでしょ?」

なんだろう?

 知里「え、あ、うん。」

知里ちゃんが少し照れたように、鞄から名刺を取り出した。

 知里「はい。」

 大輔「ありがと。」

受け取った名刺には、知里ちゃんの携帯番号とメアドが書かれてあった。

・・・

 達也「じゃあ。」

そう言うと、森学の人達は去っていった。

おい、どうするよ?

電話番号書かれてるよ。

メアドも有るよ。

俺は早速、番号とメアドを登録して、メールを送った。

俺の携帯番号とメアドを書いて。

で、この後のゲームは、ドリームとレッドストーン共に、無事勝ち進んだ。

来週木曜日には、エース対決だ。

今から楽しみだった。

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