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転生と…  作者: 秋華(秋山 華道)
転生と…
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空っぽの結論

また夢を見た。

俺は華澄を崖から落とす。

その後、俺は必至に自宅を目指す。

しかし、俺は家の前で倒れてしまった。

救急車のサイレンの音。

気がついたら病院のベットの上だった。

父さんと母さんの顔が見える。

でも、俺は怖くて、何も喋れない。

忘れたい、忘れたい、忘れたい、忘れたい・・・

母さんの心配する顔が、悲しい。

あの崖の上での事が、夢であってくれたら。

そうだ。

あれは夢だったんじゃないだろうか?

そうだよ。

あんな非現実な事、そうそうある物じゃない。

なんだ夢か。

俺は母さんに笑顔を作った。

病室のテレビが、ニュースを放送していた。

目に入ったのは、あの崖。

夢では無かった。

もう死にたい。

でも死んだら母さんが悲しむだろうな。

だったら忘れたい。

忘れさせて、忘れさせて、忘れさせて・・・

真っ白な世界。

全て忘れた。

この人は俺の父さんだと言う。

そしてこの人は母さん。

でももう俺に記憶は残っていない。

喋る事もできないし、食べる事もできない。

俺はこのまま寝続けるのだろうか?

それだと死んでるのと変わらないじゃないか。

母さんが悲しむ。

誰か、助けて。

この体あげるから、父さんと母さんを安心させてあげて。

俺は目が覚めた。

ピースは埋まった。


星崎達也は、両親の為にその意識を閉じ、そして俺は、星崎の両親を安心させる事で、生まれ変わる事が許された。

後は、生まれ変わった事でかなえられるであろう、幸せを掴むだけだ。

しかし、星崎達也の罪も償わなければならない。

幸せは、俺が誰かと結ばれる事、罪を償うのは、おそらくは華恋を幸せにしてあげる事だ。


今日の部活、俺は華恋を連れて、街に出ていた。

部員達には、買い物があるからといって出ている。

何故華恋をつれていくのか疑問に思ったかもしれないが、俺は強引に華恋を連れて出てきていた。

少し舞が悲しい顔をしたのが気になる。

でも、そんな事はもうどうでもいい。

いや、本当は一番気になる。

罪悪感。

その罪悪感で今まで道を間違って来たのだ。

今度は間違ってはいけない。

 華恋「今日は、どうしたんですか?私は、う、嬉しいですけど」

 達也「いや、ちょっと華恋とデートしたくなってね」

今まで華恋ちゃんと呼んでいたことは、既に忘れていた。

 華恋「あ、ありがとうございます」

華恋は本当に嬉しそうだし、これで良いんだ。

でも、一応確認はしておく。

 達也「ちょっと聞きたい事があるんだけど、良いかな?」

今から確信に迫る。

緊張してきた。

 華恋「なんでもこたえますよぉ」

本当になんでもこたえてくれそうだ。

こんなにも、俺の事を想ってくれているのか。

 達也「ちょっと傷つける事いってしまうけど、ごめんね」

 華恋「そうなんですか。はい。ドンときてください」

本当に良い子だ。

 達也「華恋のお母さんとお父さんって、どんな人?」

 華恋「えっ!?」

予期せぬ質問だったのかもしれない。

でも、俺は聞いておかないと納得できない。

これは俺のわがままだ。

わかっている。

それで華恋を傷つけているんだ。

 達也「もしかして、片山華澄さんかな?」

驚いている。

その表情を見れば、これが正解である事がわかった。

泣いていた。

きっと、両親を一緒に亡くした2年前を思いだしたのだろう。

ごめん。

俺は泣きやむのを待った。

 華恋「先輩、私の彼氏になってくれますか?だったら全部話します」

俺は頷いた。

元々そのつもりだったのだから。

 華恋「2年前、私のお父さんが、私のDNA鑑定をした事がきっかけでした。血液型が合わなかったからと言っていました」

ココまで聞いただけで、華恋は俺の子だと確信した。

 華恋「DNA鑑定の結果、私はお父さんの子では無いと結果が出ました。お父さんは、怒ってました。私にも暴力をふるいました。だから、それから直ぐに両親離婚しました。でも別れても、2人は、財産の事で争っていました。お父さんは、私はいらないから、金は全部渡せ、お母さんは、お金がないと私を養っていけない。お母さんは、お父さんを殺そうとしたらしいです。」

泣き声になって、もう話せる状態では無かった。

でも、これで、あの夢が事実であると言えるだろう。

俺は華恋を抱きしめた。

俺はこの子を、我が子を、ずっと守っていこうと決めた。

このために生まれ変わったんだ、そう思った。

部室に戻った俺達は、皆に付き合うことを報告した。

少し腑に落ちないといった感じだったが、みんな祝福してくれた。

舞だけは、そそくさと部室を出ていった。

でも、これで良かったんだ。

これで全てがうまくいく、そう思った。

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