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転生と…  作者: 秋華(秋山 華道)
転生と…
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進級

テレビ出演しての決勝が終わってから数日、俺はうららの事が頭から離れなかった。

ゲーム部の部活では、みんないつもと変わらない。

本当に告白されたのかさえ、今となっては記憶が曖昧だ。

でも、確かに告白された。

それはテレビの録画を見ればわかる。

DVDをプレイすれば、あの場面が映し出されるのだ。

正直恥ずかしくて、1度しか見てない。

別れ際に言われた言葉。

俺の為ならなんでもすると言った。

その気持ちは、ドリームダストに勝つために努力したうららを見れば納得できる。

そして、うららの気持ちにこたえられるようになったら、教えて欲しいと。

これは、俺の事をずっと好きだから、つきあえるようになったらつきあってくれという事だろう。

いや、もっとかもしれない。

今すぐ結婚しようと言ってもこたえてくれそうだ。

うららは、恋がよくわからない俺にとって、正解に一番近い人だと思う。

でも、その人ではなく、あくまで一番近いだけ。

前にきららが言っていた言い方だと、2番目なんだろう。

きららは俺の事を、俺が今うららを見るような目で見ているのかな。

俺は気持ちが整理できたところで、うららにメールを入れた。

本当は直接言うべきなんだろうけど、うまく言えないかもしれないし、勘違いがおこるかもしれないから。

「俺の気持ち、返事を返します」

まずはタイトルを書いた。

続いて本文を書く。

「正直に俺の気持ちを書くと、おれもうららの事は大好きだ。でも実は俺、恋愛ってよくわからなくて、どうしたら良いのかわからないんだ。ただ、うららはなんとなくだけど、違うような気がするんだ。別に嫌なとこがあるわけじゃない。理屈で考えれば、俺にとってパーフェクトなんだとさえ思う。でも違う気がするんだ。だからそれがわかるまで、俺は誰ともつきあえない。ごめん。」

送った後、なんだか17歳の若造が書くメールじゃないような気がしたけど、なんとなくだけど、うららなら大丈夫な気がした。

返ってきたメールには、「うん。知ってるw」とだけ書いてあった。


今日は始業式、俺もとうとう最上級生だ。

昇降口付近には、新しいクラス割り表がはってあった。

ご都合主義なアニメやゲームなら、きっとゲーム部みんなが同じクラスになるのだろう。

でもこれは現実だ。

そんな事はまずあり得ない。

とにかく俺は自分の名前を探した。

すぐに見つかった。

 達也「3年A組か」

俺は一応他の連中の名前も探す。

すると同じクラスにはうららがいた。

 うらら「同じクラスだね」

振り返るとうららがいた。

さっきメールでやりとりしたばかりだから少し緊張したけど、うららの笑顔を見てると落ち着いた。

 達也「うん。うららと同じクラスで良かった」

正直な気持ちだ。

今うららより好きになれそうな女子の名前なんて、思いつかない。

 うらら「私も良かった。3年のクラスって、結構重要だもんね」

 達也「うん」

そうなんだ。

学生時代のクラスで、3年のクラスというのはかなり重要だ。

何故なら、同窓会や卒業アルバムなど、3年生の時のが中心になるから。

それに森学だと、修学旅行も3年だったりする。

普通は2年の時に行くものなんだけどね。

俺は他の連中も名前を探した。

きららとまこちゃんが同じC組だ。

同じで少し安心した。

やっぱり仲良しがいた方が良いから。

吉田君と新垣さんもE組で同じだった。

このあたりは先生も配慮したのだろうか。

もしそんな事があるなら、俺とうららも配慮されて同じになった可能性もあるな。

先生だった頃の経験から知っている。

学校側は、一応そのへんは考えてクラスを決めるから。

俺はうららと共に教室に入ると、知った顔何人からか挨拶される。

 鈴木「あれ?高鳥さんって、同じクラスだったっけ?」

 うらら「えっと・・・」

どうやら鈴木君は、きららと勘違いしているようだ。

 達也「これ、うららだぞ」

俺はうららの頭に手を置いて言った。

 鈴木「ああ、そういえば姉の方が同じクラスでしたね。よろしくです」

 うらら「あっ、はい」

うららがなんだか照れている?

やべ、チリちゃんとかと同じような扱いしちまった。

どうしてもある程度気が知れると、なれなれしくやっちまうんだよな。

俺・・・

俺はうららの頭から手を下ろした。

適当な席に鞄を置くと、俺達は講堂に向かった。

始業式は、校長の長話がウザかったが、ゲーム部の話が半分くらいあったので、少しみんなに申し訳ない気持ちだった。

教室に戻ると直ぐ、新しい担任の先生が入ってきた。

国語の教師で、かなり年輩の女の先生。

優しい先生で、人気があった。

うららが2年の時の担任でもある。

新学期だけど話は少なく、修学旅行の話と、新しい教科書の話くらい。

その後委員長等を決めていたようだけど、俺は特に役職につく事はなかった。

ホームルームが終わると、俺達はすぐに部室に向かう。

今日部活は、明日の部活紹介の事を話し合う為の緊急会議。

 達也「明日、いっぱい入部希望者が来る可能性がある。しかし、部室もこの広さだし、多すぎても困る。どんな紹介をするべきか」

これは悩むところだ。

部員が増えるのは良いけれど、夢とチリちゃん目当てが沢山押し寄せる事が予想される。

はっきり言って、それが一番嫌だ。

俺とうららがドリームダストに勝ったのは、入試が終わった後だし、うらら目当てはまあいないだろうから、そこは安心だけど。

ってか、俺に告白してたし。

それに世間では、ドリームダストがわざと負けたって話が主流で、夢とチリちゃんの人気はますます高まってるからなぁ。

 夢「紹介しなきゃいいじゃん」

 達也「そういうわけにもいかないんだよね。時間割り振られてるから」

 まこと「じゃあ、定員を決めれば?」

 達也「定員は規定があって、あまり少なくは設定できないんだよね」

 きらら「テストするとか」

 達也「ああ、ちょっと良いな。でもどんなテストするんだ?それにそれで制限するのもやっぱまずいかも」

 今日子「もう、みんな生ぬるいですよ。はっきり言ってやりましょう!貴様ら!我が部のアイドル目当てなら入ってくるんじゃねぇ!!って」

 達也「流石にそれもまずいだろ?それに言っても入ってくる奴は入ってくるだろうし」

 うらら「じゃあ、この部活に入りたくなくなるような紹介をすればどうかな?」

・・・

 達也「それだ!」

 今日子「なるほど。貴様ら入ってくるんじゃねぇ!!って暴れるんですね!達也かっこいい!」

するわけねぇ。

でもちょっと面白いけど。

 知里「じゃあ今日は麻雀大会だぁ~」

 今日子「おっしゃー!!やったるでぇー!!かかってこんかーい!!」

・・・

なんで麻雀?

こうして今年度最初の部活は麻雀大会だった。

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