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転生と…  作者: 秋華(秋山 華道)
転生と…
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チーム

俺は昔からチームプレイが苦手だ。

昔というのは、もちろん義経が若かった頃から。

息が合わない訳ではない。

ただ俺が、相手に迷惑をかけたくないと、いらないプレッシャーに押しつぶされてしまうのだ。

だから、遊び程度ならうまくいくのだけれど・・・


今日はバトルグリード全国大会3日目。

チームダブルの準決勝までが行われる。

チームで機体は2機、4人でのコンビバトル。

このゲームの団体戦だ。

参加組の数が、他と比べると圧倒的に少ないから、予選レベルは他より低いが、ココまで来ると他よりもハイレベルになる。

ひとりで1機を操作するには、かなりの無理があるが、2人で1機なら、息さえ合えば、夢ちゃんのドリームでもかなり苦戦するだろう。

あくまで息が合えばだけど。

リアリードリームは、我が部の突撃隊長まこちゃんが攻撃系、天才夢が移動系を担当する。

スターダストは、俺が攻撃系、魔女チリちゃんが移動系。

で、追尾ミサイルを回避する方法を実行する為には、2人の息が合わないといけない。

何故なら、必要な操作が2人に別れているから。

シングルなら、妨害電磁波をとばすのも、急旋回するのも同じ人だけど、チームだと電磁波は攻撃系、急旋回は移動系となる。

昨日の夜は、結局回避練習をしまくって、リアリードリームはほぼ100%、スターダストも8割は回避できるようになった。

まあ、夢とチリちゃんの力そのままくらいにはできるようになった訳だ。

これで普通に戦えれば、この団体戦、優勝することも十分可能だ。

何故なら、俺達は裏技を使う事や回避する事ができるだけでなく、夢とチリちゃんがコンビを組んでいるのだ。

まこちゃんは、攻撃だけなら夢にも負けない強さを持っているから、リアリードリームはドリームよりも強い機体と言えるかもしれない。

いよいよ俺達の出番、皆は席につく。

なんだかこのゲームを始めて最高の緊張が俺を襲う。

俺のせいで負けたら、3人に迷惑がかかる。

やぱい。

手が震えて操作がうまくいかないし、集中できない。

このままでは・・・

 夢「達也は追尾ミサイルを音に合わせて撃つだけでいいから」

 まこと「たっちゃんは楽でいいねぇ~」

 チリ「お兄ちゃんは、裏技を解明してくれたから、それだけで十分だよぉ~」

あっ・・・

そう言えば、俺の仕事って、追尾ミサイル撃ってるだけでも十分なんだよな。

みんなが声をかけてくれたおかげで、気がついたら俺の緊張は無くなっていた。

チームプレイはダメだと思っていたけど、この面子なら楽な気がしてきた。

どうせ俺、あてにされてないし。

いなくて良い程度の働きで良いなら、目を瞑っていてもできる。

俺が登録を済ませると、直ぐにマップ表示に切り替わった。

どうやらみんなを待たせていたようだ。

機体が表示される。

カウントダウン開始。

 達也「よし!勝つぞ!」

 夢「はいはい」

 まこと「うっし!」

 知里「やっちゃうよぉ~」

画面にスタートと表示された。

直後リアリードリームが敵表示位置に向かって一直線に進む。

相変わらず無鉄砲のような移動だけど、夢にとってはこれが普通。

敵は6位通過の、オタクな人たちの集まりみたいだ。

そこそこは強敵、昨日までの俺達よりは強いと思われる。

しかしドリームの名前は、流石に相手にプレッシャーを与える。

 敵の人A「夢ちゃんがきたぞ。距離をとれ」

ビビってる。

てか、もしかしてこの人達は、ドリームダストファンなのだろうか。

なかなか研究しているようだ。

うまく距離をとって、離れた位置から攻撃してくる。

お互いダメージを受けないまま、時間だけが過ぎてゆく。

ココは夢達の支援より、俺達が隙をつく方が良いかも。

 知里「行っちゃうよぉ~」

チリちゃんも同じ考えのようだ。

チリちゃんは、リアリードリームから少し離れて、一方の敵の側背から近づく。

 敵の人C「知里ちゃんがきたぞ。応援頼む」

 敵の人A「おっ、おう」

しかしそこは夢が押さえる。

 敵の人A「くっ!なんとか頑張ってくれ!」

形としては、別々で勝負する形になった。

そしてスターダストは、長距離同士なら簡単には負けない。

ビーム砲で左右を牽制、移動制限。

追尾ミサイルが飛んでくる。

普通の追尾ミサイルの回避なんて、裏技のミサイル回避と比べれば楽勝。

チリちゃんはあっさりとかわす。

代わりにこちらからミサイル発射。

敵は両サイドのビーム砲が気になって、通常の追尾ミサイルですらかわせない。

勝負は決まった。

終わってみれば、俺が敵を倒して勝利していた。

 夢「当然ね」

 まこと「たっちゃんが倒して勝つなんて、これが最初で最後だね」

 知里「大丈夫だよぉ~私と組んでるんだから、絶対スターダストが落ちる事はないんだからぁ~」

 夢「私だって、リアリードリームは絶対落とさせないわよ」

そう言えばこのチーム、移動系と防御系は、最強コンビが行っているんだ。

落とされて負ける事って、ほとんどあり得ないんじゃ?

予選で負けたのだって、ほとんど判定負けだった気がするし。

 達也「でも次は、あの早慶高校だ」

いよいよ次は、裏ワザを使ってくるチーム。

予選3位通過で、さきほど1回戦を楽勝していた。

あの裏技を多用している。

俺達の成果を発揮する時は、もうまもなくだった。


いよいよ早慶高校との対戦だったが、先ほどよりは緊張していなかった。

なんとなく、チームメイトへの信頼が、俺に安心感を与え落ち着かせる。

今度は直ぐに登録を済ませ、敵機体も見る事ができた。

両方とも中長距離仕様だ。

戦術としては逃げ回りながら、裏技で攻撃してくるパターン。

今までと同じだ。

だったら、俺達は今までどおりでいける。

ゲームがスタートした。

いつもと同じように、夢が突進する。

俺達はその後ろから追随。

敵は二手に分かれて、距離をとる。

夢は左を追撃。

右からリアリードリームに対して、あの追尾ミサイルを放つ。

俺は右の敵に対して、ビーム砲で牽制。

敵はそれに対して下がりながら、ミサイルコントロール。

夢は簡単に回避成功。

そのまま左の敵を追う。

あっちは放っておいても、大丈夫だろう。

1回戦と同様、1対1になった。

しかし今回は、スターダストに対して、あの追尾ミサイルを撃ってくる。

こっちも同時に発射してやった。

 早慶生徒A「えっ?!」

少し席が離れているから、よくは聞こえなかったが、驚いているような気がした。

俺は妨害電磁波をとばして、直ぐにミサイルコントロールをする。

それに合わせて、こちらにとんできたミサイルも、急にこちらに軌道修正してくる。

しかしそれはチリちゃんがうまくかわした。

俺の放った追尾ミサイルは、見事敵機に命中した。

 達也「ナイスチリちゃん!」

 知里「お兄ちゃんもナイスだよぉ~」

 夢「私達も負けられない」

 まこと「ロックオン!」

リアリードリームから発射されたビーム弾が、連続して敵機を攻撃する。

リアリードリームが、敵機に追いついた時点で、俺達の勝利は決まっていた。

 まこと「ひゃーほーい!」

まこちゃんの連続攻撃に、敵機は簡単に落ちた。

 夢「楽勝」

昨日まであれだけ苦戦していた相手、全てが解明された今では敵ではなくなっていた。

準決勝も、俺達は裏技を使って楽勝した。

決勝進出2つ目。

まさか、チームダブルでここまでこれるとは思っていなかったので、俺は今までで一番嬉しかった。

今日の日程終了後、早慶高校の人に話しかけられた。

 早慶生徒A「ちょっと聞きたいんだけど」

今日のチームダブルにでていた中のひとりだ。

 達也「何かな?」

おそらく聞きたい事はわかる。

どうして裏技が使えるのか、どうやってかわしたのか、まあそんなところだろう。

 早慶生徒A「君たちも、伊東さんに聞いたのかい?」

 達也「伊東?誰それ?」

 早慶生徒A「えっ?あー、もしかして、君たちは自力で追尾ミサイルのコントロールを見つけたのかい?」

 達也「ああ、そうだけど。伊東さんって、もしかして蔵の人かな?」

 早慶生徒A「・・・」

直ぐにはこたえてくれなかった。

ふむ。

おそらくは、俺が昨日予想していたとおりだったようだ。

また腹が立ってきた。

 早慶生徒A「一応内緒なんだ。ごめん」

早慶高校の人は、走り去っていった。

 今日子「あーって事は、大会運営の人が、私達があまりに強いから、敵に策を授けたと、まあそういう事なんだね。ゲームごときでそこまであるなんて、楽しい!」

ああ、そういう考えもあるな。

弱い敵を倒すよりも、強い敵を倒す方が楽しい。

こんな汚い事された事に腹を立てるより、今日子みたいに楽しんだ方がいい。

 達也「でも今日子、お前ずっと寝てたのに、なんでそんな事知ってるんだ?」

 今日子「ん?なんの事?よくわからないけど、さっきの会話がなんだかかっこよかったから、そんな妄想をしてみました。えへ!」

・・・

今日子、怖い子。

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