表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生と…  作者: 秋華(秋山 華道)
転生と…
6/89

岡島まこと

カワイイ女の子との出会いは、人生最大の幸福だ。

誰かがそんな事を言っていた。

それがもし本当だったら、俺は最大の幸福を沢山経験している事になる。

教師という職業は、それはもう沢山の人との出会いがある。

歳の差というものがあるし、多くの女生徒をカワイイと思えた。

全てを覚えてはいないが、100人や200人ではない。

おそらくは1000回以上の人生最大の幸福を感じたに違いない。

先に述べた言葉が、俺の価値観から来る言葉なら・・・


今日も俺は、早めの登校をし、教室でおにぎりを食っていた。

既にその光景は当たり前となっていて、特にこちらに驚きの視線を向ける者はいない。

元々大した事をしているわけではないしな。

それに最近では、俺の行動を真似て、パンやサンドイッチを食べる者もいた。

今日は吉田君も、共におにぎりをほおばっていた。

軽くどうでもいいテレビの話をしていたら、きららが教室に入ってきた。

きららはすぐに俺の方に視線を向けると、チョコチョコとよってきた。

 きらら「おはよー」

直ぐ側まで来たきららは、足をそろえてやや前屈みで俺の顔をのぞき込んできた。

少し顔が近い事に照れたが、極力平静を装って

 達也「うっす!」

と、敬礼した。

前の席に座って、半分こちらを向いていた吉田君も、

 吉田「おはよー」

と挨拶していた。

きららはもう一度吉田君にも挨拶をした後、再びこちらの顔をのぞき込んできた。

 きらら「ねね。同好会に入るにはどうしたらいいんだろう?」

俺は少し意外だった。

部活紹介を見た時は、俺も勢いで入ろうとは言ったし、楽しそうとか言ってはいたけど、入るとはっきり聞いたわけではなかった。

それに高鳥姉妹は中学時代、ゲーム部には所属していなかった。

何度か冗談っぽく誘った事もあったような気がするが、別の部に入っているからと断られていた。

だからゲーム同好会には入らないのだろうと思っていたが、冷静に考えれば、部活紹介の時のきららを思い出せば、入るのは当然のようにも思えてきた。

 吉田「高鳥さん、どこか同好会に入るんだ?」

吉田君が興味ありげに、椅子に後ろ向きに座って、体を完全にこちらに向けた。

 きらら「うん。達也とゲーム同好会に入るんだぁ」

 吉田「へぇ~」

ああ、そういや俺も入るんだったな。

俺は少し笑顔になって、吉田君も誘ってみた。

 達也「吉田君も入る?」

 吉田「う~ん。ゲーム同好会って、何するんだろう?テレビゲームをみんなでするとか?」

吉田君は考えて、活動内容によっては入ろうかといった感じの返事をかえしてきた。

 きらら「そういえば、なんだろ?紹介では、ゲームをつくったりもするとかっていってたよね?」

 達也「ああきっと・・・」

俺はそこまで言って言葉を止めた。

危ない危ない。

義経だった俺しかしらない事を喋ろうとしてしまった。

俺はすぐに、昨日の紹介から得られた情報から、予想できる範囲内での事を話した。

 達也「テレビゲームに限らず、いろいろなゲームを作るんじゃないかな?それをみんなでプレイして遊ぶ。そんな風にうけとったけど。俺は」

高鳥姉妹と話す時の俺は危ない。

あまりに普通に話してしまって、つい義経の記憶からの事を話しそうになる。

特に最近は、どれがどっちの記憶だったのか、だんだんあやふやになっている部分もあるから、きっと喋ってしまっている部分もありそうだった。

でもまあ、そんなあやふやな部分は、喋っても問題無いものが多いので、俺もますます普通に喋ってしまっていた。

吉田君も興味をもったのか、とりあえず入ってみる事にしたようだった。

俺達は、放課後一緒に入会届けを出しに行く約束をした。


放課後になり、俺と吉田君、そして高鳥姉妹は、コンピュータルームの隣りにある、第二コンピュータルームの前にいた。

廊下の掲示板に張られていた、同好会勧誘ポスターに、ココに来るように書かれていたからだ。

同好会だから部室も無く、ココを使わせてもらっているのだろう。

俺は早速扉をノックした。

するとすぐに中からガタガタと音がして、チリちゃんが扉を開けてでてきた。

 きらら「やっほ!チリチリ!」

 知里「あーきららちゃん。どうしたの?もしかして同好会に入ってくれるとか?」

知里ちゃんは、俺の記憶と全く変わったところがなかった。

まだ去年の今頃は、一緒にゲーム部やってたんだもんな。

俺は自然と笑顔になっていた。

 うらら「うん。面白そうだったからお世話になりま~す」

 達也「よろしく」

 吉田「あっ、俺も」

吉田君は少し照れてるようだった。

 知里「わぁ~うれしい~みんな入ってくれたら、部に昇格できるよぉ~」

相変わらずの甘ったるいしゃべり方だが、喜び一杯なのがわかった。

俺達は部屋の中に通された。

奥には2人の女生徒の姿が見えた。

1人は美鈴、いや、美鈴先輩、その前に立ってるのは、見たことの無い女生徒だった。

どうやら見たことの無い女生徒は、入会希望者のようで、今手続きが完了したところのようだ。

美鈴先輩は、チラッとこちらに目を向け、少し驚き、少し喜んでいるような表情になったが、直ぐに無表情になって、

 美鈴「こんにちは。入会希望者?」

と、俺達に声をかけてきた。

 達也「はい。よろしくお願いします」

俺はよく知った、しかし初対面な美鈴先輩に挨拶した。

その時、別の方向から視線を感じたので、そちらを見てみると、入会したばかりの女生徒が俺を見つめていた。

それも驚きの表情で。

 達也「えっと・・・」

その子が固まっているので少し返事をまっていると、その子は突然叫んだ。

 女子A「たっちゃん!!」

その声に、部屋にいたみんなが驚いた。

俺はなんとか肯定の返事をかえした。

 達也「うん・・・」

また少し止まる時間。

するときららが、ちょっと笑って言った。

 きらら「なんだか達也が最初に私の名前を叫んだ時みたい」

ああそうか。

この子はきっと俺の事をよく知っている子で、俺はこの子の記憶を無くしてるんだ。

俺は笑顔を作ると、ゆっくり話した。

 達也「こんにちは。お久しぶり。なんだよね?」

 女子A「うんうん。岡島まこと、まこだよ?覚えてない?」

期待と不安と喜びと、そんな感情が表情から読みとれた。

少し話す事をためらったが、話さないわけにもいかないので、俺は記憶喪失の事を話す事にした。

極力明るく。

 達也「俺さ。去年の夏に記憶喪失になってさ。それ以前の記憶がかなりないんだよね」

かなりどころではない。

本当は全く無い。

でも、全く無いとこうして生活できる事が説明できない。

だからまあ、部分的な記憶喪失だということになっている。

 まこと「え~うっそ!相変わらず冗談好きなんだね」

岡島さんは、俺の言うことを全く信じていないようだった。

いや、信じたくないのか。

なんとなくだけど、この岡島さんとはかなり仲が良かったか、それともつき合いがあったのか、とにかく近しい人だったのだろうと思った。

 まこと「ほら。だってゲーム同好会に入ろうとしてる事が、たっちゃんがたっちゃんである証拠だよ」

言ってやった、みたいな顔をしている岡島さん。

でもやはりどこか不安が見えた。

星崎もゲーム好きだったんだよな・・・

俺がどうこたえようか少し困っていると、きららが助け船をだしてくれた。

 きらら「本当みたいだよ。先生言ってたもん。でも全然そんな感じしないけどね」

きららは少し視線を右下にそらせて、淡々と言った。

 まこと「そ、そうなんだ・・・」

岡島さんは少し寂しそうに俯いた。

チラッと見える顔は泣き出しそうだった。

俺に同情してくれているのもあるだろうが、きっと忘れられたのが悲しいのだろうと思った。

だから俺は笑顔で言った。

 達也「えっと、俺君のことなんてよんでたのかな?」

俯いていた顔を上げて、岡島さんはこたえてくれた。

 まこと「まこちゃん・・・」

まこちゃんの目をしっかり見て俺は言った。

 達也「まこちゃん、昔の事、いろいろ教えてくれないかな?」

とにかく思い出したいと思った。

思い出すという表現は、どこか違う気もするけれど、おそらく仲良しだった関係には、なりたいと思った。

まこちゃんの話だと、俺達は幼なじみに近い関係だったらしい。

中学までは一緒で、高校に進学したときに別々の高校に行ったという事だった。

まこちゃんはその時に引っ越して、つき合いはそこで無くなったみたいだっだ。

その後もしばらく昔の話を聞いた後、美鈴先輩に促され、入会届を出した。

そしてみんなで、初の同好会活動としてテレビゲームをしたりして、時間は一瞬のうちに流れていった。

最後に活動を終える時、美鈴先輩が、顧問を見つけて部に昇格したいねと言っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ