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転生と…  作者: 秋華(秋山 華道)
転生と…
50/89

チリちゃんと…

物事は、ちゃんとよく考えてから決めた方が良い。

もし勢いだけで決めてしまうと、後悔する事になるかも・・・


食事をした後の午後のレース、1レース目にうららとまこちゃんが出走したが、機体を調整してきた常連さんの前に苦戦した。

うららも戦術を駆使して、まこちゃんをうまく使って対抗したが、2着に入るのが精一杯だった。

3レース目は俺達の番だったが、正直午前のレースのように勝てる可能性は、おそらく限りなく0に近い。

それでもチリちゃんの顔を見てると、なんとなく勝てそうな気がするから不思議だ。

チリちゃんも、「大丈夫だよぉ~」なんて言ってるし。

まあ不安は有ったが、俺達のレースは始まった。

決勝は5周勝負。

俺はとにかくゴールを目指す。

 達也「おっ!速い!」

午前のレースより、俺の機体はスピードが上がっている。

それでいて、操作性は変わらない。

チリちゃんがうまく調整してくれたようだ。

 知里「本気だよぉ~!」

俺の機体をあっさり追い抜いて、チリちゃんの機体が3番手に上がる。

チリちゃんの機体のスピードも上がっているようだ。

1周目、チリちゃんが3位、俺が4位で通過。

予定以上の位置だ。

俺達の作戦は、1周で1順位あげる事。

そして最後の周では1,2位まであげれば、どちらかが囮になってもう片方をゴールさせるのだ。

2周目に突入。

邪魔が入るが、チリちゃんが囮になって俺が抜ける。

俺が3位、チリちゃんが4位。

この周は前を交わせなかった。

うまくやられている。

3周目。

おそらくこの周は、トップを本気で押さえるチームがでてくるだろう。

思ったとおり。

トップのチームが2機の妨害に走行不能にされた。

俺達は自動的に2,3位に浮上。

4周目。

妨害用機体はつぶし合って、残り4機。

妨害する機体がいなくなった。

トップを行く機体は速い。

 チリ「私が最後妨害しちゃうよぉ~」

チリちゃんはスピードを落とし、5周目でトップの機体をつぶすつもりだ。

俺の使命は、後ろに抜かれないよう、更にはチリちゃんとトップのバトルに巻き込まれないよう、トップにたってゴールする事。

状況的には五分か。

いつもの練習と同じ4機での走行。

なれたレースができる。

俺は5周目に突入。

トップとのタイム差が約2秒。

チリちゃんが妨害行動に移る。

トップの機体がかわそうとする。

 達也「あっ!」

俺はなんとなくわかった。

チリちゃんがこの後どう妨害するか。

いつも一緒に練習してきたからだろうか。

イメージが見える。

そのイメージを信じて、俺はトップの機体の真後ろにつけた。

チリちゃんの急ブレーキとドリフトに、トップの機体が巻き込まれる。

そしてチリちゃんの機体とトップの機体が左右にはじかれた。

正面に道が出来た。

俺はまっすぐ突っ切るだけだった。

1着でゴールした。

 知里「やったよぉ~」

俺達は全国大会に行くことになった。


で、そのままの足で俺とチリちゃんだけが新幹線に乗って、大阪会場の近くのホテルに来たわけだけど。

 達也「全国大会が次の日って、しかもそのまま大阪って。いや、それよりもホテルの部屋が何故同じなんだぁ~!!」

もっとしっかり大会の事を調べてから参加するんだった。

 知里「そう書いてあったよぉ~」

・・・

どうやらチリちゃんは全て知っていたようだ。

更にはそれを普通に受け入れてるし。

 達也「同じ部屋ってまずいよね」

俺は一応たずねた。

 知里「大丈夫だよぉ~達也ちゃんと一緒なんて、きっと楽しいよぉ~」

やばい。

流されそうだ。

 達也「でもさ。恋人でも好きな人でも無い人と、一緒の部屋で寝泊まりって、やっぱり良くないような気がするんだけど」

流石にこの状況で動揺していたから。

出来ればあまり言いたくなかった事。

俺は口に出していた。

こんな事を言ってしまったら、おそらくどうなるか予想できたから。

 知里「私、達也ちゃんの事大好きだから、だからいいんだよぉ~」

ああ、やっぱり。

言われてしまった。

しかし好きだという言葉は難しい。

どうしたらいいんだろう。

俺は、俺もチリちゃんが好きな事に間違いはない。

でもわからないのだ。

付き合いたいとか思えないのだ。

だから、俺は、チリちゃんに聞いてしまった。

 達也「なんで、なんでかな?」

普通は返事を返すべき状況なのだろうか。

少なくとも、理由を聞くところではないはずだ。

それでもチリちゃんはこたえてくれた。

 知里「長くなるけど・・・」

俺は黙って頷く。

 知里「私、とにかく何もかもがつまらなかったんだ。中学生になるまで」

昔の話をするんだな、マジで長くなりそうだと思ったが、俺は黙って聞き続ける。

 知里「小学校の頃は、親同士は毎日喧嘩ばっかり、友達も少なくて、とにかくつまらなかった。そのうち、親同士はとうとう離婚しちゃった。私はお母さんと暮らす事になって、引っ越しして、池田中学に入ったんだ。友達もいない中学に。あっ!きららちゃん達がいたのはビックリしたけど。でも学年も違うから、そんなに遊んでいたわけでもないし。小学校の頃からそうだったんだけど、私の友達は、パソコンとゲーム機だけ。だから、中学ではゲーム部に入ってみたんだぁ」

話し始めた時は俯いて話していたチリちゃんが、急に顔を上げて、俺に笑顔を向けた。

 知里「そこで、美鈴ちゃんに出会って、そして義経ちゃんに出会って、少しずつだけど、生きる事が楽しくなってきた」

ああ、あの頃のチリちゃんは、そんな事を想っていたんだ。

とにかく大人しく、頼りない子だって、それだけしかわからなかった。

それでも、俺に出会って、生きる事が楽しくなってきたなんて。

嬉しくて、悔しかった。

急に、チリちゃんの表情が沈んだ。

 知里「そんな時、朝の朝礼で、義経ちゃんが、死んじゃったって・・・」

泣いてくれている。

俺が死んでから、もう1年以上になるのに。

 知里「私、忘れたくて、毎日勉強ばっかりしたんだ。義経ちゃんが、勉強もした方が良いよって言ってたから」

おそらく死ぬほど勉強したんだろう。

だって、あの頃の成績で、この森学に入れるとは思えない。

 知里「気がついたら、森学に合格してた。そしてまた、毎日がつまらなくなっていたんだ。入学式の日、担任が舞ちゃんだって知った時は、驚いたよ。何かがまた変わりそうな予感がしたよ」

チリちゃんの驚きが伝わってきた。

おそらく、俺が舞の名前を見つけた時のように驚いたんだろうな。

 知里「始業式の日のホームルームの時、達也ちゃん、舞ちゃんを見て泣いてたよね」

あっ!あの時の俺を見てたのか。

俺は頷いた。

 知里「その時、私と同じだ。仲間だぁ。勝手にそう思っちゃった。私も舞ちゃんを見て、こっそり泣いてたから。その後、美鈴ちゃんを見つけて、ゲーム同好会作って、そしたら舞ちゃんを見て泣いてた男の子が入ってきて、もう私、達也ちゃんが気になっちゃって。パンをくわえて走ってぶつかった時も、本当は期待してたんだ。達也ちゃんとぶつからないかなぁって。その後も一緒にいたら、見た目は全然違うんだけど、義経ちゃんと重なって見えたりして、義経ちゃんの生まれ変わりだぁなんて思ったり」

確かに、見た目は違う。

神村と星崎の見た目は、決して似てるなんて言えない。

でも中身は同じ。

もしかしたら、俺が義経だと見抜いているのかも。

 達也「やっぱりチリちゃんも、義経先生が好きだったの?」

俺は、その好きの意味が知りたかった。

 知里「もちろんだよぉ~!でも、お父さんみたいな感じかな。ただ、この人は私を元気にしてくれるんだなぁ~って。助けてくれるって」

少し安心した。

今のチリちゃんに、初恋だったとか言われたら、俺は自分が義経だとはっきり言いたくなるから。

そして、自分の気持ちを無視して付き合う事を望んでしまったかもしれないから。

 達也「じゃあ、今の俺の事は?」

もう、付き合う選択肢は無い。

でもちゃんとこたえる為に、俺はあえて聞いた。

 知里「大好き。それ以上はわからない。達也ちゃんが私と付き合いたいなら、私もきっと付き合いたいと想ってると思うけど、達也ちゃんきっとそうじゃない」

チリちゃんって、もしかして俺に似てるのかもしれない。

自分の本当の気持ちより、相手の気持ちを優先する。

 達也「俺もね。チリちゃんの事、自分の娘みたいだなって思った事あるんだ。って、娘っておかしいな。妹って感じかな。チリちゃんの事は大好きだし、幸せになって欲しいし、守ってあげたくなるし、下心だって独占欲だって普通にはあると思う。でも、付き合いたいとか結婚したいとか、無いんだよね。一緒に暮らすとかなら楽しそうだって思うけど」

俺は今の気持ちを全て正直に話した。

この返事は、俺が義経だと、とらえられてもおかしくない返事。

少なくとも、そう見る事を許している。

そしてチリちゃんの言っている事を肯定している。

 知里「お兄ちゃん、大好きだよぉ~」

抱きついてきたチリちゃんを受け止め、俺は頭をなでてあげた。

これで良かったのだろうか。

良かったはずだ。

ココで付き合っても、きっと良いことはない。

俺はもう義経でなく、達也だから。

この後俺達は、同じ部屋で朝までダラダラと仲良し兄妹気分を満喫した。

全国大会は眠くて勝負にならなかった。

あっさり1レース目で負けたので、俺達は大阪の街でデートした。

街はクリスマス色に染まっていた。

そういえば、今日はクリスマスイヴだ。

しかしデートは盛り上がる事もなく、帰りの新幹線の時間まで、ファーストフード店のテーブルに突っ伏して寝るだけで終わった。

妹のような子と、こんなイヴの過ごし方も良いなと思った。

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