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転生と…  作者: 秋華(秋山 華道)
転生と…
49/89

格闘フォーミュラ予選開始

金持ちが金持ちになる。

ひとつの分野で活躍する人は、他の分野でも活躍する。

その意味を俺は身をもって実感していた。


期末テストは、部員のみんなが納得いく成績を収めた。

あの夢ちゃんですら、チリちゃんのゲームのおかげで平均点で70点以上。

やはり教え方、勉強の仕方で変わる物だと実感した。

まあ俺だって、歴史の勉強が嫌いだったけど、漫画にして渡してくれれば、きっと良い成績を残す事ができたと確信している。

とにかく補習が必要な部員はいない。

で、格闘フォーミュラの大会なんだけど、見事参加が決定していた。

理由は、我がゲーム部の過去の実績。

バトルグリードとRPGつくったるでの事は、ラジコン発売会社の人もよく知っていたようで、それを評価されての参加。

うまくいっている時には、全てがうまくいく理由を悟った。


テスト休み中は練習に励み、終業式の次の日、俺達は新宿の会場に来ていた。

美鈴と舞は出場しない。

出場は部員8人の4チームだ。

今日行われるのは、8レースとそれぞれの決勝。

1チーム2戦する事になる。

最初の1レースは、4チームが一緒に走り、上位2チームが決勝へ。

その後決勝で4チームが一緒に走り、1位だけが全国大会へと行ける。

今年の全国大会は大阪での大会が決まっていた。

関東からは4チームが参加する。

組み合わせは、一応同じ学校では当たらないように配慮されているので、うまくいけばみんなで全国の可能性もある。

まあ、そんな事はありえないけど。

いくら天才ぞろいのゲーム部でも、そんなうまい話は無い。

1チームでも行ければ、まあ上出来だ。

 達也「てか、バトルって、チームタイマンじゃ無かったんだな」

はっきり言って、これは誤算というか、俺の失敗だ。

 夢「関係ないよ」

 うらら「多い方が、勝ち方を考えるのが楽しいし」

我が部の業師と軍師は、どちらも頼もしい言葉だ。

 まこと「当たって砕けろだよ!」

まこちゃんは、まあ、暴れん坊?

記録ではなく、記憶に残る戦いをしてください。

レースが始まった。

1レース目は誰も出走しないので、とりあえず見学。

 達也「うーん。やっぱり数が変わると、戦い方も変わるな」

2台で頭を押さえながらレースを運ぶチーム。

とにかく全てを再起不能にする事を目指すチーム。

スピードでかき回すチーム。

1台がゴールを目指し、1台が妨害する正統派チーム。

最初のレースに出ているチームはそういったところか。

 知里「達也ちゃん、ちょっとくるまの装備かえてくるねぇ」

チリちゃんは、レースを見て思うところがあったようだ。

一応、必要そうなパーツと、はんだごて等の道具は持ってきてる。

待機所のテーブルで、チリちゃんは作業を始めた。

チリちゃんは、我が部の魔女だな。

なんとなく思った。

視線をコースに戻すと、既に1レース目が終わっていた。

2レース目は、うららとまこちゃんのチームが出走する。

果たしてどこまでやれるのだろうか。

この2人が全く勝負にならないようだと、おそらく俺達は苦戦するだろう。

始まった。

うららが逃げて、まこちゃんが妨害するスタンダードな戦術だ。

1周目はなかなか順調。

うららが2番手でスタートラインを通過。

 うらら「まこちゃん、黄色いの次の周で押さえて」

 まこと「おっけぇー!ぶっつぶす!」

暴れん坊まこちゃんを、軍師うららがうまく使ってる感じ。

三国志で言えば、あれだ。

徐庶が張飛をうまく使ってる感じ?

そう言えば、昔友達とそんな話しをしていたな。

なんとなく思いだしたので、我が部員を三国志の登場人物に当てはめてみる。

うららは徐庶で、まこちゃんが張飛、きららは馬超、夢ちゃんは関羽かな?

美鈴が趙雲で、チリちゃんは諸葛亮、吉田君が姜維で、新垣さんは馬岱かな。

夢ちゃんがちょっと難しいな。

武力だと呂布なんだけど、あいつバカだし。

そういや俺は昔、諸葛謹だって言われてたな。

となるとチリちゃんと兄弟か。

そんな事を考えている間に、うららが2着でゴールしていた。

確実に2着を狙っていたから、予定どおりの2着だろう。

流石軍師。

 達也「まずはおめでとう」

戻ってきたうららとまこちゃんに声をかけた。

 うらら「うん。ありがとう」

 まこと「計算どーり!」

 達也「うららの計算だろうけどな」

まこちゃんが考えてやっているわけがない。

これが純粋なラジコンのぶつけ合い壊しあいだったら、まこちゃんが一番だけどね。

3レース目を見た後、4レース目には吉田君と新垣さんが出走だ。

我が部では一番弱かったけど、この2人のレースは泣けてくる。

吉田君が一生懸命新垣さんを守る姿は、一見の価値有り。

でも、やはりこの2人では勝負にならなかった。

勝負には負けたけど、吉田君は勝ったよ。

5レース目が始まったところで、俺はチリちゃんのところにいった。

 達也「もうすぐ出番だけど、どう?」

チリちゃんに声をかけると、オイルが少しついた顔をこちらに向けた。

チリちゃんて、はまるとリアルメカニックも出来てしまうんだよな。

正直脱帽だ。

 知里「うん。じゃあとりあえずこれでいいかもぉ~」

チリちゃんは、俺のラジコンを差し出した。

 達也「俺のもいじってくれてたんだ?」

 知里「うん。ちょっと作戦を変えようと思ってぇ~」

どうやら1レース目を見て、複数チーム対抗戦用に、何か思いついたのだろう。

 知里「本当はもう少し調整したかったんだけど、2着までならいけると思うよぉ~」

 達也「おう。で、作戦はどうするんだ?」

俺はチリちゃんに作戦を聞いて、6レース目の出走場所にラジコンを置いた。

そしてコースが一望できる場所に向かう。

チリちゃんの作戦は、今までバトル専門だった俺に、ただゴールを目指してという事だけだった。

俺達のレースが始まった。

俺はとにかくダッシュ。

おっ!

スピードはバトル用にチューンしていた機体よりは速い。

しかし完全にバトルを放棄している機体に比べれば遅い。

まあ実に中途半端な感じだ。

これはきっと、両方に対応できる機体なのだろう。

でもとりあえずは、チリちゃんの作戦どおり、とにかくゴールを目指す。

チリちゃんの機体は、俺よりも速い。

トップは赤い車体のチームにとられてはいるが、2,3位は俺達がとっていた。

で、ほかの機体は後方でつぶし合い。

とりあえず、つかみはオッケーって感じだ。

1周目はそのままスタートラインをすぎる。

さて、問題は2周目以降。

周回を遅らせて邪魔をする奴らがいるはずだ。

目の前を何台かが塞ぐ。

チリちゃんが左側からかわしにかかる。

それに向かって敵機が妨害を決行。

だったら俺は右。

俺は簡単に敵の群を抜けた。

チリちゃんは妨害されはしたけど、直ぐに俺の後についてくる。

小回りが効いて、立ち上がりが速い。

なるほど。

複数のチームでやるときは、妨害よりも先を目指す方が有利なようだ。

もちろんそれなりのチューニングが必要だけど。

ファイナルラップの3周目、先頭を行く赤い車体のチームが妨害に苦しんでいた。

その脇を俺とチリちゃんはうまくすり抜けて、1,2フィニッシュを飾った。

なるほど、少し前を別の機体に走らせておけば、後ろからかわしやすいのか。

それなりのテクニックが必要だけど、それなりに俺達は練習してるからな。

これだけ楽勝で、しかも戦い方も勉強できた。

俺達は最高のレースができたといえるだろう。

チリちゃんの凄さを改めて思い知った。

レースの後のチリちゃんは、また調整に入った。

さっきのはまだまだ未完成だったらしい。

7レース目が終わって、8レース目、いよいようちのエースの登場だ。

機体の操作だけなら、おそらく我が部の最強コンビ。

中でも速く走る事には強い。

1周勝負なら絶対に勝てると思う。

ただ弱点がある。

言ってしまえばそれだけなんだ。

1対1のチーム対戦ではかなりの強さを発揮したけど。

そして一番の弱点が・・・

レーススタート直後、夢ちゃんの機体が動きを止めた。

 夢「なんでー!」

そうなのだ。

整備が苦手なコンビ。

仮に俺が整備してあげても、無茶な操作で直ぐに機体に負担がかかり、何レースももたない。

 きらら「えーー!!夢ちゃーん!」

それでもきららは1周目1位通過。

後2周逃げ切れるか。

2周目から邪魔が入る。

敵の数が多すぎる。

1機だけならなんとかなったかもしれないが。

もしくは夢ちゃんだったら。

流石にきららひとりでは辛かった。

最後まで頑張ったが、0.1秒とどかず3位。

 達也「残念だったな」

 夢「むむむ。機体が私についてこれない」

まあそういう事だろうな。

テレビゲームだと、ダメージは全部数値化されるけど、リアルだと無いからな。

 きらら「夢ちゃんの機体の調整難しいよー」

なるほど。

きららが整備担当してたんだな。

おそらくはかなりの無理を言われて、全てを言うとおりにしたら動かなかった。

まあそんなところだろう。

こうして午前の部は終了した。

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