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転生と…  作者: 秋華(秋山 華道)
転生と…
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今はまだ…

なんとなく、なんとなくは気がついている。

俺がチリちゃんをかわいがっていると、決まって夢ちゃんの機嫌が悪くなる。

これはきっと夢ちゃんが俺を好きなのか、少なくとも好意を持っているって事なのだろう。

でも俺はそれを認められない。

いや、認めたくないのだ。

まだ、まだ今は気がつかないでいたい。

今が楽しいから。

だから、ただ誉められたいだけなんだと、自分に言い聞かせて。


 達也「おお!夢ちゃん凄いな」

俺はそう言って夢ちゃんの頭をなでる。

すると嬉しそうに、そして照れながら、夢ちゃんは俺の手を払いのける。

これはいつもの事だ。

まあそれは良いとして、夢ちゃんはマジで凄い。

ラジコンを速く走らせるだけなら、おそらくはもう俺よりもチリちゃんよりも速い。

そうチューンナップしてるからでもあるんだけど。

とにかく我が部で最速だ。

 達也「本当に驚いてしまうな」

そう言いながら、俺はきららとうららの方を見る。

2人も、おそらく影で相当練習したのであろう、スピードだけでなく色々なところで成長著しい。

やはりこの部活には、天才が集まってるな。

まこちゃんだって、悪知恵働かせて、邪魔をするのはかなりうまかった。

 達也「この部、おかしいよね」

俺はなんとなく横にいた美鈴に話しかけた。

 美鈴「うん。類は友を呼ぶって事ね」

 達也「天才は天才を呼ぶと?」

 美鈴「私が設立した同好会だよ?」

ココは、そんなの関係ねぇー!と、否定しなくてはならないところだけど、納得しすぎで何も言い返せなかった。

 達也「俺がいるからな」

それだけ言い返すのが精一杯だった。

しかし意外にも、美鈴は納得していた。

 美鈴「だね。達也ちゃんいなかったら、おそらく全ては無かったと思うよ」

それは言い過ぎだろう。

でもそう言われるのは嬉しかった。

 美鈴「でも、早いうちに結論が必要になるかもね」

ボソっと言った美鈴の言葉。

意味がわからなかった。

大会の事かな?

 達也「ん?大会か?まあ、焦る事もないだろ?」

 美鈴「まあ焦る事もないけど、何時までもこのままって訳にはいかないよね」

また意味が分からなかったから、俺は何も言い返さなかった。

そんな俺をみて、美鈴が少し笑う。

 美鈴「達也ちゃんて、結構鈍感だよね?」

その言葉と視線で、俺は気がついてしまった。

美鈴の視線の先には、こっちを見ていたチリちゃんがいた。

つまりそういう事なのだろう。

夢ちゃんだけじゃなく、チリちゃんも少なからず俺に好意をもってくれているのだろう。

はっきり言ってココ10年以上もてたためしがなかったから、嬉しいのは嬉しい。

ていうか、義経が若かった頃ですら、人からの好意をこれほど感じた事はない。

俺は一体どうしたら良いのか。

まだまだ結論を出すのは不可能そうだった。

体育館での練習も、外が暗くなり始めたので終了の時間だ。

 達也「あー。明日から期末試験1週間前だから、一応部活は無い事になってます」

こんな言い方をするのは、おそらくはみんな部室に集まるだろうから。

 達也「みんな赤点とって補修なんて事にはならないように気を付けて。冬休み大会に参加できるかもしれないから」

俺は一応、格闘フォーミュラの大会参加を申請した。

ただ、関東大会に登録したのだけど、本来この大会に参加するには、小さな大会等でのある程度の実績が必要なのだ。

だからまあ、おそらく無理だろうとは思うけど。

 一同「はーい」

みんなの返事を聞いて今日は解散となった。

 達也「あっ!チリちゃん、ちょっといいかな?」

俺はチリちゃんを呼び止めた。

 知里「どうしたのぉ~」

チリちゃんは、チョコチョコとこちらに走ってくる。

 達也「また、クイズゲーム頼んでも良いかな?今度は1年生の試験範囲でね」

俺はまたチリちゃんにゲーム作成をたのんだ。

チリちゃんのゲームは、前回のがとても好評で、今はちゃんとコンパイルしてネット上で販売までしている。

我が学園のホームページの一部を借りて、そこにゲーム部のページを作成。

そこで、前回のゲームをシェアウェアで100円で販売したところ、すでに2000円売り上げていた。

ちなみにRPGのデータを無料で配布したり、バトルグリードの映像を配信したりもしていた。

 知里「でももう文化祭ないよぉ~?」

 達也「いいんだ。本来の目的はそれじゃなかったから」

 知里「ふぅ~ん。じゃあ、3日後に渡すよぉ~」

 達也「うん。ありがとう」

俺はチリちゃんの頭をなでた。

 知里「へへへ~」

う~む。

こんなに喜ばれると、クラッときちゃうよね。

やばいよね。

流されそうになるよね。

俺はなんとかなでていた手を引き剥がし、チリちゃんと別れた。

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