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転生と…  作者: 秋華(秋山 華道)
転生と…
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ラジコンバトル

暇な時の時間の潰しかた。

皆色々とあるだろうけど、俺の時間の潰し方は、辞書を読む事。

適当なページを開いて読んでみると、あら不思議、面白い。

たとえば今適当なページを開いてみよう。

[梵]インドのバラモン教における宇宙の最高原理。

普通に生きていてはおそらくは知らずにいた知識が、簡単に手に入る。

そして色々と思うのだ。

俺が生まれ変わったのは、この梵の力によって起こった奇跡なのだろうか。

ドリームダストの2人は、この梵を理解し使いこなしているのかも?

なんて。

そしてこんな事を考えているだけで、この使えない知識は俺の中に浸透してゆく事になる。


平日の部活は、ラジコンのパーツの組み替えと、簡単なテスト走行をしていた。

そして日曜日、体育館が空いているこの日、俺達は体育館にコースを造って、いよいよ本格的なレースをする。

まあコースって言っても、目印置いたり、剥がしやすいテープで線引いたり。

さて、ココには今部員8人全員と、そして美鈴と舞が集まっていた。

てか、美鈴、受験勉強はいいのか?

もういい加減ツッコミを入れるに疲れたよ。

とにかく10人集まっているので、チームは5チーム。

ああ、言うのを忘れていたけど、このラジコンレースは、普通のラジコンレースではない。

一言で言えば、レースバトルだ。

少し前にやっていたアニメ、「格闘フォーミュラ」を再現させたゲームだ。

自動車のラジコンに、色々なパーツを付けて、相手を邪魔しながら行うレース。

勝敗は、チームのどちらかがゴールすれば勝利となる。

とりあえず2チームは直ぐに決まった。

舞と美鈴ペア、吉田君と新垣さんペア。

後は今までに組んだ事の無いペアにしようという事になった。

で、結局決まったペアは、まこちゃんとうらら、きららと夢ちゃん、俺とチリちゃんだ。

今回は、うまくいかなくても変更は無い。

勝つ事よりも、楽しむ事が目的だから。

それに勝つ為なら、仕入れたばかりの知識、梵パワーで頑張ればいいのだ。

うむ。

微妙に使い方が間違っているような気もするけど、言葉なんて時代と共に変わる物だ。

意味さえ通じれば全然オッケー。

 達也「さて、最初にやりたい人!」

俺がそう言って手を挙げると、チリちゃんが手を挙げる。

 知里「はぁあい」

チリちゃんは、練習ではあまりうまく操縦できないでいたけど、まあ楽しんでいるのかな?

でもチリちゃんは、楽しいならきっと、もううまくなっていてもおかしくないんだけど。

今日ココに来てやる気を出してる感じ?

まあいいか。

他を見ると、気がついたら美鈴と舞以外みんな手を挙げていた。

 達也「ああ、チリちゃんが早かったね。次はぁ~きららが早かったかな」

俺はみんなの雰囲気から、おそらくきららが早かったのだろうと思い、きらら夢ちゃんペアを指名した。

俺達はラジコンカーをスタートラインにセッティングして、みんなで体育館の観客席のようなスペースへと移動する。

ココからだと、体育館のコース全てが見下ろせる。

 達也「じゃあ、試しに1周してみるぞ」

俺がそう言うと、みんなラジコンカーをコースどおりに進める。

俺は義経の頃もラジコンで遊んだ事があるから、速くコースどおりに走らせるだけなら楽勝だ。

きららは俺ほどでは無いけど、なかなかスムーズな操作。

夢ちゃんも、ゲームのコントローラーを操るのと変わらない。

なかなかうまい。

ただテレビゲームほどのうまさはまだ感じないけど。

で、チリちゃんは、ノロノロと操作している。

やはりやる気とは裏腹に、うまくいかないのだろうか。

チリちゃんだからと言って、やる気になってもできない事もあるのだろう。

俺がまず元の位置に戻り、続いて夢ちゃんときららが戻ってくる。

そして最後にチリちゃんが元の位置にラジコンカーを止めた。

 きらら「結構難しいね」

 夢「直ぐに極めるわよ」

この2人なら、格闘フォーミュラ大会に出ても、そこそこやれそうな気がする。

ちゃんと練習すればだけど。

言ってなかったが、この格闘フォーミュラにも大会がある。

子供から大人まで参加しており、地区大会から全国大会、更には世界大会まであるのだ。

大会は2種類で、個人戦とチーム戦がある。

まあ俺達はゲーム部だし、楽しみたいのでチーム戦を中心にやるつもりだ。

うまくなれば、大会の出場も考えている。

まあ今回は、バトルグリードみたいにうまくはいかないだろうけど。

 達也「じゃあ始めるぞ?」

皆頷いた。

 達也「よーい、ドン!」

俺達は一斉にスタートした。

俺達の作戦は、さっき少しだけチリちゃんと話して、俺が妨害、チリちゃんがゴールを目指す事にしていた。

スタートは綺麗なスタート。

えっ?

チリちゃんもうまくスタートしていた。

そしてすぐ先頭に立つ。

ギアチェンジがうまい。

俺は妨害を警戒していたとはいえ、俺よりも速い走り。

 達也「チリちゃん、そのままゴー!」

 知里「うん!」

 夢「いかせないわよ!」

 きらら「ああ、邪魔だよ!」

チリちゃんに食らいつこうとする夢ちゃんだったけど、あっさりと引き離される。

俺はきららの前に出てスピードを落とし、妨害に出る。

現在楽勝。

それにしてもチリちゃんは速い。

やはりやる気を出したチリちゃんは凄いのだ。

 美鈴「それにしても知里って変わったよね」

俺はそう言った美鈴の言葉が気になったが、今はレース中だから話す余裕がない。

 知里「うん。なんだか最近、なんでもできそうな気がするんだぁ」

ラジコンをコントロールしながら、チリちゃんは美鈴にこたえていた。

 美鈴「知里って、中学の時はやればできるのに、ほとんどの事でやる気ださなかったもんね」

そうなのか?

そう言えば、プログラムとゲーム以外では見た事がない。

この学校にいるって事は、受験勉強も頑張ったのだろうけど。

 知里「やる気って言うか、何もかもが楽しく無かったんだよぉ」

 美鈴「これもさっきまでは、今ほど楽しくはなかったみたいだけどね」

楽しくなかったの?

 知里「楽しかったよぉ~でも、今の方が100倍楽しいかもぉ」

ああ、実際にやってみて、凄く楽しくなってきたって事か。

 美鈴「まあ理由はわかるけどね」

ん?

何か特別な理由が?

チリちゃんの顔が赤くなっている事には、気がつかなかった。

おっと、集中しないときららを行かせてしまう。

夢ちゃんは周回を1周遅らせて、チリちゃんの妨害をしようとしていた。

助けに行った方がいいかな?

俺がそう思った瞬間に、チリちゃんは瞬間に夢ちゃんの妨害をかわして走り抜けた。

 達也「おお!チリちゃん凄いよ!」

 知里「へへへ。本気だよぉ~」

どうやらレース前は本気ではなかったようだ。

策士チリちゃん。

 夢「くきー!まてーー!!」

おおっ!

夢ちゃんがこんなに感情を出して悔しがるなんて。

チリちゃんは親友であり、最大のライバルでもあるのかも。

チリちゃんは規定の3周を回りきっていた。

 達也「おお!楽勝だったよ。チリちゃんのおかげだ」

俺はいつもの癖でチリちゃんをなでた。

うんうん。

こんなに嬉しそうにされたら、ずっとなででいたくなるな。

 夢「く、くやしい」

夢ちゃんは俺の後ろで唸っていた。

なんか怖いし怒ってる?

この後も皆色々な組み合わせで楽しんだ。

俺達のチームは結局みんなに勝った。

思ったよりみんなうまかったが、それ以上にチリちゃんがやる気を出して強かった。

なんとなく中学の頃、更には春に再開した頃よりも、良い笑顔をしているように見えた。

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