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転生と…  作者: 秋華(秋山 華道)
転生と…
25/89

懐かしき時間

ジャンポフェスタ。

これは人気少年漫画雑誌「少年ジャンポ」のお祭りである。

会場には朝から長蛇の列ができて、入場するだけでも大変だ。

このフェスタ限定の商品が売られていたりして、もう漫画ファンにとってはたまらない。

まあ、こんな祭りに我がゲーム部は足を運んだのだが。

 吉田「やっと入れたよ」

 きらら「つかれたね。この後カードゲームの大会に出るんでしょ。もうダメかも」

今ようやく会場に入れた俺達。

そして、この祭りに来た目的。

それは、「遊び王」のカード大会に出る為だ。

本来なら、各玩具屋なんかで予選が行われ、明日は全国から予選突破者が集まるのだが、それ以外にフェスタに集まった人だけの大会も行われる。

俺ときららは、まあ今日行われるそっちに参加なわけ。

大会は13時からスタートなわけで。

10時から並んでいたわけで。

俺達はほとんど始発電車に乗らないと間に合わなかったわけで。

とにかくつかれた。

そして眠い。

 達也「うむ。俺もダメだ。パトラッシュ呼んでくれ!」

俺の一生懸命も、皆には軽く流された。

つかれた俺達は、とりあえず食事と休憩、一部元気なまこちゃん辺りは会場を見て回っていた。

13時にはなんとか少し復活して、俺ときららは大会に参加していた。

「遊び王」は、漫画から生まれたカードゲームだ。

細かい制約、ルールを決める前から、漫画どおりの効果で販売したものだから、最初は糞ゲーと言われていた。

だけど徐々に、発売メーカーの努力により面白いゲームとなり、今では大人気のカードゲームだ。

俺は糞ゲーと言われた頃から、この「遊び王」をやっている。

あの頃は、一般人がルールをリードしていたなぁ。

何となく懐かしくデッキカードを眺めた。

俺のデッキは、あの頃とあまり変わらないカードで構成されている。

一部制限カードの制限が変わっていたり、禁止カードがでたり、少し変わってはいるが。

ちなみに俺が力を入れてやっていた頃は、コンボよりも対応力と単体で強いカードで組んだデッキが強かった。

糞ゲーと言われたのには、その辺もある。

みんな同じようなデッキで、同じカードを使っていたから。

だから、プレイが純粋にうまい人が勝つから、俺は逆に好きだった。

小さな大会には何度か出たが、2回ほど優勝した事もある。

でも、今ではあの頃とは全く違うゲームと言って良いほど精練されていて、俺が優勝できる可能性はほとんどないだろう。

対戦相手と向かい合って座り、お互いのデッキをシャッフルした。

お互い計算機の数字を8000にする。

デュエルが始まった。

勝負はすぐについた。

俺があっさり2連勝。

まあ、冗談のようなデッキで挑まれたら、勝って当然だろう。

こっちは勝つ気でやっているから。

きららも初戦は楽勝だったようだった。

きららは重いモンスターをうまく出して戦う破壊力デッキで、相手の行動をいかに押さえるかが勝負の鍵となる。

でも初戦はそんな事関係無かったようだ。

俺達は順調に2回戦、3回戦と勝ったが、きららは準々決勝で、3年前の小学生チャンプに当たって負けた。

名前は忘れたが、俺の知っている奴だ。

今では中学3年になる彼とは、チャンプだった頃何度も手合わせした。

俺達のデュエルは早く、数分で決着がつく。

それくらい分かり合ってデュエルするくらい知ってるのだ。

まあもちろん今では全くしらない人という事になるわけだけど。

準決勝、俺はその彼とあたった。

あの頃の対戦成績は、若干俺の方が強かったが、さほど力に差は無い。

むしろ少しブランクがあるから、今では彼の方が強いだろう。

俺達の戦いは始まった。

相変わらす素早い動きでカードをさばいていく彼。

俺もそれに合わせてカードの使用宣言をする。

適当にやっているようだった彼の目の色が変わった。

おそらく俺の動きで、強さを感じとったのだろう。

彼は少しペースを落として、慎重にデュエルを進めてきた。

見えるカードは、あの頃と近いデッキである事を伺わせる。

力と力の勝負が出来そうだ。

コンボデッキと言うのは、確かに決まれば爽快だし、破壊力もある。

しかし、言ってしまえばそれだけなのだ。

勝つか負けるか。

俺達のデッキは、それとは逆。

色々な兵器をもって戦い、その場の戦術を楽しむデッキ。

最近ではあまり強くはないデッキだけど、これで戦術を駆使して勝つのが楽しいのだ。

序盤はお互い手札を温存して、チャンスを待つ。

「遊び王」は、お互いのヒットポイントの8000を0にされた方が負けるゲーム。

だが俺達は、それを削られる事よりも手札を温存する事を考える。

カードゲーム全般に言える事だが、手札が多い事が有利になるのだ。

先に動いたのは、彼だった。

瞬間俺は負けていた。

勝てる算段を行って、行けると判断して動いてきた。

それに対応できなかった俺の負け。

次は2回戦だ。

これで負けたら俺の負けだ。

今度は彼も最初から慎重だ。

またもお互い出方を待つ。

今度は俺が仕掛けた。

一気にヒットポイントを削る。

後一息のところで止まった。

やばい。

相手は一気に反撃してくる。

まずいと思った俺は、ドローしたばかりの、お互いにダメージを与えるカードで引き分けに持ち込んだ。

なんとか引き分けに持ち込んで、首の皮一枚つながった。

彼を見ると、なんだか楽しそうだ。

実は、俺も久しぶりのこの感覚にワクワクしていた。

3回戦は、負けても引き分けでも負けである。

勝てば延長戦だ。

お互い手の内を見極めながら慎重に進める。

俺に先にチャンスが訪れた。

手札、場のカード、見てもこれなら勝てる。

俺は勝負にでた。


直後、俺は負けていた。

敗因は、全てのカードを把握していなかった事。

数週間前に発売された、ブースターパック。

この大会は、それの使用が許されていた。

しかし俺はそのカードを知らなかった。

俺の猛攻を防ぐ手だては無いように見えたのに。

仕方ない。

 彼「あんた強いね」

彼は最後別れる時にそう言った。

 達也「お前、3年前のチャンプでしょ?」

 彼「まね。でもあんなのたまたまだよ」

あの頃の彼より、えらく謙虚になっていた。

 彼「あんた、俺の師匠と似た戦い方するね」

 達也「ふーん。師匠?」

俺は少し興味があった。

こいつに師匠なんていたんだ。

 彼「昔よくデュエルしてた、学校の先生なんだけど」

俺の事だ。

あの頃は、師匠なんて言い方もしてなかったし、そんな風に思われてるなんて思ってもいなかった。

ただ単に俺から色々盗んでいただけ。

 達也「ライバルじゃなくて?」

俺はなんとなく聞いてしまった。

 彼「まあそうかな。また、あんたとやりたいな」

嬉しかったが、俺は「気が向いたらね」とこたえてその場を後にした。

終わってみれば、彼が優勝していた。

結局忘れてしまっていた彼の名前は思い出せなかった。

男の名前って、忘れるし、思い出せないよね?

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